4/5 K-1 MAX 代々木第一体育館興行(地上波) 簡易観戦記

面白かった、というか

本当は前回のK-1 MAX(K-1 WORLD MAX 日本予選)こそ観戦記を書きたかったんだけど、もう旬を過ぎちゃったからなぁ。んで、本当はあんまり書くつもりはなかったK-1 WORLD MAXを書くことにした。今回はビデオで何度か試合を見直しながら書いているんだけど…、結論を先に書けば「面白かった」と思う。まあ「判定に納得がいかない」とか「日本人最優先、歴代王者優先の放送形態」とか色々不満がある人の方が多そうだけど、僕はそれらの不満以上に「面白い」って感情が先に立っているなぁ。

オープニングファイト第一試合 見ていない、というか

ミドル級 3分3R + 延長3分1R
○木浪 利幸(177cm/69.75kg/日本/フリー)
●ソーレン キング(182cm/69.9kg/オーストラリア/NTGジム)
[判定 3−0]

見てないものは語れない…のだが、「『木浪 利幸』って誰だっけ?」と思ってググってみたら…、ああ「輝浪」の事なのね。ついでに彼はNJKFで活躍する選手なのね。覚えとこう。
直接は関係ない話。NJKFって団体は何度か観戦した事があるんだけど、興行自体は非常にシンプルで飾りっ気がなくて地味なんだけど、意外と選手は揃っているんだよねぇ。チケット代も安いし、フラフラと観戦するにはいい団体だったりするんだよねぇ。

ちなみにNJKFは自身のHPで前回の興行の模様を動画公開している。意外と面白いから見てみぃ。
http://east.jp/kick/

オープニングファイト第二試合 ちょっとでも見たい、というか

ミドル級 3分3R + 延長3分1R
○TATSUJI(174cm/70.0kg/日本/アイアンアックス/K-1 MAX '06 日本大会準優勝 & R.I.S.E. DoA TOURNAMENT '05 優勝)
●ニック "ザ ゴースト" ゴンザレス(167cm/68.9kg/アメリカ)
[判定 3−0]

またまた見てないものは語れない…のだが、TATSUJIってIKUSAに出場した事がないのね。こりゃ意外だった。
直接は関係ない話。IKUSAって団体は…、なんだか知らんがチケットがとれない。いつも「観たいなぁ」と思うんだけど「チケット買おうかなぁ」って思い立った頃には必ず完売してしまう。行きてぇなぁ、IKUSA。今年になってから何の音沙汰もないのが気になるけど。

第一試合 真っ向勝負、というか

K-1 WORLD MAX 2006 トーナメント開幕戦 3分3R + 延長3分1R
○アンディ サワー(178cm/69.8kg/オランダ/SBオランダ/K-1 MAX '05 世界大会優勝 & S-CUP '02 & '04 覇者)
●"SHINOBU" ツグト アマラ(171cm/68.2kg/モンゴル/チーム ハードコア/前全日本ライト級 王者)
[延長判定 3−0]
※本戦判定 1−1

紹介映像について一言。アマラは日本語を喋れるだろ!

それにしても今日のアマラは気合が入ってた。全日本キックでの湟川 満正で大苦戦するアマラ(当時は白鳥 忍)を見た時には「やっぱりライト級からミドル級への増量ってムリがあるんじゃないの?」と思っていたが…、最近は相手が弱らないと絶対にラッシュを仕掛けないアマラが序盤がガンガンラッシュを仕掛けて行ったのには驚いた。3分3R制という事でいつもより早い段階でラッシュを仕掛けたんだろうけど…、やはりあれだけ飛ばしてしまうと延長戦はガス欠するよねぇ。ま、今日は僅差で敗れたけど、この内容ならK-1 MAXでの更なる活躍が期待できるね。ま、その前に全日本キックに凱旋してほしいけど。

対するサワー、アマラのとんでもない圧力に押されっぱなしで本当に苦しい試合だったけど、確かに3Rは押していたのはアマラなのだが、的確に打撃を当てていたのはサワー。TVで見ていた時は「ああ、サワー負けたなぁ…」と思ってたけど、確かにビデオで見返すとサワーの打撃がバキバキと入っていた。スゲェ。で、延長Rでは自力が爆発、的確に当てたアッパー一発でアマラの体力を根こそぎ奪って判定勝利。サワー好きとしては今回は本当にヒヤヒヤさせられたが、最後はハッキリと差をつけての勝利でかなりスッキリした。

それにしてもこの試合、戦前は「相手が崩れないとラッシュに行かないアマラ」と「スロースターターのサワー」の激突という事もあり「死ぬほどにつまんない試合になる」と思っていたんだが…、スゲー面白かったなぁ。久々に声出しながら見ちゃったよ。

第二試合 荒削り、というか

K-1 WORLD MAX 2006 トーナメント開幕戦 3分3R + 延長3分1R
○ドラゴ(175cm/69.7kg/アルメニア/チーム イッツ ショータイム)
●オーレ ローセン(177cm/69.8kg/デンマーク/Untamed)
[判定 3−0]

2Rを見せられただけ…ではあったが、ドラゴの荒削りで大振りながらも、大技を絡めて相手を押し込んでいくラッシュはド派手で「TV向き」と言えるだろう。
準決勝は是非、佐藤 嘉洋とやって欲しい。佐藤がこういう選手をライツアウト殺法で黙らせる姿を見たい、というか。

第三試合 二人とも良かった、というか

K-1 WORLD MAX 2006 トーナメント開幕戦 3分3R + 延長3分1R
○佐藤 嘉洋(184cm/70.0kg/日本/フルキャスト/K-1 MAX '06 日本大会優勝)
●マイク ザンビディス(167cm/68.5kg/ギリシャ/メガジム)
[判定 3−0]

ザンビディスって、強烈なパンチばかりがクローズアップされるけど、実はローキックもメチャメチャ破壊力がある。だが…、さすがに17cmも身長差があると動きの止まるローキックは打てなくなるんだねぇ。本当はローキックで意識を下に散らして…とかもやりたかっただろうに。とはいえ、闘う前から既に得意技を封印されている状態でありながら、よく闘ったなぁ…と思う。

対する佐藤は本当に「いつもの佐藤」って感じ…なのだが、これはこれで凄い。ザンビディスのパンチにヒヤリとする場面もあったけど、全体的には全く問題がなかった、というか。「完成度が高い」と言えるであろう佐藤の戦法、やはり今年のK-1 MAX覇者はこの人になるのか? ま、この人の闘い方っていうのは3分5R制の方が真価を発揮すると思うし、人気が出ると思うんだけどね。それにしてもローキックとヒザ蹴りが止まらなかった。攻め達磨。

第四試合 かっこ悪い、というか

K-1 WORLD MAX 2006 トーナメント開幕戦 3分3R + 延長3分1R
○小比類巻 貴之(180cm/70.0kg/日本/チーム ドラゴン/K-1 MAX '04 '05 日本大会優勝)
●イム チビン(175cm/68.9kg/韓国/ソウル テウンジム/K-1 MAX '06 韓国大会優勝)
[3R 2分24秒 KO]
※3ダウンによる

イム チビンねぇ…。本当はウェルター級程度の体でよく頑張っているねぇ。太い四肢から繰り出される打撃は強烈で、SBで緒形 健一に勝った時は「鬼のように強い選手だなぁ…」と思ったし、宍戸 大樹が激闘の末に判定勝利を収めた時は物凄く感動したんだが…。そのイムを完全KOするんだから「なんだかんだ言っても小比類巻って強いんだなぁ…」と認めざるを得ないね。

だがまあ、誰もが思う事だろうけど…、やっぱり「待ちすぎ」。イムの前に出るプレッシャーが強くてあんまりローキックとか出せなかったんだろうけど、「パンチに磨きをかけてきた」のならもっと積極的に攻めてほしいところ。身体面でも勝っているのであれば尚更だ。ぶっちゃけ、彼を使っているくらいならTATSUJIを本戦で使った方がいい映像が撮れるんじゃないの?

第五試合 わからない、というか

K-1 WORLD MAX 2006 トーナメント開幕戦 3分3R + 延長3分1R
アルバート クラウス(175cm/69.7kg/オランダ/K-1 MAX '02 世界大会優勝)
●アリ グンヤー(180cm/69.5kg/トルコ/アル フィッドジム)
[判定 3−0]

一言。リベンジ戦なのかもしれないけど、キックの試合での負けをK-1でリベンジしてもねぇ…。

もう一言。最終ラウンドを見ただけなので試合については何とも言えないところだが…、クラウスってあんなにボディブローを多用する選手だったっけ?…イヤ、単純に記憶にないだけなんだけどさ。

試合の放送時間が短くて、これ以上書きようがない、というか。

第六試合 美しい、というか

K-1 WORLD MAX 2006 トーナメント開幕戦 3分3R + 延長3分1R
○ブアカーオ ポー プラムック(174cm/69.1kg/タイ/ポー プラムックジム/K-1 MAX '04 世界大会優勝)
●ヴァージル カラコダ(178cm/69.1kg/南アフリカ/スティーブズジム)
[延長判定 2−1]
※本戦判定 0−0

しかしまあ、今回のルール改正(「掴み禁止」)でムエタイは何もかもを奪われたなぁ。「ヒジもナシ、首相撲もナシ」…って状況の中で、ムエタイがどのような強さを発揮すれば良いというのであろうか?そんな中、ブアカーオは「ムエタイ選手のK-1での闘い方」を示してくれた。ヒラリヒラリとパンチをかわしながら、強烈なヒザ蹴りをカラコダのボディへ入れていく。この試合に関して僕は、もう勝敗とかは関係ない。その身のこなしの美しさだけでお腹一杯、である。よくやってるよ、実際。

カラコダは「成程、結構強いなぁ…」とは思ったけど、新しいルールはパンチを主体とする選手に有利に働いていると思うので、ルールに助けられた部分も大きいように思う。負けたけどね。

それにしても…この試合を見るにつけ「掴みは反則」っていうのはやっぱりムリがあるんじゃないの?

第七試合 女は上書き保存、というか

K-1 WORLD MAX 2006 トーナメント開幕戦 3分3R + 延長3分1R
魔裟斗(174cm/70.0kg/日本/シルバーウルフ/K-1 MAX '03 世界大会優勝)
レミギウス モリカビュチス(168cm/67.0kg/リトアニア/リングス リトアニア/第二回ZST-GP 優勝)
[2R 3分24秒 KO]
※タオル投入による

よく、恋をした時の男女の違いとして「男はファイル保存、女は上書き保存」なんて例えが出てくる。K-1 MAXは魔裟斗人気に支えられ、魔裟斗人気は女性に支えられている以上、魔裟斗K-1でメインを張り続けるのが「宿命」なのだろう。そして試合もバッチリと決めなくてはいけない「宿命」である。そういう意味では、今日の試合は百点満点だったのではないか?「突進型ファイターはこう退治せよ」という典型的な闘い方を示した魔裟斗はまさに「マタドール」。最後もきっちりとKOを奪ったし、魔裟斗の「子猫ちゃん達」には堪らない展開だろうな。見事。

レミーガも「猛牛」らしく小さな体を駆使して必至に喰らいついたが、やはりあの闘い方はグローブの小さい「総合格闘技」でこそ有効なのだ。K-1での試合を続けるのであれば、今度はもっとガードを強化して試合に挑んで欲しい。

K-1 MAXはこの試合で「次の興行の成功が約束された」と言えるのではないか?

雑感

冒頭にも書いたけど、僕には非常に見応えのある興行だったなぁ。特に「サワー vs アマラ」と「佐藤 vs ザンビディス」が面白かったね。アマラはマスクも甘いし、もっと日本語で喋らせれば人気が出るんじゃないのかな?

ただ、ルールがますます「お嬢様ルール」(佐藤 嘉洋、吐いた唾は飲み込むな!)になってしまったのは残念。やっぱり「格闘技」という大前提に立って、今のK-1を見ると、どこまでも「サビ抜き」なんだよなぁ…。やっぱりキックを観ている人間としては、もうちょっと「大人の味」にして欲しいんだけどね。


以上、長文失礼。

最後に

僕の友人のPON君が、今回のK-1 MAXについて「熱い想い」を文章にしている。本当に熱いから読んでみてくださいな。
http://d.hatena.ne.jp/pon-taro/20060406