7/25 J-NETWORK 後楽園ホール興行 観戦記

Mask_Takakura2006-07-25

今日は仕事が早く終わったから観戦しました。ホントです

本日は偶然、仕事が早く片付いたので後楽園ホールにてJ-NETWORKを観戦する事にした。


本日のJ-NETWORKについては…正直、セミファイナルとメインイベントにしか興味がないのだが、その二つのカードは豪華な顔ぶれとなった。セミファイナルには昨年のK-1 MAX日本予選を準優勝した新田明臣が出場。対戦相手は無名の外国人なので圧勝が予想されるが、僕が新田の試合以上に楽しみなのがバンゲリングベイ応援団によるお祭り騒ぎ。鳴り物はバンバンと音を立て、試合開始から終了まで新田コールが止まらない…という新田劇場。一度目撃すれば頭に焼きついてしまうあの光景は一見の価値あり、だ。

そしてメインイベントは同団体のウェルター級王者である「喧嘩上等」我龍真吾が、二階級制覇を狙ってミドル級王者の寒川直喜と対戦。新田明臣の弟分である寒川と我龍の対戦はつまり、バンゲリングベイ応援団 vs 我龍応援団ともイコールである。これはなんともやかましい事になりそうだ、ヘタしたら暴動が起きるぞ(苦笑)。


ってな訳でチケットを購入。いつもの感覚で「立見席でも買おう」と思ったら売っておらず、5000円の席を買う事になってしまった。ちょっと高いなぁ。パンフレットも購入、1000円でまずまずの内容。観客は満員、明らかにセミファイナルとメインイベントの効果だな。


※観戦記は第三試合から。

第三試合 ドローじゃなかった

58kg契約 3分3R
○江口光治(165cm/57.9kg/チームドラゴン/J-NETWORKフェザー級 六位)
●小山内直人(172cm/57.4kg/谷山ジム)
[判定 3−0]

1R、江口は大振りなパンチを振り回しつつ前進、ワンツーやボディブローを連発。対する小山内は距離をとりながらのローキックと首相撲からのヒザ蹴りで対抗する。2R、ブンブン丸の江口はボディブローとフックで試合のペースを握ると、中盤に左フックをハードヒットさせる。ぐらつく小山内に江口はパンチの連打で追撃。

しかし3R、小山内はストレートを的確に当て続けると、下がる江口にミドルキックを連発で叩き込んで試合を押し戻す。終盤は壮絶な殴り合いとなったが、ここでもペースを握ったのは小山内。ここで試合終了、僕としては「ドローかな?」と思ったが、判定は3−0で江口の勝利。


う〜ん、小山内が所属している谷山ジムはMAキックのジムだから、この判定はホームタウンディシジョンかもしれんなぁ。ま、しょうがないね。

第四試合 一方的だった

58kg契約 3分3R
AKIRA(171cm/58.0kg/チームドラゴン/J-NETWORKフェザー級 七位)
●小野隆介(171cm/57.6kg/クロスポイント吉祥寺)
[1R 3分5秒 KO]
※右ストレート/小野は1Rにダウン1、2回目のダウンでKO

試合開始直後からAKIRAが圧倒。下がる小野を追いまわしてのワンツー、ボディブロー、ローキック、首相撲からのヒザ蹴り。

そして中盤、AKIRAは右ストレートで小野からダウンを奪うと、ここから一気にパンチのラッシュ。止まらない打撃を前に防戦一方の小野は、ラウンド終了直前に再び右ストレートを喰らってダウン、立ち上がれず。なんとも一方的な展開でAKIRAが勝利を修めた。


正直、ここまで一方的だと逆に感想らしい感想もないなぁ。

第五試合 太ってた

J-GIRLS 60kg契約 2分3R
○小八ヶ代真紀(164cm/59.4kg/ストライプル/J-GIRLS 六位)
篠原光(168cm/60.0kg/チーム南部)
[判定 3−0]

第五試合には、ジョシカクの黎明期を支えていた篠原 光が出場。僕は篠原を観るのは久しぶりなのだが、見た目の変貌に心底驚いた。

顔や体に丸みを帯びていたのだ。特に顔立ちは丸々としてしまい、とてもキャバ譲として働いていたとは思えない風貌になってしまったのだ。正直、このビジュアルだとデブ専の店でないと雇ってもらえなさそうだなぁ。おかしいな、今回の契約体重は昔と変わりがないのに。

そして、それ以上にキツかったのがコスチューム。上半身はスポーツブラ、下半身はショッキングピンクのミニスカートつきのスパッツ。痩せていればビジュアル的にも映えるのかもしれんが、篠原の場合は「正直、これは何の拷問だ?」という感が否めない。


で、試合については書くに及ばず。全ラウンドを通して無駄な裏拳を何度も連発する篠原、自分で勝手にスタミナを失っていく。そこを小八ヶ代がワンツーや前蹴りなどの正攻法で攻める。バテバテの篠原だがそれでも回転系の技を止めず、ますますバテバテになっていく。3Rの篠原はクリンチするのが精一杯、逃げる場面も多く見られた。そこを小八ヶ代がワンツーで攻め続ける。こりゃ一方的だな。


判定の結果、3−0で小八ヶ代が勝利。


う〜ん、篠原は見た目だけではなく試合も寒かったなぁ。レベルが激低、というか。こりゃあ、もうジョシカクの表舞台には帰ってこれなさそうだな…。

第六試合 頑張った

J-GIRLS ミニマム級 2分3R
○山田純琴(147cm/46.4kg/y-park)
●大島椿(152cm/47.25kg/ソーチタラダ渋谷/J-GIRLS 二位)
[判定 3−0]
※大島は2Rにダウン1

この試合では、147cmという小さい体ながらも山田純琴が頑張った。


1Rは身体が一回り大きい大島が、山田のリーチの外からストレートとミドルキックを振るい、接近すれば組み付いての膝蹴りを連打して試合を優位に進める。

だが空手出身の山田は大島のパンチに怯む事なく前に出てストレートを連打すると、2Rでは前に出る大島にカウンターのストレートを入れた。尻餅をつく大島にダウンが宣告されれば、山田応援団からは歓喜の声が。3R、大島は失点を挽回すべくミドルキックを中心に反撃、だが山田もストレートの連打で真っ向から応戦。


試合は判定へと委ねられ、3−0で山田が勝利を飾った。


うむ、試合に出るからには山田くらいの負けん気が欲しいねぇ。篠原は山田の爪の垢を煎じて飲むように。

第七試合 わからんかった

ウェルター級 3分3R+ 延長3分1R
田中秀弥(169cm/66.3kg/POWER-X/J-NETWORKウェルター級 四位)
●吉川英明(180cm/66.4kg/チームドラゴン/J-NETWORKウェルター級 九位)
[延長判定 3−0]
※本戦判定 0−1

1R〜2R、田中は距離を置きながらのローキックやミドルキックで吉川を攻める。吉川が接近してくれば前蹴りで遠ざけ、尚も接近してくれば首相撲からの膝蹴りで吉川にダメージを与える。対する吉川、下がる田中をローキックを放ちながら追いかけていくが、本命の攻撃であるパンチがなかなか当たらない状態。

こうして試合は田中有利の状態で進んでいったが…2R終盤に吉川の右ストレートが連続でクリーンヒット、田中のダメージは大きいようだ。チャンスを掴んだ吉川は3R、相手のお株を奪う首相撲からの膝蹴りの連打を田中のボディへ叩き込む。ブレイクされてもしつこく田中に組み付いて膝蹴りを連打する吉川、終盤にはワンツーもヒット。田中はかなり苦しそうだ。

試合は判定へともつれた。僕としては終盤の流れをガッチリ掴んだ吉川が判定勝利するかな?と思っていたが、実際の判定は1−0、試合は延長戦へと突入。う〜ん、確かに1R〜2Rの流れは田中が掴んでいたしなぁ。


延長R、吉川は3Rと同じく首相撲から膝蹴りを連打して攻めるが、このラウンドは田中も膝蹴りで対抗。ワンツースリー〜ローキック、裏拳、ローキックの連打といった攻めを見せる田中、吉川もストレートやボディブローで対抗。終盤、吉川は田中をコーナー際へと追い詰めてワンツーを叩き込むが、田中もテンカオ、ミドルキック、首相撲からの膝蹴りを連打して対抗、まったく譲らない。

という訳で延長も終了、再判定へ。僕としてはクリーンヒットを出していた吉川の勝ちかな?と思っていたら、実際の判定は3−0で田中が勝利。ふ〜む、どこが決定打になったかわからんなぁ。


僕は吉川が勝っていたと思います、ハイ。

第八試合 手数が多かった

フライ級 3分3R+ 延長3分1R
○松尾宗(162cm/50.4kg/POWER-X/J-NETWORKフライ級 二位)
●山野寛之(165cm/50.8kg/チームドラゴン/J-NETWORKフライ級 六位)
[判定 2−0]

この試合はMACH GO! GO! '06 52kg級トーナメントを見据えた一戦。松尾宗はJ-NETWORKフライ級王者である魂叶獅に大善戦した経験を持ち、山野寛之は学生キックボクシング王者として鳴り物入りでプロデビューを果たした選手。普段はあまり注目を集めない階級だが、このトーナメントがフライ級の活性化になればいいね。


試合はやや一方的な試合となった。全ラウンドを通して松尾はリングを回りながらローキックの連打、ストレート、ボディブローを繰り出し続ける。休む事なく次々に繰り出される松尾の打撃を前に、山野は前に出てストレートの連打やローキックを繰り出すも…その攻めは完全に後手に回っている。

手数の多い打撃で山野を圧倒する松尾。クリーンヒットこそなかったが、最後まで自分自身のペースで試合を優勢に進めた。

試合終了、判定は…決定打がなかった為にジャッジの一人がドローにするも、残り二人は松尾を勝者に。こうして松尾が判定勝ちを手にした。


ふむ、一発一発は軽かったけど、松尾の攻めは手数が多くていい感じ。MACH GO! GO!で勇姿を観る事はできるかな?

第九試合 あっさり終わった

63kg契約 3分3R+ 延長3分1R
小宮由紀博(173cm/62.5kg/フォルティス渋谷/J-NETWORKライト級 一位)
●明日華和哉(171cm/62.8kg/バンゲリングベイ)
[1R39秒 KO]
※右膝蹴り

J-NETWORKのライト級のエースといえば「東大卒の世界王者」西山誠人だが、関係者が「ポスト西山誠人」と睨んでいるのがこの小宮由紀博だ。で、この試合はチームドラゴン所属の「歌舞伎龍」梶原龍児に敗北して以来の復帰戦らしい。対戦相手は小林聡大宮司進とも対戦経験のあるベテラン、明日華和哉。古豪を相手に小宮がどのような試合ぶりをするかが見物だ。


…が、試合はあっという間に終了。

小宮は試合開始と同時にいきなりワンツーのラッシュを仕掛けた。明日華は勢いに押されて防御もままならない。これを見た小宮は組み付いての膝蹴りを猛連打。ドカドカと腹に膝蹴りを喰らった明日華はダウンし、立ち上がる事ができなかった。


う〜ん、正直あまりにもあっという間すぎて、小宮がどれくらいの選手がサッパリわからん、というか。

第十試合 強かった

52kg契約 3分3R+ 延長3分1R
○TOMONORI(162cm/51.4kg/OGUNI-GYM/NJKFフライ級 王者 & WMCインターコンチネンタルSフライ級 王者 & UKF世界バンタム級 王者)
●三好純(167cm/51.6kg/y-park)
[判定 3−0]
※三好は1Rにダウン1、3Rにダウン2

9月1日より開催されるMACH GO! GO! '06 52kg級トーナメント、その優勝候補と言われているのがこのTOMONORIだ。フライ級離れした破壊力のある打撃を武器に、NJKFのみならず二つの世界タイトルを持つ男だ。今日は若手の三好純を相手にMACH GO! GO!の前哨戦を行なうTOMONORI、三好としては一矢報いたいところだが…。


試合は終始、TOMONORIペースで進んだ。

1R、TOMONORIはローキックやストレートで三好を圧倒、前蹴りで距離を開けて裏拳を繰り出す。殆ど反撃する事ができない三好、中盤にはTOMONORIの重いストレートを喰らってダウンを喫してしまう。TOMONORIは尚もストレート、ボディブロー、ローキックといった打撃で三好を攻め込む。

2R、TOMONORIはローキックで三好を攻め込む。次々に叩き込まれるローキック、足にダメージを負った三好はローキックを貰う度に体が流れてしまう。終盤にはTOMONORIのワンツー〜ハイキックがヒット、三好がグラつけば観客からは歓声が沸く。

3R、ワンツーで反撃しようとする三好にローキックを叩き込んでダウンを奪うTOMONORI。立ち上がった三好は回転してバックから肘打ちを放つが、TOMONORIはローキック〜ハイキックのコンビネーションで三好にダメージを与え、再びローキックでダウンを奪う。2ダウンで後がなくなった三好に容赦なくストレートを連続で叩き込むTOMONORI、三好はフラフラになりながらも回し蹴りを連続で放って最後のダウンを拒んだ。

試合は判定となり、3−0でTOMONORIが勝利した。


う〜ん、僕はTOMONORIは初見だったんだけど、パンチもキックもフライ級離れした破壊力があっていいねぇ。MACH GO! GO!の優勝候補と言われるのもわかるよ。トーナメントでの活躍に期待したいね。

第十一試合 番狂わせが起きた

70kg契約(肘無し) 3分3R+ 延長3分1R
○田中龍星(177cm/69.75kg/チームドラゴン/J-NETWORKミドル級 五位)
●木浪利幸(178cm/69.75kg/BNB/WPMF世界スーパーウェルター級 王者)
[判定 2−0]

K-1 MAXへの出場経験を持つ木浪利幸がJ-NETWORKに登場。かつてはNKBで活躍し、昨年1月にルンピニースタジアムで世界王座を獲得している木浪はムエタイスタイルのテクニシャン。対戦相手はチームドラゴンの新星、田中龍星。この試合は肘無しルール、K-1 MAXとほぼ同じルールでの試合だ。田中としては木浪に勝てばK-1 MAXへの道も見えてくる。1996年デビューのベテラン相手に勝利を修められるか?


1R、ムエタイのような高い構えで田中の様子を伺う木浪、田中が接近すれば前蹴りで遠ざける。しかし田中はめげずにパンチで攻めれば、中盤にボディブローや右フックがヒット。フォームの美しいパンチで田中が主導権を握る。

2R、1Rと同じく前蹴りで田中を遠ざけてローキックを繰り出す木浪だが、田中はお構いなしに自分のペースで試合を進めず。ワンツーの連打、裏拳、テンカオといった打撃で攻め込む田中、木浪の攻めは完全に後手に回っている。こりゃあ、田中の金星は確定したかな?

3R、田中との距離を離して右ミドルキックを繰り出す木浪、しかし田中はドンドン接近しワンツーで攻める。木浪のローキックにカウンターのストレートを合わせ、飛び膝蹴りを叩き込み、反撃する木浪のワンツーに対してまたしてもカウンターのストレート合わせる田中。ジリ貧の木浪は試合終了直前にストレートをヒットさせるも、すべては後の祭りだった。

試合は判定となり、2−0で田中が金星を得た。う〜ん、この展開でドローの裁定を下す審判もいるのか…。わからんねぇ。


それにしても、僕は木浪を観るのは初めてだったんだけど…この試合では木浪の良さがまったく出ていなかったと思う。この試合からは木浪のテクニシャンぶりも世界王者ぶりもまったく見えなかった。この試合、「田中が良く攻めた」って事も言えるんだろうけど、それ以上に「木浪が何もできなさすぎた」って言い方が合っていると思うなぁ。体調が悪かったのかな?

第十二試合 お祭り騒ぎだった

72kg契約(肘無し) 3分3R+ 延長3分1R
新田明臣(180cm/71.5kg/バンゲリングベイ)
●オレグ・ウチェニン(179cm/71.55kg/ロシア/BUKUROジム)
[判定 3−0]

キミは「新田劇場」を知っているか?対戦相手の入場にも関わらず、

新田ッ!(チャチャチャ)
新田ッ!(チャチャチャ)
新田ッ!(チャチャチャ)

の大歓声が止まらない「新田劇場」を。そして本人が入場すれば、会場内にはBellini「Samba De Janeiro」が流れ、クラッカーが鳴り、スタンガンがバンバンと音を出す「新田劇場」を。この間、会場を包む声はただ一色。

Bellini「Samba De Janeiro」


ウォーーーーーーーーーッ!
新田ッ!(チャチャチャ)
新田ッ!(チャチャチャ)
新田ッ!(チャチャチャ)

この光景を初めて観たフリジッドスターさん(id:frigidstar)が圧倒されながら「新田の入場っていつもこんな感じなんですか?」と尋ねてきた。僕は答えた「いや、今日は相手が無名選手だから、いつものテンションの半分程度かなぁ?」。


しかし試合は単調だったのでダイジェストで。

1Rから多彩なパンチでラッシュを仕掛けてくるオレグを、新田はミドルキックとローキック、首相撲からのヒザ蹴りで攻略。試合は我慢比べとなったが、2R終盤頃から膝蹴りでスタミナを奪われたオレグの動きが鈍っていく。

試合のペースを握った新田は3Rはローキックの連打でオレグを崩しに掛かるが、オレグも時折ワンツーを新田の顔面に叩き込んで反撃。これで攻めあぐねてしまった新田、終盤は膝蹴りの連打とローキックの連打で動けないオレグをガンガン攻め込んだが、最後までダウンを奪う事はできなかった。


しかし、そんな煮えきらない展開でも関係なし、バンゲリングベイ応援団は相変わらず、

ウォーーーーーーーーーッ!
新田ッ!(チャチャチャ)
新田ッ!(チャチャチャ)
新田ッ!(チャチャチャ)

の大歓声。いつ聞いても凄い声援だ。

というワケで試合は判定へともつれたが、3−0で新田が勝利。


新田の試合は「バンゲリングベイ応援団の大歓声」込みで楽しむべきである。新田の試合スタイル自体はかなり地味だからねぇ。それにしても、あそこまで追い込みながらダウンを奪えなかったか…残念だなぁ。

第十三試合 壮絶だった

J-NETWORKミドル級 タイトルマッチ 3分5R
寒川直喜(180cm/72.4kg/バンゲリングベイ/J-NETWORKミドル級 王者)
我龍真吾(178cm/72.15kg/ファイティングマスター/J-NETWORKウェルター級 王者)
[4R途中判定 3−0]
※4R、両者同時にドクターストップ/寒川が防衛

他の選手には失礼だが…ハッキリ言って、今日はセミファイナルの新田劇場とこのメインイベントが観れれば充分だったりする。それくらい、この二つのカードは一見の価値があるのだ。


現在のJ-NETWORKウェルター級王者は、K-1 MAXでもお馴染み元新日本キックライト級王者の「喧嘩師」我龍真吾。昨年5月にSHINを倒してウェルター級の王者となった我龍だが、彼の野望は更に上にあった。今日、四人の子を持つ永遠の不良は、寒川直喜の持つJ-NETWORKミドル級の王座に挑戦する。今月、自身のジムである「ファイティングマスター」を八王子にオープンした我龍、自分のジムに箔を付ける為にも「三階級制覇」の肩書きを手に入れたいところ。ガラの悪そうな応援団の声援を受けながらガッツポーズを取る我龍、噂では嶋大介も応援団の中にいたりするそうな。類は友を呼ぶ、というか。

寒川直喜はその昔、桜井"マッハ"速人の弟分としてアマチュア修斗で活躍していた選手だ。新田明臣との出会いによりキックボクシングの扉を開いた寒川、R.I.S.E.でデビューを飾った後は順調に勝ち星を重ね、昨年9月に山内哲也を下してJ-NETWORKミドル級の王者となった。対戦相手の我龍はK-1 MAXの出場経験者、勝てば自身のK-1 MAX進出も見えてくる。バンゲリングベイ応援団のお祭り騒ぎのような大歓声を背に入場してきた寒川、リング上で我龍に物凄い目つきで睨まれても、平然と上から見下ろし続ける強心臓の持ち主でもあるのだ。


そしてこの二人の対戦は、壮絶な死闘となった。

両者応援団の大歓声の中で1Rが開始。試合の先手を取ったのは寒川、強烈なローキックの連打とよく伸びるワンツーで我龍を攻略。序盤、ローキックを喰らってスリップする我龍は下から睨みつけるとワンツーで反撃、終盤には寒川を倒して不敵に上から見下ろす。

両者応援団は蜂の巣を突いたような騒ぎとなるが、寒川のワンツーとローキックは我龍にかなり効いているようだ。それでもラウンド終了直前に殴り合いを望む我龍、寒川がこれに応えれば再び両者の応援団が爆発する。いや〜っ、物凄いテンションの試合だなぁ。


2R、我龍は下がりながらローキックを放つが、寒川の勢いは止まらない。序盤、我龍の顔面にストレートを叩き込んだ寒川、我龍を追いかけながらローキックを打ち込み、ボディブローやワンツーを連続で当てていく。打撃を次々に喰らう我龍、試合は段々と一方的な展開となってきた。

ところが、これで終わらないのがベテランの我龍。2R終盤、押され気味の展開の中で我龍の肘打ちがヒット。そしてこの一撃で寒川はまさかの大流血。ここまでイケイケだったバンゲリングベイ応援団は一転して悲鳴を上げ、反対に我龍応援団は大歓声だ。しかし我龍もこれまでパンチを被弾し続けた影響で左眉あたりから流血。とはいえ傷の深さは寒川の方が深刻そうだ。

う〜ん、ここまで我龍はジリ貧の展開だったが…この一撃で試合は俄然面白くなってきたっ!


3R、流血している両者は「傷が開かないうちに相手を倒す!」とばかりに、短期決戦を狙って序盤から壮絶なパンチの打ち合いを繰り広げる。両者のパンチが次々にヒットする熱い展開の中、我龍は打撃の中に肘打ちを混ぜて攻め込めば、寒川の額の傷口が更に開く。大流血する寒川に対してドクターチェックが入る。我龍はガッツポーズを取り、バンゲリングベイ応援団は「まだ、やれるぞ!」と主張する中、どうにか試合は再開。バンゲリングベイ応援団は再び大声援で寒川を後押しする。

再び壮絶な殴り合いを見せる両者、今度は我龍だけではなく寒川までもが肘打ちを織り交ぜる。まったく両者の打撃が止まらない展開の中、寒川のストレートが何度も我龍を襲う。体格では我龍より一回り大きい上に腕も長い寒川、ここに来て再びリードを奪ったな。それにしても凄い試合だなか。


4R、このラウンドも我龍が前に出てワンツー〜ローキックで攻め込み、寒川もワンツー〜ローキックで対抗。相変わらず壮絶な展開が続いたが…ここで試合はストップ、再び寒川の流血が激しくなったのだ。また寒川ほどではないにせよ我龍からも流血が見られた為、両者にドクターチェックが入る。

やがてドクターの手が振られて試合は終了。僕は「寒川のドクターストップ負けかっ!我龍は大逆転だなっ!」と思っていたが…、我龍は悲壮な表情で審判団に何かを訴えている。どうやら我龍にもドクターストップの裁定が下ったらしい。そうなると4R途中までの判定による決着となるが、判定になれば寒川にクリーンヒットを何度も許している我龍の負けになるのは歴然。だから我龍はまだやれる事をアピールしているのだ。我龍応援団も罵声と怒号による猛抗議で我龍の姿勢を後押ししたが…。

結局、我龍の主張が受け入れられる事はなかった。4R途中までの判定の結果は3−0、寒川がミドル級王座の防衛に成功した。


…が、当然ながらこれで収まるわけもないのが我龍応援団。勝ち名乗りを受ける寒川に罵声を浴びせれば、これに触発された寒川までもがリングを降りて応援団と睨み合う。バンゲリングベイ応援団もこれに加勢せんばかりの勢い。やばいぞ、マジで暴動が起きそうな気配がするなぁ。

これを止めたのは我龍だった。この混乱した状況の中でマイクを握った我龍は「すいません、自分の負けですっ!お互いに怪我したんですが、僕のツメが甘かったんですっ!すいません、皆さん怒らないで下さいっ!自分が弱いのが悪いんですっ!」と絶叫。我龍の男気あるマイクアピールに、バンゲリングベイ応援団はおろか観客の全員が大歓声を上げる。いや〜っ、こうして文章に起こしていてもカッコイイなぁ。

我龍応援団の怒りが沈静する中、次に男を見せたのは寒川だ。勝利者インタビューの中で「もう一度、我龍さんと再戦したいと思っています。明日でもいいし、素手でも何でも、もっと過激なルールでもいいから、決着を付けたいと思います」。その嘘偽りのない声に、今度は我龍応援団が歓声を上げた。う〜ん、寒川の台詞もカッコイイねぇ。


いや〜っ、これは本当に凄い試合だった。リーチの長さを活かしてストレートを叩き込む寒川。劣勢な展開の中、肘打ちで状況打開を図る我龍。流血して後がない両者の壮絶な打ち合い。両者同時のドクターストップ。自分の応援団に「自分が弱いのが悪いんですっ!」と土下座して謝る我龍。そして寒川の再戦要求。何もかもがドラマチック過ぎる、というかねぇ。

僕の中では、これは「PRIDEでの高阪剛の引退劇」と並ぶ程の今年最大のドラマだったなぁ。しかも、この話はTo Be Continueでもあるのだ。二人の再戦は雨が降っても槍が降っても、観に行なくてはならんなぁ。参ったなぁ、今日はフラッと観戦しに来ただけなのに…。

雑感

相変わらずバンゲリングベイ応援団のエネルギーには圧倒されっぱなしだったが、メインイベントはその期待に応える壮絶な大激闘となった。敗れはしたが勝利に対する我龍の執念は凄まじく、4Rに試合が止まった時には「すわ、大逆転かっ!?」と思ったくらいだ。

残念ながらその決着は不透明なものとなったが…まあ再戦は必至だろう。その時は…いない女房を前借りで質に入れてでも観戦したいねぇ。


以上、長文失礼。