8/12 K-1 ラスベガス・ベラージオホテル興行(地上波) 簡易観戦記
これ、本当に「世界最終予選」なの?
K-1 GP 世界最終予選…といえば、昔は「残されたキップを掛けて世界中から強豪が集結!」ってイメージだったけど、今回集まったメンバーを見ると…何だか北米予選をもう一回やっているだけのようにも見えたな。ぶっちゃけ、強豪中の強豪は一人もいなかったし。
やっぱり、今のK-1 GPの規模と比べると「決勝に進出できるのは16名!」っていうのは多すぎるんだよ。半分で充分。あと、前年度のベスト8は自動的に次の年のGPにも出場できる…っていうのもおかしい。優勝者と準優勝者だけでいいよ。
今年はついに開幕戦の会場を縮小したK-1 GPだけど、この際だから興行の体制そのものを見直してみたらどうなのかねぇ?
第一試合 巨大な黒豚にサソリの毒は効かない
K-1 GP 世界最終予選 一回戦 3分3R + 延長3分1R
○アレクセイ・イグナショフ(196cm/116.6kg/ベラルーシ/チヌックジム)
●イマニー・リー(195cm/134.5kg/アメリカ/シャークタンクジム)
[判定 2−1]
リーを見て最初に思った事。「なんだぁ、あの『デカいだけ』の選手は?」「K-1ってそこまで出場選手が枯渇してるのか?」。
でも、イグナショフってこんな選手に苦戦しちゃうのね。そりゃあ体重差もあるし、倒すのは大変なのはわかるけど、イグナショフだってそんなに小さくないわけだし。こんなMEGATONな選手を捌けないのであれば、もうイグナショフに復活はないだろうな。I編集長も心底ガッカリしている…かな?
…と思ったら、試合中に右足首を負傷したのね。苦戦するのもやむなしか。
第二試合 そんな事よりMr.ラスベガス、マックですよ!
K-1 GP 世界最終予選 一回戦 3分3R + 延長3分1R
○マイケル・マクドナルド(180cm/91.3kg/カナダ/フリー)
●アリエル・マストフ(182cm/90.0kg/イスラエル)
[判定 3−0]
※1R、マストフにダウン1
K-1ラスベガス興行といえばこの人、マイケル・マクドナルド。気が付けば41歳、それでも衰えぬスピードと筋肉美。正直、K-1がちゃんと階級分けしていれば、この人はかなり強い!と思っているんだが、残念ながら日本での知名度は今一つ。かつてはミルコ・クロコップを倒したこともあるし、K-1にしては小柄だけどいい選手だと思うんだけどねぇ。
ま、とりあえず一回戦はダイジェストだったけど、あとでたっぷりとその闘いを堪能させてもらいましょ。
第三試合 欧州の稲妻、完全復活
K-1 GP 世界最終予選 一回戦 3分3R + 延長3分1R
○ステファン・“ブリッツ”・レコ(187cm/98.0kg/ドイツ/ゴールデン グローリー)
●スコット・ライティ(187cm/101.7kg/アメリカ/ザ ピット)
[3R 58秒 TKO]
※2ダウン
ワンツーとローキックが基本の両者。そうなると、お互いの地力の差がそのまま試合の結果になるかなぁ…と思っていたら、本当にそんな感じになった。
それにしてもレコは復活したねぇ。スピードもノッていたし、右ローキックも走っているし、2Rから使ったボディブローも有効打になっていたし、コンディションはかなり良さそうだなぁ。事実上のフィニッシュとなった左フックもお見事。完勝ですな。
藤原紀香:「昔の『自信』が蘇ってきてますね!」
レコの仕上がりを見た紀香姉さんの一言。僕としては紀香姉さんにも昔の自信を取り戻して芸能活動に勤しんで欲しい。確かに年々、化粧が濃くなっていますが…それがいいんです。華は枯れない、ただ円熟す。
第四試合 剛腕を呑み込んだハリケーン
K-1 GP 世界最終予選 一回戦 3分3R + 延長3分1R
○カーター・ウィリアムス(189cm/118.5kg/アメリカ/チーム ブードゥーUSA)
●ゲーリー・グッドリッジ(191cm/108.9kg/トリニダード トバゴ/フリー)
[判定 3−0]
※グッドリッジは2Rにダウン1/ウィリアムスは2Rにダウン1
ぬあっ、あんまり認識してなかったけど…ウィリアムスは確かにデカくなったな。でもテレビでは「10kgの増量に成功」って言ってたけど、お腹の肉を見る限りでは失敗してるんじゃないの?対するビッグダディは前回出場から中二週間での登板。この人も結構消費されてるなぁ。
この試合のウィリアムス、1Rはかなり慎重。呼吸とかテンポとか闘い方とか、すべてをグッドリッジに合わせていたなぁ。まぁ「一発」を恐れての事なんだろうけど、テレビで見る分にはどうにも退屈な展開だった、というか。
だから、2Rのダウンの奪い合いも、全体的にスローモーな展開だった事で「なんだか大味だな」っていう風にしか見えなかったなぁ。まあ、改めてビデオで見るとグッドリッヂの強引なブン回しの右フックも、ウィリアムスのカウンターの右アッパーもメチャメチャ強烈だったんだけどね。確かにアレを生で見りゃ観客も燃えるわな。
3Rになってからは俄然、ウィリアムスの動きが良くなった。特にボディブローとローキックは有効だったと思うが、グッドリッヂのガードも最後まで下がらなかった。下半身にガードの意識を持たせて、ガードの下がったところにアッパーなんて入ったら、美しかったんだけどなぁ。
藤原紀香:「とにかく今、『目の前の選手を倒す!』というか。ゲーリー選手も本当に立派なモンですねぇ」
黒柳徹子ばりに早口に、心を込めずに試合を総括する紀香姉さん。僕としては紀香姉さんにも本当に立派なボディをこれからも維持して欲しい。年々、化粧が濃くなっていますが…それがいいんです。華は枯れない、ただ円熟す。
第五試合 ロシアの速射砲、黒いコブラを打ち抜き切れず
SUPER FIGHT 3分3R + 延長3分1R
○ルスラン・カラエフ(188cm/95kg/ロシア/マルプロジム)
●デューウィー・クーパー(184cm/91.3kg/アメリカ/ワン キックス)
[判定 3−0]
クーパーは打撃は大振りなのに最後まで大きく崩れる事はなかったなぁ。実況の言うとおりのクレバーさでスタミナ配分とかも考えているのかな?至近距離からパンチを連打していたのも、カラエフがレイ・セフォー戦で屈した二度のKO負けが、どちらも「至近距離でのフック一発」だった事に習ったのだろう。その「一発」が出る事はなかったけどね。
対するカラエフ、相変わらずスピードは素晴らしいんだけど、今日はパッとしなかった。多分、今回は「下半身に打撃を集めて、相手のガードが下がったところに顔面にパンチ」って作戦だったんじゃないかな?でもクーパーのガードが意外に堅くて苦戦しているように見えた。試合全体では押していたけど、KOに繋がらなかったのは残念。
それにして谷川Pはコメントでカラエフを大きくPushしてたなぁ。久々に現われた「素人にも判りやすい実力者」なだけに、大事にしたいのだろうね。
第六試合 Mr.ラスベガス、豚をキッチリと攻略
K-1 GP 世界最終予選 準決勝 3分3R + 延長3分1R
○マイケル・マクドナルド(180cm/91.3kg/カナダ/フリー)
●イマニー・リー(195cm/134.5kg/アメリカ/シャークタンクジム)
[判定 3−0]
※出場予定だったイグナショフは右足首を負傷し棄権、リーが出場
※リーは1Rにダウン後の攻撃で減点1/マクドナルドは1Rにダウン1
第一試合のダイジェストで見たときから「ダメなオーラ」を発散しまくりのリーだったが、やっぱりダメな選手だった。やれる事は圧力にまかせての突進、技術をまるで感じないラッシュ。倒れた相手を殴ったり、ゴングが鳴って相手が無防備になってから殴ったり。K-1 GPもこんな選手を使わなきゃならん程に堕ちたのか。明らかにモンスター路線の弊害、というか。
対するマクドナルド、いかにグッドコンディションをキープしようとも…相手とは15cmの身長差 & 40kg以上の体重差。さすがに苦戦するわい。それでも巨漢退治の定番、遠距離からのローキックが走る走る。とても41歳とは思えん。2Rの最後にリーが足を押さえて苦しむ場面とかは、もうダウンとっていいだろ。惜しいのは、ダウンを奪えなかった事。谷川Pの言うとおり、3Rに右足を負傷したのかもしれん。それでも試合終了間際に右フックがヒット、リーがフラフラしたシーンは美しかった。
藤原紀香:「わかんないなぁ、コレ」
試合終了直後、判定についてコメントする紀香姉さん。
わかるだろ、ババァ!
どう見たって「俺のマック!」の勝ちだろ!
取り乱しました。
第七試合 ハリケーンを貫く稲妻
K-1 GP 世界最終予選 準決勝 3分3R + 延長3分1R
○ステファン・“ブリッツ”・レコ(187cm/98.0kg/ドイツ/ゴールデン グローリー)
●カーター・ウィリアムス(189cm/118.5kg/アメリカ/チーム ブードゥーUSA)
[1R 2分40秒 KO]
※バックスピンキック
一回戦とは別人のような素早い動きを見せるウィリアムスに期待をしたんだが…。何の前触れもなくバックスピンキックがズバリと決まっちゃった。もう少しウィリアムスの活躍が見たかっただけに残念。とはいえ、あれだけレバーにグサリと入ったんじゃあ、しょうがないわな。
第八試合(未観戦) こりゃホントに語れんわい
SUPER FIGHT 3分3R + 延長3分1R
△フェルナンド・カレロス(アメリカ/アメリカン ケンポー カラテ アカデミー)
△ドゥエイン・ラドウィック(アメリカ/3-D マーシャルアーツ)
[判定 0−0]
※ラドウィックは1Rにダウン1
見てないものは語れない…のだが、この試合がダイジェストでもテレビ放送されなかったのはK-1 MAX枠の試合だったからかな?そういえば、K-1 MAXはまだ本格的には世界進出をしないのか?
第九試合 南海の黒豹、鉄人の勇姿を五度倒す
SUPER FIGHT 3分3R + 延長3分1R
○レイ・セフォー(180cm/107kg/ニュージーランド/レイ セフォーアカデミー)
●アゼム・マクスタイ(182cm/90.4kg/スイス/ウィング タイ ジム)
[3R 2分2秒 TKO]
※レフリーストップ/マクスタイに1Rにダウン2、2Rにダウン1、3Rにダウン2
「鉄人の勇姿」マクスタイは特に額のあたりがアンディ・フグに似てたなぁ。失礼しました。
で、気がつけばセフォーも35歳ですっかり大ベテランなのだが、相変わらず体格の小さい相手を潰す時は鬼のような強さを発揮するね。1R終了直前に入れた右ストレートで勝負アリ…と思ったら、割とアッサリマクスタイが立ってきちゃった。どうなんだろ?アレで倒せないのは「セフォーの衰え」だと思うんだが…。
2Rはちょっと遊んでいたセフォーだが、3Rには強烈な右ボディブローとバックスピンキックで試合を決めた。だけどまあ、実力差は歴然だったし、願わくはもっと早く決着をつけて欲しかったね。…っていうか、セフォーって実はラッシュとか仕掛けるのは苦手だったりする?
藤原紀香:「(しみじみと)いや〜、凄い」
溜息交じりにボソッと感想を漏らす紀香姉さん。僕にしてみれば、色々な意味で紀香姉さんだって充分に凄いんです。年々、化粧が濃くなっていますが…それがいいんです。華は枯れない、ただ円熟す。
第十試合 Mr.ラスベガスの夢、稲妻に砕かれる
K-1 GP 世界最終予選 決勝 3分3R + 延長3分2R
○ステファン・“ブリッツ”・レコ(187cm/98.0kg/ドイツ/ゴールデン グローリー)
●マイケル・マクドナルド(180cm/91.3kg/カナダ/フリー)
[2R 2分28秒 TKO]
※マクドナルドの棄権/レコが最終予選を突破
正直、コンディションの良さそうなレコに対して、前の試合で黒豚のせいで右足を負傷したっぽいマクドナルド。お互いにグッドコンディションなら好勝負も期待できただろうに。この二人の対決が、何もしないまま終了してしまったのは本当に残念。
第一、「拳の負傷」がマクドナルドのトーナメント引退の最後の決まり手では本人も無念だろう。年齢的には相当に厳しいだろうが「もう一丁!」と言いたい。僕はもっとMr.ラスベガスの試合が見たいからね。
藤原紀香:「………」
マクドナルドの拳の負傷を知って絶句する紀香姉さん。年齢を経ると傷の治りも遅いという。K-1 GPのコメンテイター歴は二桁、紀香姉さんも年々負傷箇所をカバーすべく化粧が濃くなっていますが…それがいいんです。華は枯れない、ただ円熟す。