8/13 Krush 後楽園ホール興行 観戦記 ver0.5

今回もツイッターをベースに、軽い感じで書いていきます

本日は後楽園ホールKrushを観戦。


セミファイナルの石川直生vs梶原龍児、メインイベントの佐藤嘉洋vs名城裕司など、並んだカードが素晴らしい。他にもK-1 Japanで活躍した堀啓や、全日本キックにも上がっていた白虎などが参戦する今回のKrush。最近は観客動員で苦戦している印象のあるKrush、これで観客が入ってくれれば文句はないのだが…。


チケット購入、A席で4000円。なんか以前に比べて、チケット代が安くなった気がする。観客は約七割。ここ最近のKrushでは入っている方ではあるのだが、かつての全日本キックを思えば寂しい入りだなぁ…。

第一試合 自分よりも年上のキックボクサーは無条件にリスペクトしてしまう

63kg契約 3分3R + 延長3分1R
○前田修(173cm/62.6kg/GET OVER)
●高橋功(163cm/62.7kg/和術慧舟會DUROジム)
[2R 1分18秒 KO]
※3ダウン

33歳の前田修vs43歳の高橋功という「年の功対決」。お互いにNice Age((c)YMO)な対戦は、序盤こそお互いにワンツーを交差させる一進一退の攻防だったが、徐々に若いけど若くない前田がパンチで押し込む展開となった。2Rにワンツーをクリーンヒットさせる前田、高橋はダウン。勢いに乗った前田は、そのままワンツーの連打を連発して高橋から3ダウンを奪った。

第二試合 K-1甲子園vs新空手K-2って面白い構図だよなぁ

55kg契約 3分3R
○田中一輝(164cm/54.8kg/月心会/K-1甲子園2008 西日本 第三位)
●力也(169cm/54.6kg/KSS健生館/全日本新空手K-2 軽量級 2006年 王者)
[3R 12秒 KO]
※タオル投入:右フック

K-1甲子園出身の田中一輝vs新空手王者の力也(大前力也から改名)、お互いの出身が興味深い対決だ。

元空修会館の力也が1Rにカウンターの左ストレートでダウンを奪うも、力也はその後も逃げることなく打ち合いを挑む。これに田中が応戦するも、ラウンドが進むごとに打ち合いで優勢になったのは田中だった。 劣勢の力也だが正面からのブン殴り合いを続けた結果、ついに2Rに田中の右フックの強打を連続で受けてダウンを喫してしまった。なんとか立ち上がった力也だが、足元はフラフラ。それでも試合は続行したが…。迎えた3R、開始早々から打ち合いに挑んだ力也は、田中の右フックを喰らって再ダウンを喫した。この様子を見たセコンドがタオル投入。

う〜ん、2Rのダウンで止めるべきだったような…。

第三試合 僕は基本的には大味な試合よりも、技術を活かして休まず闘う試合が好きです

60kg契約 3分3R
△一馬(175cm/59.6kg/小比類巻道場)
△森川修平(168cm/58.8kg/KSS健生館/全日本新空手K-2 軽量級 2009年 王者)
[判定 0−0]

新空手K-2出身の森川修平vs小比類巻道場の一馬。試合は終始、お互いに休むことなく打撃を繰り出す技術戦に。下がり続ける森川の蹴りが早い。ワンツー〜左ロー、そして右ミドルを繰り出す森川に対して、一馬は森川を追いかけ続けてワンツーや右アッパー、左ミドルを繰り出す。3R通して殴って蹴った両者の勝負は、判定の末にドローに。個人的に好みの試合展開だった。

女子アマチュアマッチ キックに打つ込む青春

Krush女子特別ルール 2分2R + 延長2分1R
○谷山佳菜子(正道会館東大阪本部/2009年&2010年 極真会館 世界女子55kg級 優勝)
魅津希(空手道白心会/2007年 全日本グローブ空手 中学女子の部 優勝)
[判定 2−0]

ここで何故か女子アマチュアマッチ。極真会館の世界王者である、正道会館の谷山佳菜子vs三年前にグローブ空手の中学部門を全国制覇した15歳の魅津希。えっ!? という事は、魅津希は12歳で制覇したのか。なんかスゲェな。そして生き急いでるなぁ。

マチュアという事で頭にヘルメットを着用して行なわれた試合は、谷山が左の中段蹴りと右の膝蹴りを駆使して終始、魅津希を寄せ付けなかった。魅津希がパンチで飛び込んだりしたが、結局は蹴りを駆使して接近を許さず、そのまま判定2−0で勝利した。

第四試合 最初は威勢が良かったんだけど…

85kg契約 3分3R + 延長3分1R
○ヤン・カシューバ(180cm/84.6kg/バンゲリングベイ・スピリット/ワールド士道館空手ミドル級 2005年 王者)
●地主正孝(175cm/84.1kg/正道会館/2002年 正道会館アメリカ大会 優勝)
[判定 2−1]

ここからは、元全日本キックでは試合が組まれなかった85kg級〜ヘビー級の試合が三試合。まずは新田明臣ニコラス・ペタスの最強タッグが主宰するバンゲリングベイ・スピリットに所属するヤン・カシューバvs増量しまくった「天才」須藤信充に勝利した経験を持つ正道会館の地主正孝。

1Rはカシューバをジッと見据える地主の右ストレート&左フック&重い左ミドルが唸りを上げるも、カシューバは顔を赤くしながらもワンツーを武器に前に出続けた。カシューバのプレッシャーはラウンドを増すごとに強くなり、地主は徐所にこれを捌けなくなった。3Rはワンツーと右ローで押しまくったカシューバが、2−1のスプリットながらも判定で勝利した。

第五試合 それにしても今日は、空手出身者の試合が多いな

85kg契約 3分3R + 延長3分1R
洪太星(185cm/84.5kg/極真会館/2002年 極真会館日本空手道選手権大会 ベスト8)
●長井憲治(181cm/84.5kg/U-FILE CAMP赤羽)
[判定 3−0]

日本キックにも参戦した経験のある、極真会館のの洪太星vs総合格闘技が主戦場の長井憲治。試合では終始、洪の華麗な蹴り技が長井を圧倒。右ローと右ミドルで長井を寄せ付けない洪は、上段後ろ回し蹴りやカカト落としも駆使する余裕ぶりを魅せる洪だが、蹴り技は華麗なれど決め手には欠けてしまい、最後まで長井を倒すことは出来なかった。判定3−0で洪が勝利したが、画竜点睛を欠く展開になってしまったねぇ。

第六試合 K-1 JAPANも今は昔の話

ヘビー級 3分3R + 延長3分1R
堀啓(196cm/100.0kg/小比類巻道場/K-1 JAPAN 2003年&2004年&2005年 第三位)
●福田雄平(174cm/97.0kg/HIDE'S KICK)
[3R 2分7秒 TKO]
※タオル投入:堀の左ローで福田が2ダウンした後

今は懐かしいK-1 JAPANで長年活躍した196cmの堀啓vsパンフレットによるとPANCRASEが主戦場だという174cmの福田雄平(ちなみに参戦は一度のみ)による、身長差22cm対決。

PANCRASEに参戦した選手らしく、福田は試合開始と同時にリーチ差を埋めるべく、懐かしのMEGATO戦法で突進して右フックを振り回すが、これを冷静に捌いた堀が重い左ミドルと左ローを重ねて福田の体力を削る。あっという間に前に出れなくなった福田に対して、堀はワンツーや左ローを重ねて行くも、攻撃が単調で福田に粘られてしまうどころか、時折福田の右フックを何度も喰らってしまった。それでも堀は左ローで福田の右脚を破壊して、3Rにダウンを二回奪った後でセコンドがタオルを投入。

ふ〜む、堀が活躍していた頃からK-1ルールって随分と変わったからなぁ。首相撲がなくなった今のルールだと、堀みたいな選手はKOを奪うのは難しいのかな…。ああ、せめて左ボディを覚えればなぁ…。

第七試合 そうか、吉川ってこんな選手だったのか

70kg契約 3分3R + 延長3分1R
○吉川英明(170cm/68.0kg/チームドラゴン/J-NETWORKウェルター級 三位 & 元全日本キックウェルター級 三位)
●白虎(176cm/69.4kg/和術慧舟會/チームC3BLAIZ/元全日本キックウェルター級 二位 & 元NKBウェルター級 王者 & R.I.S.E.70kg級トーナメント 準優勝)
[判定 3−0]

ここからはメインイベントまで、実力者同士の対戦。元NKBウェルター級王者の白虎vsJ-NETWORKウェルター級の吉川英明、ともに30歳を超えている選手による対戦だ。


1Rから白虎はワンツーを連打して右ローに繋げるコンビネーションを連発。対する吉川は、白虎の打撃を喰らっても前進を続けてワンツー&ボディと右ローを返していく。白虎はテンカオも駆使して遠ざけようとするも、吉川は尚も前進を続けてワンツーを連打。

互角の打ち合いのまま試合は3Rに突入したが、吉川はひたすら前進を続けて白虎を追い詰めると、ワンツーを次々にヒットさせる。打撃のダメージで崩れる白虎に対して、吉川はロープ際でワンツーを連打。パンチを次々に浴びた白虎がついにダウンを喫した。試合はそのまま判定となり、3−0で吉川が勝利。


正直、今まで吉川ってあんまり印象に残る選手じゃなかったんだけど、こういう闘い方をする選手だったのか。名前は知っていたけど、今回はその闘い方も覚えておこう。

第八試合 石川よ、あぁ石川よ、石川よ…

63kg契約 3分3R + 延長3分1R
石川直生(177cm/62.6kg/青春塾/第二代 全日本スーパーフェザー級 王者)
梶原龍児(176cm/63.0kg/チームドラゴン/WFCA世界ライト級 王者 & 元J-NETWORKライト級 王者 & 全日本新空手K-2 軽中量級 2005年 王者 & 元プロボクシング東洋太平洋スーパーバンタム級 七位)
[判定 3−0]
※石川は3Rにダウン2

本日のセミファイナルには、キックボクシングを世間に届けるべくK-1 MAX -63kg級に出場しながらも、活躍できずに二回戦敗退を喫した石川直生の再起戦。その対戦相手は前田尚紀と伝説の激闘を繰り広げた「歌舞伎龍」梶原龍児。石川にとっては不足のない相手。まずはここで勝利して、K-1再進出の足掛かりにしたいところだ。


1Rから梶原のパンチを警戒しつつ、プレッシャーを掛けて右ローと左ミドルを重ねる石川。前に出てくる梶原をジャブで遠ざけつつ、下半身を攻める蹴りを重ねた石川がペースを握った。梶原は遠距離から左ミドルを返していくも、蹴りのヒット数は石川の数が多かった。こうしてリズムに乗った石川だが、時間が経過するごとにガードが甘くなっていた。梶原がパンチで前に出ると、必要以上に警戒した動きを見せていたのも気になる…。

そして迎えた3R。恐らくは作戦だったのだろう、これまでは大人しかった梶原がプレッシャーを掛ける。ガンガン前に出て真っ直ぐに石川を追う梶原、カウンターのパンチで石川はスリップダウンを喫する。これで手応えを掴んだ梶原は更にプレッシャーを掛けてワンツーの連打を浴びせる。徐々に梶原の勢いの押される石川、そしてついに右フック被弾。怯む石川、梶原はそのままラッシュを仕掛けると右ストレートでダウンを奪う。

喜ぶチームドラゴン応援団、そして悲鳴を上げる青春塾応援団。立ち上がった石川は失点を挽回すべく、残り30秒という時間の中で、いつも以上に必死に梶原を攻め込むも…。石川の勢いをクリンチなどでやり過ごした梶原は、逆にパンチを浴びせて残り10秒の時点で二回目のダウンを奪う。ガッカリしながら立ち上がる石川に対して、梶原は両腕を上げて応援団の歓声に応えた。判定の結果、3−0で梶原の勝利。

梶原はマイクで「自分の試合で、会場が熱くなってくれて嬉しい」と感謝の意を現わし、「梶原龍児!ハンパねぇ男!」とヒップホップ調で自己アピールしていた。


前半は飛ばし気味に試合を進めるも、後半は相手のプレッシャーに押されてしまう。パンチに対するガードが甘く、顎が弱い。今日の石川は、典型的な自身の「負けパターン」に嵌ってしまったなぁ。そして、これで今年の石川の戦績は1勝3敗。その表情を見る限り、今回の石川は自身の負けをかなり重く受け止めているように見えた。僕は「再起戦で敗北」という以上に、前田尚紀山本元気が倒している梶原に敗北した、という事実が重いように感じた。K-1の舞台では才賀紀左衛門という新鋭に破れ、昨年は大活躍したKrushの舞台でまた敗れた石川。キックボクシングの伝道師の明日はどっちだ?


第九試合 名城も強いけど、それ以上に佐藤が…

70kg契約 3分3R + 延長3分1R
佐藤嘉洋(185cm/70.0kg/名古屋JKファクトリー/K-1 WORLD MAX 2006年&2007年 日本代表トーナメント 優勝 & 元WKA世界ムエタイウェルター級 王者 & 元WPKC世界ムエタイスーパーウェルター級 王者)
名城裕司(170cm/68.0kg/国士会館)
[判定 3−0]

本日のメインイベントには、出場が予定されながらも急遽欠場となった山本優弥の代役として、全日本キックを主戦場にしていた佐藤嘉洋が、約五年の時を経て、全日本キックから派生したKrushの舞台に立つ。名古屋に住んでいたせいか、実力がありながらも全日本キックでは冷遇されていたが、今回はKrushプロデューサーの宮田充氏の熱意によってリングに上がる事になった佐藤。今日の対戦相手は、NJKFウェルター級王者の健太を撃破して勢いに乗る名城裕司。前WBA世界スーパーフライ級王者、名城信男の弟である。


試合開始。まずは名城が右ミドルを重ね、佐藤のガードの隙間を狙ってワンツーを放つも、佐藤は意に介する事なくノシノシと前に出てプレッシャーを掛けていく。名城も佐藤のパンチにワンツーを合わせるなどで健闘するも、佐藤のプレッシャーは時間が経過するごとにドンドンと増していく。ワンツーと右ローを淡々と重ねていく佐藤に対して、名城は2R終盤頃になると左脚のダメージで動きが鈍るようになる。

迎えた3R。佐藤のプレッシャーが益々強くなる。右ローで名城にダメージを与えつつ、ワンツーとテンカオを駆使して一方的に攻め込む佐藤。名城は自ら攻め込む事ができず、下がりながらパンチを返すのが精一杯の状態だ。それでも打ち合いに応じる事もあった名城に対して、佐藤は最後まで容赦なく攻め続けた。判定の結果、3−0で佐藤が勝利。

勝った佐藤は「名城選手は強かったです。これから絶対上がってくる選手だと思います」とエールを贈ると、「格闘技界はここ二〜三年で景気が悪くなっていますが、悪いからこそみんな力を合わせて欲しいです。内輪で闘うのではなく、もっとメジャーなサッカーや野球よりも格闘技のほうが(日本での)歴史は古いし、メジャースポーツになれる力があると思うので、みんなで盛り上げていきましょう!」と主張。佐藤はキック界全体を見渡すコメントをする事が多いねぇ。


う〜む。15cmという身長差から来るリーチ差を活かして、佐藤が無難に勝ったって感じだねぇ。名城も決して弱くはないんだけど、今回は体格差のみで決着がついた印象があるなぁ。僕は名城は強い選手だと思うけど、それ以上に佐藤の強さは磐石だったなぁ。そんな佐藤だが、K-1 MAXの次の興行がいつ開催されるか不明な現状はかなり辛いようで、次戦は海外での試合を視野に入れているようだが…。どうするK-1っ!?、どうなるK-1っ!?。

雑感

う〜ん、全体的には面白かったかな。序盤はKOが続いたし、セミファイナル前〜メインイベントは激闘が続いたしね。特にセミファイナルは、石川直生梶原龍児を見てきた人にとっては色々と考えさせられる試合内容だったしね。正直、途中の重量級の試合は気が抜けちゃったけど、まぁ、アレはアレでアリか。

それにしても、これだけの面子を揃えても、後楽園ホールは満員にならないのかぁ…。嗚呼、後楽園を埋め続けていた全日本キックも、今では遠い昔の御伽噺かぁ…。


以上、長文失礼。