9/1 J-NETWORK 後楽園ホール興行 2分の1以下だけど観戦記

Mask_Takakura2006-09-01

今年も来ました、MACH GO! GO! GO!

本日は後楽園ホールにてJ-NETWORKを観戦。


今日のJ-NETWORKの興行の目玉は、昨年好評を博した軽量級のトーナメント、「MACH GO! GO!」

もちろんこの大会のテーマソングはこの曲、「MACH GO! GO! GO!」


昨年開催された「MACH 55 1st」は、55の数字が示す通り55kg級のトーナメントだったが、今年はNJKFの真王杯が55kg級トーナメントを開催した煽りを受け、52kg級のトーナメントへの変更を余儀なくされた。ついた名前は「MACH GO! GO! '06 52kg級トーナメント」。今回はフライ級に焦点を当てようって寸法だ。

正直、現在の日本キック界のフライ級は選手層が薄い上、存在感も薄い。しかし逆にいえば、このトーナメントはその存在をアピールするには絶好の機会。MACH 55 1stを機会に日本キック界のバンタム級が活性化したのと同じく、このトーナメントを機にフライ級は活性化されるのか?


というわけでチケットを購入、A席で5000円。高い。よくわからないんだけど、僕がJ-NETWORKを観戦すると立見席はいつも満員なんだよなぁ。もっと増やせないのかい。んで、いざ会場入りしてみれば、観客の入りは約七割、北側をすべて潰しているのにこの客入り。苦戦しているな、やっぱりフライ級は注目度が薄いんだねぇ。


さて今日は、第八試合からの記述である。まあ僕の職場からは何をやっても後楽園ホールまでは一時間は掛かるのだが、今日の興行の試合開始時間は17:30だという。そりゃ、半分しか観れないわな。開始はもう少し遅くならんのかねぇ。

ちなみにJ-NETWORKのリングアナは、あの「ヤマモ」こと山本雅俊。昔、JWPの社長だったあのヤマモ。みんな知ってた?

第八試合 トンコツファイトが空回り

ライト級 肘無し 3分3R + 延長3分1R
梶原龍児(170cm/60.5kg/チームドラゴン/J-NETWORKライト 王者)
●KAWASAKI(176cm/61.0kg/リアルディール)
[3R 2分25秒 TKO]
※タオル投入

KAWASAKIといえば「トンコツドロドロファイト」。ひたすら前進しながら打撃を連発、相手を泥沼の展開へ引きずり込む試合ぶりが得意である。で、この試合でもひたすら前進を続けたのだが…梶原にはこのスタイルが通用しなかった。


梶原はスウェーやダッキングを駆使してパンチをかわし、KAWASAKIをコーナーまで誘うと、コーナー際で入れ替わって顔面にワンツーやフックを連打。ガードは決して巧い方ではないKAWASAKIの顔面に、次々に打撃が打ち込まれていく。こうしてKAWASAKIはラウンドが進むにつれて失速。う〜ん梶原、巧いねぇ。

迎えた3R、しこたま打撃を浴びせた梶原は流れのなかでボディにヒザ蹴りを叩き込んだ。これをモロに喰らったKAWASAKIは後退、梶原はボディに右ストレートを入れて追撃。効いてしまって動けなくなったKAWASAKIにレフリーがスタンドダウンを宣告するのと同時に、KAWASAKIのセコンドがタオルを投入。チームドラゴン応援団の歓声のなか、梶原がトンコツを平らげた。


梶原の闘い方は「トンコツドロドロファイト」を迎撃するスタイルとしては理想の形だった。それにしても相手の打撃を捌くのが巧い選手だったな。梶原ねぇ、覚えておこう。


第九試合 互角の展開が空回り

MACH GO! GO! '06 52kg級トーナメント 一回戦 3分5R + 延長2分1R
○松尾宗(162cm/51.1kg/POWER-X/J-NETWORKフライ級 二位)
高橋拓也(158cm/51.6kg/拳之会/NJKFフライ級 一位)
[判定 2−0]

ここからはMACH GO! GO! '06 52kg級トーナメント。第一試合では国崇と同じ拳之会所属の高橋拓也と、J-NETWORKフライ級のランカーである松尾宗が対戦。ズバリ言って僕は二人ともまったく知らないわけだが、パンフを読む限りでは、両者共に後ろには下がらない事を信条としているそうだ。激戦は必至か?


この試合は全ラウンドを通して「ローキック合戦」となった。お互いに右ローキックを連発する中で手数で勝ったのは松尾、一発の威力に勝るのは高橋。ここで優位に立ったのは松尾の方、高橋の前進に合わせて下がりながら右ローキックを連打。2R中盤あたりから、ローキックが効いてきた高橋の動きが鈍り始める。対する高橋は、ローキックを起点に最終的には接近してパンチに繋げたがっているようだが…松尾は高橋が接近したタイミングにパンチを巧く合わせて付け入る隙を与えない。本来は前に出るタイプだという松尾、この試合では高橋のスタイルに合わせているようだ。

やや追い詰められた高橋は2R終盤以降、右ローキックだけではなく至近距離でのヒジ打ちや裏拳などを放ち一発逆転を狙うが、相変わらず手数は松尾が上の状態。止まらない右ローキックを前に劣勢に立たされた高橋、それでも前進を止めずに隙を見て反撃した結果、3R終盤あたりから手数が増え始め、4Rには展開を五分に戻していた。

しかし松尾は「下がり続けて、右ローキックを連打」というスタイルを試合終了まで崩さず、高橋が接近した時は細かいパンチ連打〜右ローキックで動きを止めていく。自分のペースをまったく崩さないまま試合を支配する松尾を前に、高橋は逆転狙いの打撃を次々に打ち込んでいく中で試合は終了。

決着は判定に委ねられた。「松尾の2R〜3Rの攻勢を評価するか?有効打がないと観るか?」というのがカギを握っていたが…、この攻勢をジャッジ二名が支持、松尾の勝利となった。


う〜ん、まあ好勝負ではあったんだけど…正直、試合を観ている途中で「こりゃあ、KO決着はないなぁ」と感じてからはやや興醒めしちゃったかな。それにしても松尾は最後まで自分の打撃を貫いたなぁ。厄介そうな選手だな。

第十試合 逆転劇が空回り

MACH GO! GO! '06 52kg級トーナメント 一回戦 3分5R + 延長2分1R
○森田晃允(165cm/51.7kg/士道館橋本道場/MA日本フライ級 王者)
●山野寛之(165cm/52.0kg/チームドラゴン/J-NETWORKフライ級 六位)
[判定 3−0]

MACH GO! GO! '06 52kg級トーナメントの第二試合は、このトーナメントの優勝候補の一人である森田晃允が登場。これまた知らない選手なのだが、パンフによると空手家らしい豪打が武器で最近はバンタム級で活躍しているらしい。その対戦相手は、キック界の急成長しているチームドラゴンの精鋭、山野寛之。まだデビューして三戦のルーキーだが、UKF(学生キック)フライ級王者、新空手王者とアマチュア時代の実績は充分。


1R〜2R中盤までの序盤は、山野の打撃のコンビネーションが試合を支配。ワンツー〜ミドルキック、ワンツースリー〜ハイキック、ワンツー〜ミドルキック等、多彩なバリエーションで打撃を放つ山野、更には要所で前蹴りを加えて森田との距離を突き放す。対する森田は、いかにも空手家らしくどんなに打撃を喰らっても前進を続け、前田を何度もコーナー際やロープ際へと追い詰めていく。だが山野は前蹴りやパンチを駆使して距離を稼ぐ。森田が自分の打撃を繰り出せない状態が続く。

そんな流れで迎えた2R中盤。山野はカウンターの前蹴りで森田を吹っ飛ばした後でコンビネーションで攻め込むと、前に出る森田にカウンターのヒジ打ちを一閃。見事にヒットし、森田は額をカットし流血。試合は「いよいよ、山野のTKO勝利が見えてきた!」という流れになった、かと思われた。


しかし額をカットした事で、逆に森田に火がついた。2R終盤より、森田はこれまで以上に前進を続けてプレッシャーをかけると、山野のコンビネーションには対して真っ向から打撃で対抗する。山野をコーナーに追い詰めれば左右のフックを中心とした突きの連打を放つ森田、組み付けばヒジ打ちと首相撲からのヒザ蹴り。強引で真っ直ぐな攻め方で試合のペースを一気に巻き返す。

3R〜4Rは一方的に森田が攻めた。「ズンズンと前進を続ける森田を前に、山野はコンビネーションも繰り出せずに後退。森田は相手を追い詰めてストレート、フック、ボディブローといった打撃を連打」という展開が何度も続いたのだ。真っ直ぐな森田を前にして序盤とは一転、追い詰められた山野。逆転を狙ってヒジ打ちを繰り出すが、まったく当たらない。そして繰り出される森田の素早い突き、一発クリーンヒットすればKOは必至だろう。もっとも、その一発がなかなか出ないんだけど。

5R。ようやく山野が復活、森田との距離が離れれば得意のコンビネーションで攻める。しかし森田も怯む事なく前進、これまでと同じく山野をコーナーに追い詰めてパンチを連打する。山野は足で距離を稼ぎワンツー〜ハイキックで反撃、気がつけば試合は熱い打ち合いに。森田のローキックで山野がスリップ、山野のヒザ蹴りで森田がスリップ。両者応援団の歓声が交差する中で試合は終了。

判定は3−0のストレートで森田が勝利、準決勝へと駒を進めた。


う〜ん、これまたなかなかの好勝負ではあったんだけど…やっぱりどうしても「こりゃあ、KO決着はないなぁ」と思っちゃうんだよなぁ。まあ森田がKOを狙える打撃を持っている事は判ったから、次に期待しよう。

第十一試合 神経戦が空回り

MACH GO! GO! '06 52kg級トーナメント 一回戦 3分5R + 延長2分1R
○TOMONORI(162cm/51.8kg/OGUNI-GYM/NJKFフライ級 王者)
●飛燕野嶋(160cm/51.4kg/川田ジム/MA日本フライ級 二位)
[延長判定 3−0]
※本戦判定 0−0、公式記録はドロー

MACH GO! GO! '06 52kg級トーナメント、その第三試合には優勝候補の筆頭であるTOMONORIが登場。これまでの戦績は20戦16勝4敗9KO、軽量級の割に高いKO率が特徴だ。僕はこの人の試合は一度だけ観戦した事があるが、打撃のバリエーションが豊富で技巧派という印象を持った。対戦相手は飛燕野嶋、こちらは知らない選手なのだがパンフによると戦績は15戦9勝4敗2分7KO、こちらも技巧派ながらKOを狙える選手らしい。似たタイプの選手同士の対戦というワケだな。


試合では両者の実力が拮抗した神経戦に。全ラウンドを通して、インにアウトにと野嶋のローキックが休む事なくTOMONORIの左足を襲った。自らは下がりつつ次々にローキックを放つ野嶋、本命TOMONORIはこのローキックを前に大苦戦。接近して重いミドルキックやワンツースリーフォーと続くパンチのコンビネーションも、ローキックの山を前に有効打にならない。1R〜2Rは野嶋がペースを握った。

それでもTOMONORI、ジリジリと前に出続けて打撃を繰り出す。3Rにはサイドキックで野嶋を吹っ飛ばし、4R以降は重いローキック、飛びヒザ蹴り、ワンツースリー〜ミドルキックといった多彩な打撃で試合の流れを引き戻す。野嶋も左足への集中砲火に加えてミドルキックを連打しつつ必殺のフックでKOを狙う…が、TOMONORIは打撃をしっかりと防御。

5R、TOMONORIは組み付いてのヒジ打ち、ワンツー〜ボディブロー、ミドルキック、テンカオ、フックといった多彩な打撃で野嶋を攻める。最後は打ち合いとなったが…ヒットが多かったのはTOMONORIの方。う〜ん、TOMONORIが一気に巻き返したな。

試合終了、僕としては「マストだとしたら、有効打にはなっていなかったけどローキックの手数で野嶋の金星かなぁ?」と思っていたが、判定の結果はドローで試合は延長戦に突入。あ、トーナメントなのにマストシステムじゃないんだ。まあTOMONORIが足を気にする素振りもなかったし、野嶋には悪いがドローもやむなしかな。


延長Rはたったの2分。野嶋はこれまでと変わらず、下がりながらローキックを連打。対するTOMONORIは飛びヒザ蹴りで野嶋のアゴを打ち抜くと、ローキックとストレートで野嶋を追い込む。しかし中盤、TOMONORIはこれまで効いている素振りを見せなかった左足を気にしてしまう。「おっ! いよいよ野嶋の金星かっ!?」と思われたが、TOMONORIはミドルキック、ヒザ蹴りの連打、ワンツー〜ハイキックで攻めこみ、このダメージをカバー。対する野嶋もローキックを連打するも、TOMONORIの反撃を前に今一つ攻め込み切れない。

こうして延長Rが終了。判定は「ちょっとローキックが効いているみたいだから野嶋の勝ちかなぁ」と思ったが、3−0でTOMONORIが勝利。成程、ジャッジはダメージより試合運びの方を評価したのね。


それにしてもこの試合、両者の実力が互角だったために試合全体が空回りしちゃった印象があるなぁ。正直、面白さはイマイチかな。まあ、両者共にいい選手である事がわかったのは収穫だったけどね。とりあえずTOMONORIには、次の試合でのKO決着を期待したいね。

第十二試合 一方的展開が空回り

MACH GO! GO! '06 52kg級トーナメント 一回戦 3分5R + 延長2分1R
○魂叶獅(161cm/51.8kg/はまっこムエタイジム/J-NETWORKフライ級 王者)
西村勝(164cm/52.0kg/E.S.G/NJKFフライ級 三位)
[5R 2分50秒 KO]
※野嶋は5Rにダウン1、最後はヒジ打ちでレフリーストップ

MACH GO! GO! '06 52kg級トーナメントもいよいよ最後の試合。本日のメインイベントには唯一の全日本キックからの参戦にして、開催しているJ-NETWORKのフライ級王者に君臨する魂叶獅(たかし)が満を持して登場。

しかし魂叶獅は今、絶不調。四月にはかつて敗北を喫したチェ・ジンスンにリベンジマッチを挑むもハイキック一発でKO負け。七月は自身が所属するはまっこムエタイジムの主催興行でメインイベンターを勤めたが、ムエタイ戦士ペット・ポースワンジムに判定負け…と、今年に入ってまだ勝ち星がないのだ。今日の相手はNJKFフライ級三位の西村勝。主催団体のチャンピオンとして日本人を相手に快勝できるか?


と、スランプぶりを記述したものの…、この試合は一方的な展開で魂叶獅が西村を圧倒。序盤から右ストレート、左ミドルキック、右ローキックといった上中下に分かれた打撃を繰り出す魂叶獅、組み付けば首相撲からヒザ蹴りを連発。ガンガン前に出て積極的に攻める魂叶獅を前に西村は早くも防戦一方、必死にストレートやローキックで反撃するも焼け石に水

魂叶獅の攻撃の中で、特に首相撲からのヒザ蹴りは有効打となった。顔面へボディへと容赦なくヒザが叩き込まれれば、西村の動きが徐々に鈍る。迎えた4R、朦朧とする西村に魂叶獅は顔面への前蹴りを連発。次々に顔面にヒットし、何度も西村のアゴが上がればその度に観客も歓声を上げる。


だが、やはりフライ級の打撃は軽いのだろうか。5Rになっても西村はフラフラとはしているが…ダウンする気配がないのだ。焦る魂叶獅は右ストレートの連打、ヒザ蹴りの連打、右ローキックと色々な打撃を浴びせていく。西村はガードもできない状態だが。それでもフラフラしながら立っている状態。業を煮やした魂叶獅は西村を捕まえてヒジ打ちを連打する。ようやくレフリーがスタンディングダウンを宣告。

そして、このヒジで西村は顔面をカット。しかし試合は続行、ゾンビ状態の西村を魂叶獅は前蹴りで仰け反らせるが、それでも西村は立っている。試合の残り時間は30秒、一発大逆転を狙って浴びせ蹴りを繰り出す西村だが空振り。何とかKOを奪いたい魂叶獅は西村をコーナーへと追い詰めてヒジ打ちを猛連打。一方的に喰らう西村、試合時間は残り10秒…というところでレフリーが試合を止めた。魂叶獅、間に合ったね。


ちなみに魂叶獅はこれが自身初となるKO勝ちなのだが、本人は勝った後も納得していない様子。確かに一方的な展開の割にはKOまで時間が掛かった印象はあるなぁ。ま、今年初勝利でもあるし、そんなに落ち込む事はないと思うけどね。KO賞の5万円で焼肉でも喰いながら、ゆっくり反省してくれい。

次回の組み合わせ抽選会が空回り

メインイベントが終了し、これにて本日の興行はお仕舞い…ではない。MACH GO! GO! '06 52kg級トーナメントの準決勝のカードを決定すべく、その場で抽選会が行われたのだ。抽選形式は「くじ引き」というシンプルなもの。まずは森田がくじ代わりのカラーボールを引き、次に松尾がボールを引いたが…二人のボールは同じ色。

こうして、なんともあっさりと準決勝の組み合わせが決定。これに松尾応援団でなくとも「空気読めっ!」とツッコミを入れたくなるね。当人も「空気の読めなくてスイマセン」としきりに謝っていた。まあ、本当は松尾が悪いんじゃないけどさ。

MACH GO! GO! '06 52kg級トーナメント 準決勝戦
森田晃允(士道館橋本道場/MA日本フライ級 王者)
松尾宗(POWER-X/J-NETWORKフライ級 二位)

MACH GO! GO! '06 52kg級トーナメント 準決勝戦
魂叶獅(はまっこムエタイジム/J-NETWORKフライ級 王者)
TOMONORI(OGUNI-GYM/NJKFフライ級 王者)

雑感

う〜ん、MACH GO! GO! '06 52kg級トーナメントについては、客入りも盛り上がりも今一つだったなぁ…というのが素直な感想かなぁ。

一生懸命に闘った選手達には申し訳ないが、やはりフライ級の打撃は軽い。各選手の実力が拮抗していたのも、今日は悪い方に転がってしまった感じがする。試合自体は決してつまらないわけじゃないんだけど、一発がないと思うとどうしても緊張感が欠けちゃうんだよなぁ。やっぱり見ていて「ああ、これはKOは難しいな」って試合が続くとねぇ。

ま、次回興行での巻き返しに期待しますかね。


以上、長文失礼。