5/25 SB 後楽園ホール興行 半分だけど画像付き観戦記

Mask_Takakura2007-05-25

衝撃的なS-CUP覇者の敗北劇、それでもショーは続く

本日は後楽園ホールシュートボクシング(以下、SB)を観戦。


「無双」のタイトルの元、他の格闘技との対抗戦を興行の軸にしている今年のSB。前回の興行では「SB vs ムエタイ 全面対抗戦」を掲げ、石川剛司、菊地浩一、大野崇、そして緒形健一という最強の布陣で挑んだ。その結果、3勝1敗で勝ち越しに成功したものの…、SBファンの気持ちは晴れない。何故なら、唯一敗北を喫した選手はS-CUP 2006を制覇したばかりの緒形健一だったからだ。

現役ムエタイ二冠王のビッグベン・ケーサージムに挑んだ「SBの魂」緒形だが、ビッグベンは2Rに強烈なワンツーで緒形をダウンさせると、立ち上がった緒形にトドメの右ストレート一閃。SBの象徴的存在である緒形の壮絶なKO負けに、SBファンは声を失った。「世界には、まだまだ知られざる強豪がいる」、そんなシンプルな言葉を思い出させる緒形の敗北劇。シーンと観客席を必死にフォローするシーザー武士会長だったが、その姿が余計に「S-CUP覇者、緒形の敗北」を煽っていたなぁ…。


だが、過去を振り返ってばかりはいられない、SBは「無双」の名の元に対抗戦に挑む。今日は「SB vs 散打 全面対抗戦」と題し、散打との対抗戦に挑む。

散打って何だ?」、ええ、ダジャレです

ここで散打のルールについて簡単に書いておこう。

1. 相手の足の裏以外をマットにつけると2ポイント加算。
  ※但し、その課程で自分の足の裏以外をマットにつけるとポイントは奪えない。
2. 正柱線に打撃がクリーンヒットすると1ポイント加算。但し、連打は禁止されている。
3. 相手をダウンさせると2ポイント加算。
4. ロープの張られていない舞台の上で闘う。この舞台から相手を落とすと3ポイント加算。
5. 以上のポイントを元にラウンド毎に判定を行ない、ポイントの多い方がそのラウンドで一本を奪える。
6. 上記ルールで5ラウンドを闘い、最終的に一本の多い方の勝ち。
7. 試合中に3つのラウンドで一本を奪っても(判定勝ちが確定した状態)、
  KO決着の可能性があるので試合は続行される。

えっと、上記のルールはどこかのサイトに転がっていたモノではなく、色々と断片的に聞いているルールを繋げてみたらこうなった…ってダケのシロモノ。実際にはもう少し違うルールなのかもしれんが、大体は合っているんじゃないかな。

恐怖の格闘技、散打

さてさて。SB散打、その対抗戦の歴史は意外に長い。


いわゆる投げ技を反則としているK-1ルールでは、散打の選手は実力を発揮できずに敗北する事が多いが…。投げ技が有効であるSBでは、その実力を存分に発揮する。現に、五年前に行なわれたS-CUP 2002では、当時の散打70kg級世界王者、鄭裕蒿(ジョン・イーゴ)が得意の投げ技を連発して大暴れ、決勝戦アンディ・サワーに敗れたものの、見事に準優勝を果たしている。ちなみに鄭は準決勝戦で、実力者として知られるダニエル・ドーソンをKOで撃破している。そう、散打は強いのだ。


また、SBは過去に二度(2003年、2004年)ほど散打の本場である中国に挑み、散打ルールによる対抗戦を実現しているが、その結果はどちらも「全敗」。散打ルールでのSB勢は、とにかく投げ技によるロストポイントに泣かされていたようだ。う〜ん、SBの投げは…柔道のように「見た目にも鮮やかな投げ技」でなければポイントにならないからねぇ。散打の場合は「相手を倒せばポイント奪取」という、いわば相撲のようなもんだしなぁ。nar氏(id:nar-_-nar)氏はよく「曙さんは、散打ルールなら実力を発揮できますよ」と言っているが、まあこういうルールなら、その話も頷けるな。


ちなみに散打のルールがどれだけ特殊かについては…全盛期のサムゴー・ギャットモンテープですら、散打ルールの前では判定負けを喫している事を追記しておく。

過去の惨劇を払拭できるか?

ってなワケで、なかなか深い因縁のあるSB散打。今日はSBルールによる対抗戦、出陣するのは石川剛司、菊地浩一、大野崇、アンディ・サワー、そして緒形健一。現状のSBが誇る最強の五人衆は「異国の地で全敗」という忌まわしい過去を払拭できるか?それとも散打勢が、かつての鄭裕蒿のようにアウェーのリングでも実力を発揮するか?注目したいと思う。


チケットを購入、立見席は3500円也。う〜ん、安い。パンフレットは1000円、いつもながら和風の作りがなんともオシャレ。観客の入りは約八割。う〜ん、やっぱり散打って、K-1のせいであんまり強いイメージがないからなぁ…、その辺が客足に響いたかな?


ちなみに今日は、仕事の都合で試合の後半から観戦。リング上ではいつものようにシーザー武士会長が挨拶を行ない、リングアナは元新日本プロレスのリングアナ、田中秀和氏。ケロちゃんのリングアナはSBでは久しぶり。S-CUP 2006以来だねぇ。



第六試合 散打は相撲のような投げが上手いが、SBでは有効とはいえない

SB vs 散打対抗戦 先鋒戦 エキスパートクラス特別ルール 60kg契約 3分3R
○石川剛司(170cm/契約体重60kg/シーザージム/SB日本フェザー級 一位)
●段寒松[ドゥン・ハンソン](170cm/契約体重60kg/中国/2007年 中泰国際散打対抗試合60kg級 王者)
[判定 3−0]

SBの絞首刑人」の異名も今は昔、このところは連敗中の石川剛司が、スランプ脱出を賭けて散打対抗戦の先鋒戦に出陣。前回の試合は対ムエタイ戦、アーリー・イングラムジムを相手に7Rの激闘の末、判定で敗れてしまった。ラッシュを仕掛けるタイミングを誤り、自らスタミナを失った事が敗因だが…今回は3分3R制、石川の強さが前面に押し出されると思われる。


石川剛司
僕がいい風を吹かせて、対抗戦に勢いをつけたいです。



1R、パンチを出しながら接近する石川に対して、段寒松はカウンターのタックルを多用、次々に石川を押し倒していく。更には遠距離からのサイドキックで石川のリズムを崩し、自ら近づけば脇を差しての相撲のような投げを連発。慣れない散打の闘い方を前にした石川は大苦戦、試合は段のペースで進む。

しかし、段が使用していた投げは…、両足以外の場所が地面につけば失点」となる散打では有効でも、ある程度の高さと鮮やかさがないとポイントには繋がらないSBでは無効なものばかり。それでも段は、恐らく散打と同じの感覚で投げを連発。その結果、2R中盤頃にスタミナ切れを起こしてしまった。

これを見た石川は、これまで以上にプレッシャーを増して段に接近。嫌がる段はストレートや前蹴りで石川を遠ざける。手数は段が上なのに、試合の主導権を握っているのは石川という不思議な光景が続く中、2R終盤には石川がフロントチョークで段を絞め上げる場面も。

迎えた3R、石川は2Rと同じくガンガン接近し、ワンツーや首相撲からの膝蹴りを次々に叩き込んでいく。1Rの勢いもどこへやら、スッカリ疲労困憊の段は、必死にクリンチやタックルで石川のプレッシャーをやり過ごすが…、もはや石川に流れた試合の主導権は止まらない状態だ。

試合終了。石川はKOこそ逃したが…、判定の結果3−0で段を下した。



ふ〜む、僕の書き出しとは、まるで逆の展開になっちゃったなぁ。ま、なんだか段が勝手に自滅してしまった印象があるけどね。石川に関してコメントするなら…、あそこまでバテてしまった段からダウンを奪えなかったのはちょっと痛いかな。まあ、まずは勝つ事が大事だけどね。

第七試合 散打首相撲からの膝蹴りには意外に弱い

SB vs 散打対抗戦 次鋒戦 エキスパートクラス特別ルール 70kg契約 3分3R
菊地浩一(175cm/70kg契約/寝屋川ジム/SB日本ウェルター級 二位)
●姜春鵬[ジャン・シュンフェン](178cm/70kg契約/中国/2006年 中泰国際散打対抗試合75kg級 王者)
[判定 3−0]

「吉鷹弘の秘蔵っ子」菊地浩一は、前回の「無双」ではルンピニーの元ランカーを相手に、左ローと右ストレートを次々に叩き込んでKO勝利を奪っている。そして4月にはR.I.S.E.へ進出、「新・常勝軍団」チームドラゴンの川端健司を判定ながらも撃破。ライバルの宍戸大樹SBを留守にする中、確実に実績を積み上げている菊地。一度は負けた宍戸に再挑戦する為にも、こんなところでは負けられない。


菊地浩一
このままの流れで、油断せずに勝ちたいと思います。



1R、試合の主導権を握ったのは姜春鵬。積極的に前に出た姜は、単発ながらも強烈なフックと破壊力のある右ロー、そして脇を差しての投げを連発する。対する菊地は、いつも通りに得意の左ミドルや左ローを放とうとするが…、次々に距離を詰めてくる姜の攻めに手を焼いてしまい、まったく自分の試合ができていない。姜は菊地のパンチにタックルを合わせ、菊地のペースを乱してくる。なんとも厄介な闘い方だなぁ。

だが2R、菊地は姜の動きに確実にストレートを合わせると、首相撲からの膝蹴りや左ローなども駆使し、どうにか試合のペースを引き戻す。対する姜は、これまでの攻め疲れも手伝いスタミナ切れに。う〜ん、散打の選手は序盤の爆発力は凄いけど、後半はスタミナが切れる選手が多いな。っていうか、あの闘い方がスタミナを消費するんだろうねぇ。

3R、インターバルを挟んでも姜のスタミナが回復する事なく、観客は菊地のKO勝利を期待したが…。今日の菊地はここからの攻めが単調に。顔面ガードを固める姜に対して必死に左ストレートや右アッパーを繰り出すも、ボディへの攻めや得意の左の蹴りが出てこない。恐らく、序盤に喰らい続けた姜の右ローがかなり効いているのだろう。気がつけば、菊地もかなり苦しそうな様子だったが、菊地は首相撲からの膝蹴りなども駆使して姜にダメージを与えていく。

試合は終了、判定の結果は3−0のストレート。菊地が苦しい試合を制した。



ふ〜む、今日の菊地は厳しい内容だったなぁ。序盤に武器である左足を攻略されてしまったのが痛かったな。右ロー対策は今後の課題かな。あと、あれだけ顔面のガードを固める選手に対して、顔面パンチ一辺倒になってしまった終盤の攻めは良くないね。やっぱり打撃は上中下に散らさないとね。

第八試合 顔面への連続攻撃が許されていない散打は、一発の打撃がやたらと強烈

SB vs 散打対抗戦 中堅戦 エキスパートクラス特別ルール 71kg契約 3分3R
○鮑輝[バオ・フィー](180cm/70kg契約/中国/2006年 全国散打選手権大会65kg級 王者)
●大野崇(180cm/71kg契約/Unit-K/ISKA世界ミドル級 王者)
[判定 3−0]
※大野は1Rにダウン1/鮑は3Rにシュートポイント1を獲得

「名勝負製造機」大野崇は、昨年の緒形健一戦で大化けを果たした。デトロイトスタイルから、長身を活かした右のジャブで相手を遠ざけて、左の蹴りを叩き込む。このスタイルで前回の「無双」ではムエタイ戦士を撃破、4月のR.I.S.E.では「九州の雄」祐樹を判定で撃破。負けが先行していたSBでの戦績も、どうにか3勝4敗まで引き戻した大野、今日勝てば五分の戦績となるだけに、今日は負けられない。


大野崇
SBルールだと散打は厄介だと思いますけど、今回は3Rルールなので飛ばします。



だが試合では…。「名勝負製造機」など何するものぞ、鮑輝の散打殺法が大爆発。

1R、序盤から強烈な右フックと左右のハイキックの連打、そしてトラースキックやサイドキックを次々に連発する鮑。観客がその勢いに驚く中、鮑は前蹴りで菊地を吹き飛ばすと、破壊力のある右フックを顔面に叩き込んでダウンを奪う。更には大野の脇を差し、簡単に投げ飛ばしてしまう。試合の主導権は完全に鮑のものだ。

2R、大野はまったくペースが握れずに大苦戦。長身を活かして首相撲からの膝蹴りを狙うも、これは脇を差しての投げで切り返えされてしまう。試合は相変わらず鮑のペースだったが、大野は時折、左のテンカオを鮑のボディへ突き刺してダメージを与えていく。

3R、相変わらずサイドキックが冴える鮑は、序盤に大野の脇を差すと…頭上まで持ち上げての豪快な投げを披露。観客は驚きの声を上げたが…、ここからは大野が盛り返した。左のテンカオや左ロー、そして首相撲からの膝蹴りで少しづつ蹴っていくと、鮑は終盤頃に攻め疲れも手伝いスタミナ切れに。ここがチャンスとばかりに、大野は逃げ回る鮑を追いかけたが…、鮑は大振りな打撃で近づく大野を遠ざけていく。それでも必死に追う大野だったが…、ここで無念の試合終了。

判定の結果は3−0。鮑がアウェーの地で、散打に貴重な一勝をもたらした。



う〜ん、今日の大野は序盤の鮑の勢いに呑まれちゃったなぁ。1Rは仕方がないとしても、2Rでペースを掴んでいれば勝てたかもしれないんだけどねぇ。逆に言えば、それだけ鮑が素晴らしい選手だったって言い方もできるかな。まあ、今日出場している散打の選手は、スタミナの問題さえ何とかすればどの選手も凄いと思うけどね。

第九試合 散打でサイドキックが多いのも、顔面への連続攻撃が許されないルール故の技術進化と思われる

SB vs 散打対抗戦 副将戦 エキスパートクラス特別ルール 71kg契約 3分3R
アンディ・サワー(オランダ/チーム サワー/S-CUP 2002 & 2004 覇者K-1 MAX 2005 世界王者)
●魏守雷[ウェイ・シューレイ](中国/2006年 全国武術散打大会70kg級 王者)
[判定 3−0]
※魏は3Rにダウン1

今のSBの凄いところは、K-1 MAXの世界王者であるアンディ・サワーの試合を、手軽に後楽園ホールで観れる点にあると思う。そのサワーは五月始めに地元オランダで試合を行ない、ユーリー・メスから判定勝ちを修めたばかりだという。このところは、かつてのPRIDE武士道におけるミルコ・クロコップの如く連戦を続けているサワー。六月にはK-1 MAX '07 世界大会もあるというのに、体力の方は大丈夫なのかねぇ。


アンディ・サワー
僕はシュートボクサーだし、(ここは)ホームグラウンドだからね。
SB vs 世界の対抗戦に出ないわけにはいかないよ。


だが試合では、3年前に17歳で全国青少年散打選手権大会を制覇し、昨年は全国武術散打大会70kg級で優勝。そして今年はイラン「大統領カップ」国際散打競技65kg級選手権を勝ち抜いたという魏守雷が、S-CUP二連覇K-1 MAX世界王者のサワーを相手に、堂々とした闘いぶりを披露した。


1R、魏は他の散打戦士と同じく、序盤からアクセル全開。強烈なサイドキックを連発して、脇を差しての投げを決め、サワーの蹴り足を捕れば足払いで転がし、パンチを得意とするサワーが相手でも、大振りなワンツーを連打してサワーを圧倒。序盤は様子を見る事が多いサワーを相手に、惜しげもなく自分の手の内を明かしていく魏だが、サワーは中盤に顔面に膝蹴りを叩き込むと、終盤にも二発ほど顔面へ膝蹴りを入れる。

2R、いよいよサワーが動く。このラウンドは前に出たサワーは得意の左ボディを軸に、パンチのコンビネーションを連発。これに対して魏はサイドキックで距離を突き放したり、時には正面からパンチの連打で対抗。派手な展開に観客は大いに沸いたが…、打ち合いとなればサワーの方が上。怯む魏に対して、サワーは首相撲からの膝蹴りを叩き込んでいく。魏の表情からは疲労の色が見える。

3R、魏の蹴り足を掴んでの投げもなんのその、試合は完全にサワーのペース。首相撲から膝蹴りを連打し、左右のボディブローが唸りを上げる。そしてサワーはそのボディへ膝蹴りを一閃。喰らった魏はサワーに背を向けて逃げ回るが…やはりダメージは大きく、その場にしゃがみ込んでしまった。この光景に、観客からは大きな歓声が沸いた。こうなるとサワーのKO勝利を期待したいが…、魏はサワーの左ボディ、首相撲からの膝蹴りを何発も喰らいながらも、これ以上のダウンは拒み続けた。

試合終了。決着は判定へと持ち越され、3−0でサワーが貫禄の勝利を修めた。



うん、「ここで取りこぼすようなサワーではない!」とは思っていたが、さすがに堂々とした勝ちっぷりだね。とはいえ、この試合は若き散打戦士・魏の健闘も光った一戦と言えるだろう。サワーがスロースターターである事を差し引いても、序盤は完全にサワーの呑んでいたし、中盤にはあのサワーを相手に堂々と打ち合っていたしね。まだ20歳だという魏だが、今後の来日も期待したいね。まあ、今日出場した散打の選手は、どの選手も「もう一度観てみたい!」と思わせる選手ばかりだけどね。



第十試合 散打の選手は共通して、スタミナが少ない選手が多い

SB vs 散打対抗戦 大将戦 エキスパートクラス特別ルール 71kg契約 3分3R
○緒形健一(172cm/71kg契約/シーザージム/S-CUP 2006 覇者SB日本スーパーウェルター級 王者)
●徐王炎[ジュ・ヤン](184cm/71kg契約/中国/2006年 中米散打争覇大会70kg級 王者)
[3R 58秒 KO]
※左膝蹴り/徐の名前は、正しくは王偏に炎

S-CUP 2006を制覇した「SBの魂」緒形健一。彼が喫した「一敗」はあまりにも重かった。

前回の「無双」のメインイベント。アンディ・サワーからダウンを奪って判定勝利し、S-CUP 2006を制覇した緒形は、現役ラジャダムナン&WMCのウェルター級王者であるビッグベン・ケーサージムと対戦。超強豪を迎えたS-CUP覇者がいかなる試合ぶりを披露するかに注目が集まったが…、結果は打ち合いを得意とするビッグベンに対し、何もできないままKO負け。あまりにも凄惨な結末を前に、SBのファンは言葉を失った。

だが、S-CUP覇者となった緒形に休息の時間はない。今日もまたメインイベントで闘う緒形は、散打との対抗戦で敗戦のショックを払拭できるのか?


緒形健一
確かに反省する事は多いですけど、そこで止まっていてもしょうがないですから、
リベンジを目指してやるだけです。



1R、徐はこれまでの散打の選手とは一味違う存在。184cmという身長から、槍のような前蹴りと右ストレートを打ち下ろす徐。そして上段の膝蹴りも連発して緒形を攻める。散打というよりは空手のような強さを発揮する徐に対して、緒形は12cmという身長差に手を焼きつつも、懐に潜りつつワンツーやボディブロー、右ローを連打。遠距離戦は徐、近距離戦は緒形。試合は間合いの勝負となった。

2R、長身を活かした上段の膝蹴りをヒットさせると、中盤には緒形に前蹴りや肘打ちでラッシュを仕掛けるのだが…この試合では肘打ちは反則、徐に注意が与えられた。

で、このように2R前半は徐のペースで進んだが、後半からは緒形がペースを握る。中〜下半身に打撃を集中する緒形、左右のボディブロー、右ロー、そしてテンカオが次々にヒットすると、徐はあっという間に失速。緒形の攻勢に、観客から歓声が沸く。

迎えた3R、徐の上段の膝蹴りをかわした緒形は、そのボディへ左の膝蹴りを一閃。ズバリ決まった一撃で徐はダウンを喫し、二度と立ち上がる事はなかった。



観客の歓声の中、見事に勝利を得た緒形は「二月はあんな結果になってしまいましたが…、必ずリベンジします!皆さん、ちょっとだけ待ってください!」と、ビッグベンへのリベンジを宣言。SBファンの誰もが待っていたこの言葉に、観客からは更なる歓声が沸いた。



いや〜っ、まずは…緒形が勝ってホッとしたよ、ホント。相手は決して弱い選手ではなかっただけに、その喜びもひとしお、というかねぇ。そして緒形が掲げたのは「ビッグベンへのリベンジ」という大きな目標。現役選手としての残された時間は少ない緒形だが、ムエタイ二冠王の牙城はそう簡単には崩れないと思うが…なんとか実現して欲しいねぇ。SBファンとして、応援させてもらいます。



雑感

今日は残念ながら五試合しか観戦できなかったけれど、満足度は非常に高いね。特にサワーと緒形の見事な仕事ぶりは、流石としかいいようがないよ。それにしても緒形、今日は勝ってよかったなぁ…。


もちろん、その満足度の裏には中国・散打勢の健闘があった事も忘れてはいけないね。今日は彼らが繰り出す技にも注目して観ていたけど…、いわゆるキック・ボクシングやムエタイとは全く違う技術を持っている事がよく判った。

1. 相撲のような脇を差しての投げが多く、逆に首投げのような捨て身の投げは皆無
2. 大振りなパンチやサイドキックなど、単発ながらも強力な打撃が多い
3. 相手の打撃にカウンターのタックルを合わせる事が多い
4. 散打という競技の特性からか、スタミナには難のある選手が多い
5. 首相撲からの膝蹴りに対して、防御策を持っていない

といったところが、殆どの選手に共通した特徴なのが面白かったね。恐らく散打っていうのは、そういう選手を育てる競技なのだろう。


今日は散打との対抗戦を4勝1敗で勝ち越したSB。「無双」の名の下に、次回はどの競技との対抗戦に挑むのだろうか。「緒形健一のリベンジロード」と共に見守っていきたいと思う。


以上、長文失礼。