9/15 SMACK GIRL 後楽園ホール興行 観戦記

Mask_Takakura2006-09-15

明日はどっちなのだっ!

今年8月に行われたDEEPのセミファイナル。SMACK GIRLでも活躍する渡辺久江が、「DEEPの箱入り娘」と化したSMACK GIRLフライ級女王しなしさとこと対戦。渡辺はしなしが得意とする寝技で凌駕し、得意の立ち技では当然のようにしなしを圧倒、最後は右フック一発でKOを奪い初代DEEP女子ライト級王者に輝いた。


渡辺の闘いぶりは、普段は女子の試合をそれほどには観戦しないであろうDEEPのファンに「ジョシカクここにあり!」を確実に刻み込んだ。しかし、この試合は同時に「SMACK GIRLで活躍する渡辺がDEEPの王者、DEEPが主戦場のしなしがSMACK GIRL女王」という矛盾を生んだ。


旗揚げ当初は対抗馬として期待されたG-SHOOTOもすっかり勢いを失い、「ジョシカク」の看板を背負う団体はSMACK GIRLだけになってしまったが、この「ねじれ現象」はこの世界にどう作用していくのだろうか。「ジョシカク」が浮上するチャンスとなるのか?「うやむや」のまま消えていくのか?今後の動向に注目したい。

尚、上記の試合の模様は GyaO でドキュメントとして配信中。主役は渡辺。


■BORDER シリーズ第5弾 ジョシカク渡辺久江 アスリートへの進化
http://www.gyao.jp/sports/border/


ジョシカクに興味ない人でも見易い内容なのでオススメ。
但し、編集は思いっきり渡辺よりなので、しなしファンは腹を決めて見るように。

今日はこっちなのだっ!

出だしから「閑話休題」となったが、本題はこっち。本日は後楽園ホールにてSMACK GIRLを観戦。


今回のタイトルは割拠、準エース級の選手が中心の興行である。メインイベントには「地味に多才な」赤野仁美が登場、前王者のベルト返上に伴い空位となったSMACK GIRLミドル級の王座に挑む。またセミファイナルは、前回興行で辻結花に完敗した「AJのアネゴ」WINDY智美の再起戦が組まれた。この他にも人気女子プロレスラーの風香やG-SHOOTOの実力者であるMIKUが出場したり、The Next Cinderella Tournamentの決勝戦もあったりで内容的には盛り沢山。まあ「全十試合というのはちょっと長すぎるんじゃないの?」って意見もあるかもしれないが、だまれだまれ(椎名誠respect)。


チケットを購入。3500円も払えば椅子で観戦できるのがSMACK GIRLの強みだと思うが、この値段の手頃さが観客動員に繋がっているかというと…そうでないのが苦しいところだ。北側を潰した後楽園ホールに四割程度の入り。いつも以上に苦戦した客入り、今回は目玉となるカードがなかったのが痛かった。

第一試合 どんな時でもハイテンションなのだっ!

無差別級 5分2R
○たま☆ちゃん(166cm/61.8kg/巴組)
●亀井奈律子(162cm/66.8kg/闇愚羅)
[1R 3分13秒 腕十字固め]

今日の興行は第一試合からたま☆ちゃんが登場、相変わらず入場からハイテンションで会場を盛り上げる。どんな会場でも白けない姿勢を持つ彼女は本当に凄いと思う。やれそうでやれないもんだよ、こういうのって。


んで、試合ではたま☆ちゃんが全日本アームレスリン女王でもある亀井を終始圧倒。腕を巻き込んでの投げを連発し、まだまだ総合格闘技は初心者である亀井を蹂躙。スタンドでもジャブで亀井の動きを静止したたま☆ちゃんは、三度目のグラウンドでマウントを奪い、そのまま腕十字を極めた。亀井がタップして試合終了。


第一試合に会場を盛り上げるためにたま☆ちゃんを起用したのは正解だと思うけど…、ちょっと実力差がありすぎたかな?

第二試合 注目されるのも頷けるのだっ!

ライト級 5分2R
○高林恭子(158cm/52.0kg/ALIVE)
●内藤晶子(158cm/51.1kg/和術慧舟會RJW)
[判定 3−0]

フリジットスター氏(id:frigidstar)がお気に入りの高林恭子はグラウンドを得意とする選手。で、どれくらいフリジット氏がお気に入りかというと、試合前に激励賞を贈るくらいである。ふむ、目の肥えたフリジット氏の眼中に入る選手なのだから良い選手に違いない。注目してみよう。


試合では、高林のグラウンドでの強さが光った。高林は全ラウンドを通して内藤を何度もテイクダウンし、サイドやマウントやバックマウントを奪って関節技を狙う。1R、高林が腕十字を極めそうになった場面は二度。いずれもSMACK GIRL特有の「寝技30秒ルール」に泣かされる事になったが、1R終了直前の腕十字などは完全に内藤の腕が伸びており、あと数秒あれば一本が取れていただろう。

対する内藤はスタンドで対抗。距離を離しつつローキックとミドルキックを多用して高林を牽制。接近されると簡単に倒されてしまう内藤だが、1R終盤には一方的に蹴り続けて攻勢。2Rに入ると内藤の蹴りを嫌う高林が懐に飛び込めない場面もあった。それでも高林は倒せば強い。一度目のグラウンドではニースタンプを落とし、二度目はマウントを奪い腕十字を仕掛けていた。

試合は判定へともつれ、3−0で高林が勝利。


う〜ん、高林は打撃の捌きにやや課題があるかな?それ程には強烈そうに見えない内藤のキックに苦戦していたしなぁ。でもまあ、グラウンドが強い選手だという事は良くわかった。今後に期待。

第三試合 なんだか凄い選手がいるのだっ!

フライ級 5分2R
○Edge(160cm/47.9kg/闇愚羅)
●玉田育子(156cm/48.0kg/AACC)
[判定 3−0]

僕はEdgeという選手を観るのは初めてだったのだが、彼女の試合ぶりにはちょっと驚かされた。低く構えながら回転の速いフックの連打を放つEdgeの打撃は、まるでシュートボクセ所属選手のよう。日本人では男子でもこんな雰囲気と圧力を放つ選手はちょっとお目に掛かれない。そして、それはこの会場にいた人達も同じ思いらしく、会場の至るところで「おおっ…」という驚きの声が聞こえてくる。


もちろん試合は、Edgeが終始玉田を圧倒。全ラウンドを通して素早いフックを、顔面だけではなくボディへも突き刺していくEdge、組み付けばボディへヒザ蹴りを入れていく。玉田もなんとか抵抗しようとするが、打撃戦では腰が引け気味で、明らかにEdgeの打撃にビビッている。玉田のテイクダウン狙いも冷静に対処したEdge、下になってもラバーガードを仕掛ける場面もあり、この試合では磐石の強さを観せた。

しかし。直後にEdgeがもの凄い圧力でパンチを振り回すので殆ど目立たなかったのだが、よくよく見れば玉田の牽制のパンチもEdgeの顔面を何発も捕らえており、実はジャブを丁寧に合わせたりカウンターのストレートを放てる選手であれば、案外あっさりEdgeを攻略できるかもなぁ…と思わされた。ま、今のジョシカクの中でこれを実践できる選手が何人いる?って話もあるけど。また、Edgeの打撃は何発も当たっているのに、玉田にダメージがあったように見えなかった。その打撃の軽さも今後の課題となりそうだ。


試合は判定へともつれ、3−0でEdgeが勝利。色々と悪い点も挙げてみたが、彼女が「ジョシカクの未来」を感じさせてくれる選手である事は確か。今後の活躍に期待したい。

第四試合 実力拮抗なのだっ!

アッパーライフPresents The Next Cinderella Tournament 2006 フライ級 決勝 5分2R
○浜田福子(150cm/46.2kg/闇愚羅)
●KM-MAKI(152cm/47.3kg/RISE FIGHT CLUB)
[判定 3−0]

この試合はSMACK GIRLの登龍門であるThe Next Cinderella Tournamentの決勝戦。フライ級の頂点を争うのは…坊主頭で試合に挑む浜田福子と、コスチュームの隙間からタトゥーが見えるKM-MAKI(ケムマキ)の二名。


試合はグラウンド中心の一進一退の攻防、お互いにテイクダウンを奪ったり奪われたり。グラウンドでは浜田は六回上になり、KM-MAKIは五回上になる。しかし積極的に関節技を狙ったのは浜田。1Rは上からも下からもフロントチョークを狙い、スタンドでもフロントチョークを仕掛けた。2Rにはマウントから腕十字を仕掛ける場面も。対するKM-MAKI、1Rはグラウンドで上になっても攻めあぐねる事が多かったが、2Rは上になってボディへパンチを落としたり、腕十字を仕掛けたりで負けていない。

試合終了。判定は…正直、非常に甲乙つけがたいなぁ。強いて言うなら若干、浜田が上だったかなぁ?と思っていたが、ジャッジの三人は全員浜田を勝者に。こうして浜田がライト級のThe Next Cinderella Tournamentを制した。


判定で勝者が発表される際、浜田のセコンドについていた辻結花が祈るようにしていたのが印象に残ったなぁ。ちなみに浜田、アマチュアでは「13回やって1回勝った程度」の実力だったそうだ。優勝後のコメントでは「勝てるようになったのは闇愚羅の人達のお陰です」と嬉しそうに話していた。

第五試合 色々な意味で面白そうな選手なのだっ!

アッパーライフPresents The Next Cinderella Tournament 2006 ミドル級 決勝 5分2R
○竹下嘉奈子(167cm/58.0kg/和術慧舟會東京本部)
中村さくら(157cm/57.6kg/禅道会)
[1R 3分9秒 腕十字固め]

The Next Cinderella Tournamentの決勝戦がもう一試合。ミドル級の頂点を争うのは、なんだか派手なコスチュームに身を包んでいる竹下嘉奈子と、女子高生ファイターの中村さくらの二人である。


試合開始、と同時に放たれていく中村のパンチ。禅道会所属という事もあり、なかなかの切れ味。その打撃には将来性を感じたが…、試合では竹下はグラウンドで中村を圧倒。いきなりアームロックから腕十字への移行を見せる竹下、「寝技30秒ルール」に阻まれ極まる事はなかったものの、この時点でグラウンドでは実力差が大きいように感じた。最後は中村にタックルを仕掛けられながらも、下からの腕十字を極めて一本。得意のグラウンドで実力を見せ付けた竹下が、ミドル級のThe Next Cinderella Tournamentの優勝者となった。


ちなみに竹下、全試合終了後はボウリングのピンの被り物をした姿で登場。なんだか面白い選手だな。寝技にも切れがあるみたいだし、注目していて損はなさそうだ。

第六試合 この内容なら、ちょっと厳しいのだっ!

フライ級 5分2R
吉田正子(160cm/47.6kg/NATIVE SPIRIT)
●兼谷絵里(161cm/47.1kg/和術慧舟會A-3)
[判定 3−0]

寝技を得意とする両者だが、最近の総合格闘技はこういう対戦は「寝技決戦」とはならず打撃戦となった。


1Rは両者共に中間距離を保ちつつ、単発のパンチで牽制する。両者共に「あと一歩」が踏み込めない感じでなんとも煮え切らない。そんな中、吉田はローキックを使用して印象点を稼いでいく。

2Rはグラウンドになる事がしばしば…だったが、いずれにも下になったのは吉田。時には自ら引き込む場面もあったが、何にせよクロスガードでガチガチに防御するばかり。で、スタンドではローキックで試合をリード。淡々とそんな展開が続いていった。


試合終了、判定は3−0で吉田が勝利。吉田は試合内容を反省しつつ、近い将来にフライ級女王の座に挑戦する事を表明。う〜ん、この試合内容では「しなしさとこの王座に挑戦するのは難しい」としか言いようがないな。とりあえず近い将来に挑戦という事なので、次の試合では周りを納得させるだけの実力を示して欲しいね。

第七試合 ビジュアル決戦なのだっ!

アキハバラ@DEEP Presents スペシャルマッチ ライト級 5分2R
○風香(158cm/52.0kg/JDスター)
●舞(162cm/50.7kg/チーム品川)
[判定 3−0]

この試合は「アキハバラ@DEEP」っていう映画の提供試合。

アキハバラ@DEEP(映画版)
http://a-deep.goo.ne.jp/

アキハバラ@DEEP(テレビ版)
http://www.akihabaradeep.com/

ふむ。テレビ版の方がキャストがいい気がするなぁ。


んで、そんな提供試合には「割拠に咲く一輪の華」ビジュアルの良い選手二名が登場だ。JDスターで活躍する女子プロレスラー・風香はセコンドにジョシュ・バーネットを従えて入場。そういえばバーネットは日本ではAACCで練習しているし、風香も総合格闘技の練習場はAACCだったなぁ。それにしても、紙プロHandによると「バーネットはこの試合の前にアメリカに帰らなくてはならない」と書いていた気もするんだが…。

対する舞は何故かピンクのムチを持って入場、ビシビシとリングを叩いていた。噂によると「お前ら、ネットばっかりやってないで、少しは体を鍛えろ!」っていう事らしい。…本当にどうもスイマセン。これからは鍛えますから、そのムチで打って下さい。


試合は細身の舞をパワーで風香が圧倒する…という意外な展開に。風香は1R序盤には大外刈りを披露、1R中盤には首投げで細い舞を投げ捨てる。こうして1Rにテイクダウンを三度奪った風香だが、グラウンドでは攻撃が続かない。インサイドガードでガチガチになる事が多く、舞にリバースを許す場面も。それでも下からの腕十字で逆襲する風香、ここまでは優勢と言えるだろう。

対する舞、スタンドではパンチを的確に当てるものの、組まれると風香のパワーに押されてしまう。それでもたった一度奪ったテイクダウンではバックマウントから腕十字を狙っていく等で、押され気味の展開ながらもまだまだ負けていない。

2R序盤、ローキックで牽制する風香をテイクダウンしマウントを奪った舞。風香にリバースを許すも下から腕十字を極めるが寝技30秒ルールに逃げられる。2Rで勝敗を決しそうな場面はこれくらいで、あとはテイクダウンを奪ったり奪われたりしながら、グラウンドでガチガチになる展開が三度。

で、残りの時間は打撃戦だったが、ローキックを多用する風香に舞はパンチを合わせていく。的確に当てていたのは舞だったが、手数が多いのは風香。展開としてはやや風香が押していたように思う。

というわけで試合は終了。判定は3−0で風香が勝利。う〜ん、グラウンドのテクニックでも打撃でも舞がやや上だったと思うんだけど、この試合では風香がパワーと気持ちで舞を凌駕したね。たいしたモンだ。


ちなみに風香、試合終了後は何故かメイド服姿でリングに上がっていた。何故だっ!?

第八試合 どうにも強いのだっ!

ライト級 5分2R
○リサ・ワード(162cm/51.7kg/アメリカ/ユナイテッド ファイトチーム)
●MIKU(160cm/51.8kg/クラブバーバリアン)
[1R 3分4秒 アームロック]

割拠の「台風の目」が登場。G-SHOOTOを主戦場に勝ち星を重ね、MARSやDEEPでも活躍する。その名はMIKU。SMACK GIRLへの出場が長く待たれていた彼女は、ついに今年4月のSMACK GIRLで初登場を果たした。今回は初となる「寝技30秒ルール」での試合、関節技による一本勝ちの数も多いMIKUはこのルールでも実力を発揮できるのか?


…と思ったら、対戦相手のリサ・ワードが鬼のように強かった。試合開始と同時にタックルを仕掛けるワード。MIKUは何とかグラウンドで上になるが、次の瞬間にはワードがフロントチョークに捕らえていた。観客の誰もが驚く中、未体験の「寝技30秒ルール」に助けられたMIKUは次のグラウンドでサイドを奪いパンチを落とした。三度目のグラウンドでは下から腕十字を仕掛けて実力者ぶりを発揮、ワードはMIKUをマットに叩きつけてこれを逃れるが、バスターはSMACK GIRLでは反則。ワードに注意が与えられた。

そして四度目のグラウンド、投げを放ってテイクダウンを奪ったワードは袈裟固めの体勢になり、足でMIKUの腕を極めた。MIKUがタップして試合は終了。


う〜ん、どうにもワードが強い!というか。実力者として知られるMIKUがこれだけ簡単に仕留められてしまったのだから、日本のジョシカク界では彼女に太刀打ちできる選手は少ないだろうな。どうなる事やら。対するMIKU、今日は負けてしまったがその実力は充分に発揮した、と言えるだろう。次回の参戦も楽しみ。

第九試合 再起戦なのだっ!

54kg契約 5分2R
WINDY智美(158cm/53.7kg/PANCRASE ism)
●せり(164cm/51.8kg/巴組)
[2R 1分15秒 KO]
※ヒザ蹴り

割拠セミファイナルには、この試合が再起戦となる「AJのアネゴ」WINDY智美が登場。前回のSMACK GIRLの舞台で辻結花を相手に頂上決戦に挑んだWINDY姐さんだが、結果は完敗。WINDY姐さんはこの敗戦を機に現役に区切りをつける事も考えたという。今年で30歳な上、本業であるキックボクシングでは今年、念願のベルト奪取も果たした。確かに区切りをつけるには充分な条件が揃っていたが…、WINDY姐さんは再び頂点を目指す道を選んだ。再起戦の相手は、最近は成長著しいせり。格下といえど舐められない相手だと言えるだろう。


試合ではWINDY姐さんが終始圧倒。1Rから強烈なローキックを連打、組み付けば首相撲を利用してせりをコーナーへと押し込んでヒザ蹴りを入れる。対するせりはパワーでWINDY姐さんをコーナーへと押し込んでいく…が、どうにもWINDY姐さんにコントロールされている。更には勢いのあるワンツーを放つWINDY姐さん、やはり実力差は歴然。その証拠にせりの腰が引けている。

2Rも強烈な打撃で試合を圧倒するWINDY姐さん。ワンツーやローキック、首相撲からのヒザ蹴りやボディブローを何発も入れてせりから戦闘意欲を削っていく。最後はボディへのヒザ蹴りが一閃、喰らったせりは思わずその場に倒れてうずくまり、動く気配がない。今日はせりの「心」を折ったWINDY姐さんが、強烈なKOで再起戦に勝利した。


う〜ん、なんというか、思っていたより実力差があったなぁ。いかにせりが実力をつけてきたとはいえ、いきなりセミファイナルでWINDY姐さんに当てるのはちょっとムリがあった、という事かぁ。まあ結果論だけどね。もう少しせりが喰らいつくものだと思っていた。残念だ。

第十試合 新女王女王誕生なのだっ!

SMACK GIRL ミドル級 女王決定戦 5分3R
○赤野仁美(163cm/58.0kg/AACC)
●モーリー・ヘイゼル(165cm/58.0kg/アメリカ/APEX柔術)
[2R 1分32秒 腕十字固め]
※赤野が新王者に

割拠のメインイベントは、女王であるローラ・ディオーガストが防衛意思を見せない為に返上扱いとなったSMACK GIRLミドル級の新女王決定戦。この試合に出場するのは、見た目は地味ながらも柔道では確かな実績を持ちながらも、自身の入場曲を作詞作曲し歌ってしまう「地味に多才な」赤野仁美。「スタンドはド素人、グラウンドはド玄人」というアンバランスな強さを持つ赤野、柔術の猛者で知られるバレット・ヨシダを師匠に持つウェディング・プランナー、モーリー・ヘイゼルを相手に勝利できるか?


で、やっぱり赤野は弱くて強い。スタンドではアゴが上がったまま構えていて、ヘイゼルが放つワンツーを前におっかなびっくりながらも突進する赤野。どうにも危なっかしい事この上ない。「こんな選手が本当に強いの?」と問われれば…組んでしまえば強いんだなコレが。1Rは合計三度グラウンドになったが、いずれも積極的に攻めたのは赤野。足をとったり、マウントを奪ったり、下から腕十字を仕掛けたり。

迎えた2R序盤、ヘイゼルに組み付いた赤野は一本背負いでテイクダウン、速攻で腕十字を仕掛けた。腕が完全に伸びるとヘイゼルがタップ。ややアッサリ気味ではあるが、赤野がSMACK GIRLミドル級の新女王に輝いた。

勝った赤野は「チャンピオンになっても終わりじゃないです。また次のステージに私もジョシカクも上がっていきます!」と涙ながらに宣言。チームメイトの藤井恵や風香や玉田育子が彼女を祝福していた。


赤野が女王になった事は非常にメデタイのだが、同時にこの試合から感じたのは「やはり、立ち技に難があるなぁ」という事。僕の周りの人の意見の中には「いっそ、この試合で負けた方が赤野のためになったんじゃないのか?」というものもあったくらい。女王となったからには打撃の練習にも精を出して欲しい。

雑感

選手の中で目に留まったのは…第八試合に出場したMIKUとリサ・ワードの二名。「また同じカードをやれば、今度はMIKUが勝てるんじゃないかなぁ」という期待もあるし、同時に「ワードをもう一度観たいなぁ」というのもある。ワードはビジュアルも悪くないし、実力も充分。ここは再来日を期待したいね。あとは、The Next Cinderella Tournamentを制した竹下嘉奈子。活き活きとしたグラウンドには将来性を感じた。身長も非常に高いし、本格的に打撃を覚えればいい選手に育つんじゃないかなぁ?

んで。興行全体の感想としては、小粒に良い試合が揃っていたとは思うんだけど…やっぱり「やや冗長」という感じは否めない。これは結果論だけど、The Next Cinderella Tournamentの決勝は別な日でも良かったんじゃないかな。やはり今のSMACK GIRLの試合内容で全十試合は多すぎると思う。全八試合くらいで充分じゃないのかなぁ?


以上、長文失礼。