5/27 K-GRACE ディファ有明興行 観戦記

Mask_Takakura2007-05-27

あれ?ここはひょっとして『火星』なのか?

本日はディファ有明K-GRACEを観戦。おっと、ディファで興行を観るのは久しぶりだな。


金網の中での試合、グラウンドでの顔面あり、3分2R制、優勝賞金は賞金1万ドル。何もかもがジョシカクとしては珍しい形式で行なわれるK-GRACEジョシカク界に突如として現われたワンデイ・トーナメントには、藪下めぐみやマルロス・クーネン、ロクサン・モダフェリといった強豪が参戦。諸事情によりジーナ・カラーノの参戦は中止となったのは残念だが、先に挙げた三人だけでも充分に強豪が揃ったと言えるだろう。


…と、これだけ聞くと大変に立派なイベントに見える。見えるんだけどなぁ。

まあ、その内情は「ジョシカク版MARS」状態らしいんだよねぇ。ま、よくよく考えれば…この興行を仕切っているのは、あのナイタイスポーツ。過去に日本のテコンドー界を分裂させて、シドニーオリンピックの銅メダリスト、岡本依子アテネオリンピック出場をメチャクチャにしたのは記憶にも新しいところ。恐らく、その時のノウハウを、そのままK-GRACEの運営に当てはめているんだろうなぁ…。



で、そんなジョシカク版MARSを、わざわざ5000円払って観ている僕。さすがだな僕、ナイスだな僕(嘆)。

そして観客の入りは…、何でディファ有明のAバージョン(約1250人で満員)で大会を開いたんだろ?Bバージョン(約620人で満員)なら、そこそこ入っているように見えたのに。

第一試合 日本人エースによる、あっという間の決着

1万ドル争奪 無差別級トーナメント 一回戦 3分2R
藪下めぐみ(158cm/62kg/巴組/元SMACK GIRL無差別級 女王)
●ユルギタ・レイトナイテ(171cm/68kg/リトアニア)
[1R 17秒 腕十字固め]

ってなワケで、さっそく1万ドル争奪 無差別級トーナメントの一回戦が開始。第一試合に出場するのは「格闘女神」藪下めぐみ。'97年に巨漢柔道家のグンダレンコ・スベトラーナに勝利してから、もう十年にもなる藪下。1万ドルを手中に収め、自らのデビュー十周年を祝う事はできるか?


さて試合。某巨大掲示板では「幸の薄そうな顔」と評判だったらしいレイトナイテだが…試合開始早々、藪下の顔面に膝蹴りを叩き込む。が、藪下はこれにめげずにテイクダウンを奪うと、あっという間に腕十字を極めてしまった。う〜ん、まさに秒殺だな。


レイトナイテは幸が薄いどころか、幸そのものがなかったなぁ。対する藪下は、労せず準決勝戦へと進出。これは優勝に向けて大きく一歩前進したねぇ。

第二試合 第一試合ほどではないにせよ、あっという間の決着

1万ドル争奪 無差別級トーナメント 一回戦 3分2R
ロクサン・モダフェリ(170cm/63kg/アメリカ/和術慧舟會東京本部/FFF 132pound級 王者)
イ・ヒジン(168cm/60kg/韓国/AMLC-TEAM KWANAKBJJ)
[1R 2分55秒 腕十字固め]

正直、勉強不足の為にあんまり経歴とかは知らないんだけど、このロクサン・モダフェリは昨年、藪下めぐみに完勝する程の実力の持ち主だという。フリジッドスターさん(id:frigidstar)の話によると、トーナメントでクーネンのライバルとなるのは藪下ではなく、このモダフェリらしい。今日は慧舟會の代表として出場するモダフェリ、その実力や如何に?


試合では、モダフェリは金網際でイをアッサリとテイクダウンする。イは下からの腕十字で抵抗したが、モダフェリはこれを潰してグラウンドでマウントを奪うと、バックへ移行してアッサリと腕十字を極めた。イがタップして試合は終了。う〜ん、まさに圧勝だな。


成程ねぇ、モダフェリは強いなぁ。こりゃあ、藪下が負けるのも判るわ。

第三試合 たとえ判定でも、あっという間の決着

1万ドル争奪 無差別級トーナメント 一回戦 3分2R
○マグダネラ・ヤレカ(164cm/67kg/ポーランド/SHI-KONジム)
●イ・ヨンジュ(170cm/60kg/韓国/CMA KOREA 金道場)
[判定 2−1]

この試合は、知らない者同士による決戦。パンフレットによると…ヤレカは空手をベースに持つ選手らしい。成程、太腿がかなり太いね。対するイは柔道出身の選手で、過去に藪下との対戦経験があるらしい。ってコトは、「スタンドのヤレカ vs グラウンドのイ」というワケね。


1R、まずはヤレカがフロントチョークを仕掛けるも、イはアッサリと脱出。次のグラウンドではイが下から腕十字をガッチリと極めるが、ヤレカは持ち上げリングに叩きつけて脱出。一進一退の攻防となったが、スタンドでは前蹴りでヤレカがリードを奪った。そんなヤレカをイがテイクダウンし、袈裟固めの体勢になったところで1Rは終了。あ、そうか。ラウンドは3分しかないんだった。短いねぇ。


2R、1Rで手応えを感じたのか、イはグラウンドに持ち込むべくタックルを仕掛ける。だがヤレカはこれを切り、亀になって防御するイの顔面にパンチを入れる。ヤレカのパンチは、じわじわとイの体力を奪っていったが、この後は展開なくブレイク。最後のスタンドで、ヤレカは膝蹴りを顔面に叩き込み、イはバックブローをヒットさせて観客を沸かせた。


試合は判定へともつれ、2−1のスプリットながらもヤレカが勝利。正直、勝敗なんかつけられない内容だったけど、2Rに亀の体勢からパンチを入れ続けたのが決定打になったかな。

第四試合 優勝候補による、あっという間の決着

1万ドル争奪 無差別級トーナメント 一回戦 3分2R
○マルロス・クーネン(175cm/70kg/オランダ/タツジンドージョー)
●たま☆ちゃん(165cm/64kg/巴組)
[1R 2分1秒 チョークスリーパー]

このトーナメントの優勝候補と目されているのが、「ジョシカク界にこの人あり」と謳われたマルロス・クーネン。第二回Remixトーナメント優勝者であるクーネンは、これまで12戦11勝1敗2KO7Sという戦績を誇る。特に日本人には負けた事がなく、これまで高橋洋子、近藤有希、石原美和子、そして藪下めぐみといった選手を何度も下しているのだ。そんな日本人キラーのクーネンに挑むのは、「巴組の特攻隊長」たま☆ちゃん。いつも通りにハイテンションな状態で入場してくるたま☆ちゃん、クーネンという名の壁を超える事はできるか?


試合では、クーネンが格の違いを発揮。

試合開始早々、クーネンのグーンと伸びるストレートが、いきなりたま☆ちゃんの顔面にヒット。観客から驚きの声が上がる中、クーネンは首相撲からの膝蹴りで更なるダメージを与えると、組み付いてテイクダウンを奪う。たま☆ちゃんは隙を見て立ち上がるも、クーネンはその背中に飛びつき、バックからスリーパーを極めた。たま☆ちゃんがタップして試合は終了。


う〜ん。正直、レベルが違いすぎたなぁ…。それにしても、クーネンの打撃は凄い。特に首相撲からの膝蹴りは、当たれば間違いなく一発KOを奪えるだろう。成程ね、日本人が全然勝てないのも頷けるわ。強すぎ。

第五試合 準決勝になっても、あっという間の決着

1万ドル争奪 無差別級トーナメント 準決勝戦 3分2R
ロクサン・モダフェリ(170cm/63kg/アメリカ/和術慧舟會東京本部/FFF 132pound級 王者)
藪下めぐみ(158cm/62kg/巴組/元SMACK GIRL無差別級 女王)
[判定 3−0]

ここからは1万ドル争奪 無差別級トーナメントの準決勝戦。第一試合は…これが三度目となる、藪下めぐみロクサン・モダフェリによる対戦となった。一度目の対戦はSMACK GIRLでSGS公式ルール(グラウンドは30秒まで、グラウンドでの顔面パンチなし)で対戦し藪下が勝利、二度目の対戦はG-SHOOTO修斗Bクラス(グラウンド制限時間なし、グラウンドでの顔面パンチあり)でモダフェリが勝利している。1勝1敗の五分で迎えた三度目の正直だが、修斗Bクラスルールとほぼ同じであるK-GRACEの舞台ではモダフェリが有利か?


1R、藪下は背負い投げを仕掛けるも失敗し、グラウンドで下になる。労せずチャンスを得たモダフェリは、バックを奪ってパンチとスリーパーで藪下を苦しめる。1R終盤、藪下はなんとかリバースしたが、モダフェリはすかさず下から三角絞めを極める。あと少しで完全に極まる…というところで1Rは終了。う〜む藪下、苦しいねぇ。


2R、1Rの攻勢で手応えを掴んだモダフェリは、いきなり藪下に組み付いてパンチを連打すると、バックを奪って藪下を崩し、そのままスリーパーを仕掛けていく。もはや試合は一方的な展開だったが、防御を固めた藪下はブレイクに持ち込むと、最後のスタンドに勝負を賭けたが…、大逆転KO狙いの大振りな右ストレートは虚しく空を切った。


試合終了、判定の結果は3‐0でモダフェリが勝利。


モダフェリは、過去の1敗を一蹴する程の完勝を修めたと言えるだろう。決勝の相手は…恐らくクーネン。そのグラウンドのテクニックがどこまで通用するのか、見てみたいねぇ。

対する藪下は、言い訳のしようのない完敗。これに腐らず再起を期待したいところだが…、藪下も35歳かぁ。正直、ちょっと難しいかもねぇ。

第六試合 前の試合以上に、あっという間の決着

1万ドル争奪 無差別級トーナメント 準決勝戦 3分2R
○マルロス・クーネン(175cm/70kg/オランダ/タツジンドージョー)
●マグダネラ・ヤレカ(164cm/67kg/ポーランド/SHI-KONジム)
[2R 1分35秒 チョークスリーパー]

準決勝戦の第二試合は、優勝候補のマルロス・クーネンと、空手出身のマグダネラ・ヤレカによる一戦。どうでもいいが、ヤレカは中々の巨乳だなぁ。まあ、恐らくクーネンが圧勝するでしょ。


1R、物凄い大振りな右フックを放って観客を驚かせるクーネンに対して、ヤレカは組み付いて引き込む。労せずグラウンドで上になったクーネンは、半立ちの状態でヤレカの顔面にパンチを落としつつ、ラウンド終了直前には腕十字を仕掛けていく。むむぅ、やっぱりクーネンは強いなぁ。


2R、ややバテ気味のヤレカに対して、クーネンはラウンド開始早々に組み付くと、アッサリとテイクダウンを奪い、ハーフマウントから肩固めを極めつつ、最後はバックを奪ってスリーパーを極めた。ヤレカがタップして試合終了。


いや〜っ、クーネンは「美し、強し、恐るべし」だね。やはり1万ドルを手にするのはクーネンなのかなぁ…。正直、強さのレベルが他の選手よりも数段上というかねぇ。

第七試合 ワンマッチも、あっという間の決着

ワンマッチ ノーパウンドルール 55kg契約 5分2R
○藤野恵実(157cm/55kg/和術慧舟會GODS)
●齋藤安奈(身長不明/契約体重55kg/巴組)
[1R 2分6秒 チョークスリーパー]

この試合はワンマッチ。ま、準決勝戦と決勝戦の間に、選手を休ませる時間が欲しかったんだろうね。


ところがところが、この試合もあっという間に決着がついた。

試合開始、まずは藤野が応援団の黄色い「殺せ〜っ!」の声を背に、齋藤を首相撲に捉えて膝蹴りを放つ。対する齋藤は、藤野の引き込むと下から腕十字を仕掛ける。かなりいい体勢まで持ち込んだ齋藤だが、藤野は立ち上がると強引に腕を抜いて脱出。

試合は再びスタンド。応援団の黄色い「奥歯、ガタガタいわしたれ〜っ!」の声を背に、藤野はスタンドで齋藤のバックを奪って崩し、そのままスリーパーを極めた。藤野応援団の黄色い歓声の中、齋藤がタップして試合終了。


…っていうか、試合の内容よりも藤野応援団の物騒な声援の方が気になる試合だったなぁ。誰だよっ!女の子に「奥歯、ガタガタいわしたれ〜っ!」なんて言い回しを教えたのはっ!

第八試合 決勝戦はあっという間の決着ながらも、レベルの高い攻防に!

1万ドル争奪 無差別級トーナメント 決勝戦 3分2R
ロクサン・モダフェリ(170cm/63kg/アメリカ/和術慧舟會東京本部/FFF 132pound級 王者)
●マルロス・クーネン(175cm/70kg/オランダ/タツジンドージョー)
[判定 2−1]
※モダフェリが優勝し、1万ドルを獲得

いよいよ1万ドル争奪 無差別級トーナメントも、残すところ…この一試合のみである。

この決勝の舞台に立ったのは、優勝候補のマルロス・クーネンと、一回戦・準決勝を完勝で切り抜けているロクサン・モダフェリ。強豪同士の決戦となった決勝戦、好勝負に期待しよう。


そして試合は、かなりハイレベルな内容となった。


1Rはクーネンが主導権を握る。ストレートや首相撲からの膝蹴りでモダフェリにダメージを与えると、組み付いてグラウンドを狙ってくるモダフェリをしっかりとカット。終盤には右フックを顔面に叩き込み、ダウンしたモダフェリの上になる。

大ピンチのモダフェリは下から起死回生の腕十字を仕掛けるも、クーネンは反対にモダフェリの足を捕らえてアンクルホールドを極める。モダフェリは思わずタップするも、その直前に1Rは終了。モダフェリは思わぬ形で命拾いする事になる。

とはいえ、クーネンの強さは圧倒的。恐らく2Rもこのペースで試合は進むだろう、と僕は勝手に思っていたのだが…。


だが2R、今度はモダフェリが主導権を握った。クーネンの右ストレートをダッキングでかわしたモダフェリは、そのままタックルを仕掛けてクーネンからテイクダウンを奪う。応援団の大歓声の中、下から腕十字を仕掛けてくるクーネンを潰したモダフェリは、マウントを奪って顔面にパンチを落としていく。

1Rの攻勢が一転し、ピンチを迎えたクーネンは、両足を使ってTKシザースで逆転を図るも、モダフェリはこれを潰すと尚もサイドをキープし、試合終了までパンチを落とし続けた。


試合終了。判定の結果は…2−1と票が割れたがモダフェリが勝利、優勝賞金1万ドルを手にした。ちなみにプレゼンテーターは、あのアンディ・オロゴン。何故だっ!?



それにしても、試合のレベルが高い一戦だったなぁ。これはこの試合に限った事じゃないけど…、首相撲で相手をブンブン振り回すクーネンは鬼だねぇ。あんな膝蹴りを女の子が喰らったら、一生お嫁に行けなくなるぞ、マジで。

ま、だからでこそ、モダフェリは「よく勝ったなぁ」と思ったなぁ。もっとも、マウントを奪われてからのクーネンはやる気がないようにも見えたし、僕が判定するならクーネンの勝ちだと思える内容だったけど…、何にせよ、あのクーネンと互角以上に渡り合った実力は凄いな。もっと色々な舞台での活躍を観てみたいね。

雑感

3分2R制と大変に短いルールを適用し、さらには一本勝ちも続いた為、興行はあっという間に終了。正味、二時間もなかったんじゃないかなぁ。休憩が二回入った事を考えれば、興行の実時間は一時間半程度だったかもね。まあ、短い分だけテンポが良くて、退屈しないで観戦できたのは良かったかな。ただ、メインは5分2R制でも良かったんじゃないかなぁ、と思ったなぁ。あんなにいいカードを、3分2Rで終わらせるのは勿体無い、というかねぇ。


それにしても、メインイベントのレベルの高さは、他の試合の印象を掻き消すには充分だった、というかねぇ。果たして、彼女達二人(モダフェリ&クーネン)の牙城を崩す日本人は現われるのか?


…難しそうだなぁ。


以上、長文失礼。