明日は全日本キックの大一番!


11/3のS-CUPに続き、今度は全日本キックが大一番を迎える。


対戦カードを見た時の第一印象は「う〜ん、全日本キックの光景が二年前に戻ったかのようなカードだなぁ」。昨年から今年にかけて、全日本キックの主力階級はフェザー級〜Sフェザー級に遷移していた。しかし今回の主役は、スーパーウェルター級とライト級。最近、全日本キックのファンになった人からすればピンと来ないカード編成かもしれない、というかねぇ。


しかしまあ、前田尚紀山本真弘は長期欠場、山本元気は「もう限界!」とギブアップ宣言。正直、フェザー級四天王は全日本キックにコキ使われていた印象があるからなぁ。ま、来年からはその負担をライト級やウェルター級に移せればいいと思うけどね。もちろん、再びフェザー級戦線が盛り上がるのも大歓迎だけどさ。

前半の四試合について

第一試合 ヘビー級 3分3R
洪太星(極真会館 横浜港南支部) ※松井派
コンボイ山下(超越塾)


第二試合 スーパーウェルター級 3分3R
藤元洋次(NSG)
クリストフ・プルボー(スイス/スクランブル渋谷)


第三試合 ヘビー級 3分3R + 延長3分1R
安部康博(建武館/全日本ヘビー級 三位(元王者))
山宮恵一郎(GRABAKA/全日本ヘビー級 六位)


第四試合 スーパーウェルター級 3分3R + 延長3分1R
後藤友宏(TEAM GO/全日本Sウェルター級 十位)
佐藤皓彦(JMC横浜GYM/全日本Sウェルター級 五位)

なんといっても注目は、第四試合の後藤友宏 vs 佐藤皓彦だろう。NKBの元ランカーの後藤は青春塾祭りで全日本キックに初参戦、強烈な打撃で実力者の大蔵”PHOENIX一号”を撃破している。対する佐藤は大輝と同じくJMC横浜GYMの所属、長身を活かした闘い方は大輝にそっくりなのが特徴である。明日のSウェルター級を担う者同士の対戦、これからブレイクしていくと思われる二人を青田買いするには良いカードだ。


第一試合には久々に極真会館の選手が登場。洪太星は2002年に全日本選手権で八位、2003年には全世界選手権の日本代表に選ばれている。肩書きの年数がやや古いのは気になるが、野地竜太以来となる極真選手のキック進出には大いに注目したい。対戦相手はかつて郷野聡寛のキックデビューの相手を務めたポリスマン、コンボイ山下。郷野が圧勝した相手に、洪がどのような闘い方を挑むかに注目したい。


第三試合にはGRABAKA山宮恵一郎が出場。試合はやや大味な展開にはなると思うが、注目したいのは彼が「3分3R + 延長3分1R」のサドンデスマッチ、つまり肘ありルールで闘う事にある。対戦相手の安部康博は元ヘビー級王者、どんな選手か僕には知識はないのだが…もし彼が肘打ちを使ってきた時、総合格闘技には存在しない打撃を前に山宮のハイブリッド・ボクシングは通用するのか?その辺を注目したいと思う。

後半のセミ〜メインについて

第五試合 61kg契約 3分3R + 延長3分1R
チューティン・シットクヴォンイム(タイ/谷山ジム/元ラジャダムナンバンタム級フェザー級 王者)
増田博正(スクランブル渋谷/全日本ライト級 王者)


第六試合 ライト級 3分3R + 延長3分1R
大月晴明(AJKF/WPKC世界ムエタイライト級 王者)
山本雅美(北流会君津ジム/NJKFライト級 一位)


第七試合 68kg契約 3分5R
ゲーンカート・チューワッタナ(タイ/ラジャダムナンウェルター級三位 & タイ国プロムエタイ協会ウェルター級 三位)
大輝(JMC横浜GYM/全日本ウェルター級 王者 & ラジャダムナンウェルター級 八位)


第八試合 62kg契約 3分5R
小林聡(藤原ジム/WKA世界ムエタイライト級 王者)
ジャルンチャイ・ケーサージム(タイ/ラジャダムナンライト級 王者 & WMCプロムエタイ協会ライト級 王者 & オームノーイライト級 王者)

第五試合に出場する色男、増田博正はサトル・ヴァシコバを切り裂いて全日本ライト級王者になったばかり(そういえば観戦記をUPしてねぇなぁ)。相手はラジャダムナンで二階級制覇を成し遂げた選手だが、短いラウンドの中で増田の凄まじい集中力がどこまで通用するかに注目したい。ただ、増田は一発喰らうと電源が落ちるタイプの選手なので、そこは心配。


第六試合…ついに大砲を引っさげて、あの大月晴明が帰ってきた!全日本キックへの復帰は昨年1月4日の小林聡戦以来、約二年ぶり。ロクに構えもせずに相手に近づき、たった一発で相手をKOへと追い込む独特のスタイルは一度見れば虜になる事は必然、19戦18勝1敗16KOの戦績は伊達じゃないのだ。

しかし対戦相手は、昨年サトル・ヴァシコバを切り裂いて秒殺勝利を得た「パンティ」こと山本雅美。ムエタイ選手とも互角以上に闘える強豪を相手に「格闘科学の探求者」大月が豪快な復活を遂げられるかが見ものだろう。ただラウンド数が短いので、ひょっとしたらKOは難しいかな?って気もするのだが。そしてヴァシコバは切り裂かれすぎ(苦笑)。


第七試合は全日本ウェルター級の新生にして、ラジャダムナンウェルター級の現役ランカーとなった大輝が上位ランカーとの試合に挑む。基本はムエタイスタイルながらもパンチでも巧さを発揮する大輝、対戦相手はゲーンカート・チューワッタナ。正直、ゲーンカートについての情報はあまりないが、底辺の広いムエタイにあって三位にランキングされる選手が弱いワケがないだろう。だが、この試合に勝てば王座挑戦への道も見えて来るだろう。大きなチャンスを大輝がモノにするか、若き大物の勝利を期待したい。


そしてトリを飾るのは、今年は最初で最後となるメインイベントへの出場を果たす小林聡ムエタイ越えだ。相手は現役のラジャダムナンライト級王者、ジャルンチャイ・ケーサージム。

一見すると、同じ階級の選手が相手という事もあり小林の苦戦は必至のように見えるが、実はジャルンチャイはひたすら軽いミドルキックでポイントを稼ぐタイプなので、ミドルキックを重要視するムエタイルールでは強いが、キックボクシングでは全然強くない選手だ。実際、新日本キックでは石井宏樹がジャルンチャイの王座に挑戦、KO寸前のところまで追い込んでいる(試合はジャルンチャイが判定勝利)。

ズバリ言って、キックルールで争われる今回の試合では小林の勝利は必然だろう。ならば僕は、小林が現役ラジャダムナン王者からKOを奪う姿が観たいね。

全日本キックはまだまだ走る!

とにかく今、物凄いスピードでキック界を駆け抜けている全日本キック。この興行は「大きな山」ではあるものの、あくまで通過点でしかない。後には12月の藤原祭り、そしてお馴染み1月4日が控えている。う〜ん、本当に駆け抜けているなぁ、まったく足踏みしていないというかねぇ。


藤原祭りには山本真弘、濱崎一輝、前田尚紀湟川満正、そして山本優弥の出場が決定。とにかく各階級にいい選手が山のように存在するのが今の全日本キックの強みだろう。で、恒例の藤原敏男・エキシビジョンマッチ、今年は渡辺久江とタッグを結成。この時点で既に敏ちゃんのセクハラ行為は確定しているワケだが、毎年意外な大物が参戦するエキシなだけに今年も期待したいね。