8/4のお品書き、ジョシカクと女子格闘技

最近、アップしていないように見えて、実は見えないところでアップが繰り返されているこのブログ。潜伏していたジョシカク&女子格闘技を再アップします。全部の観戦記に写真がついています。…ちょっとショボいけど。

5/23 JEWELS 新木場1stRING興行 観戦記 ver1.0

http://d.hatena.ne.jp/Mask_Takakura/20100523

これまでも生観戦はしていながら、観戦記を書いたことがなかった「ツヨカワなジョシカク団体」JEWELSの観戦記。メインでは石岡沙織が市井舞を相手に「黒の石岡」と化す!またセミでは闘牛・空の名前でプロレスもやっていた、江本敦子の格闘技引退試合も。



6/19 VALKYRIE ディファ有明興行 観戦記 Ver1.0

http://d.hatena.ne.jp/Mask_Takakura/20100619

金網で闘う女子格闘技団体VALKYRIEセミで「リアル美獣」中井りんと「女子格闘技のパイオニア藪下めぐみが激突。メインはVALKYRIE女子フライ級の初代王者決定トーナメントの決勝戦。玉田育子と大室奈緒子、勝ったのはどちらだっ!?



7/31 JEWELS 新宿FACE興行 観戦記 Ver1.0

http://d.hatena.ne.jp/Mask_Takakura/20100731

JEWELSがツヨカワNo.1を決めるべく、初代ライト級女王決定トーナメントを開催長野美香、ハム・ソヒ、石岡沙織といった看板選手が出場する中で、トーナメントの一回戦は波乱の連続に!



8/1 UFC サンディエゴSA興行 TV観戦記

Mask_Takakura2010-08-01

今年二回目のUFC地上波放送です

8月7日、テレビ東京にてUFCが放送された。放送の目玉は「崖っぷちに立たされた、五味隆典UFC第二戦!」という事になるのだろう。まぁ、僕が気になるのは五味よりも、岡見勇信の方だったりするんだけどね(苦笑)。


「それにしても前回の地上波放送は、秋山成勲の熱い熱いエアセコンドぶりに翻弄されっぱなしだったなぁ…」なんてことを思いつつ、今回も秋山の解説を期待してテレビを見ていたのだが、解説は残念ながら秋山ではなく須藤元気。う〜ん、須藤の解説って、言う事は的確だけど、一般層を意識した「選手への変なヨイショ」が入るから、僕は苦手なんだよなぁ…。

第九試合 岡見勇信、危なげなし!

ミドル級 5分3R
岡見勇信(188cm/83.9kg/和術慧舟會東京本部)
●マーク・ムニョス(183cm/83.9kg/アメリカ/アルティメット・フィットネス)
[判定 2−1]

UFCの地上波放送でありがたいのは、UFCで活躍する日本人、岡見勇信の試合が見れる事だろう。何せ僕はWOWOWとかに加入しているワケでもないので、岡見の試合って殆ど見た事がないんだよねぇ。実際は、PANCRASEに上がっていた頃に何度か生で観たこともあるんだけど、その頃はまさか岡見がこんなに活躍する選手になるとは思わなかったなぁ。そんな岡見の今日の対戦相手は、横須賀の海軍施設生まれのフィリピン系アメリカ人、マーク・ムニョス。UFCでは三連勝中なのだそうな。


1R、リーチで優位に立つ岡見は、ずっしりと腰を落としつつ、右のジャブと左ストレートでプレッシャーを掛けて行く。対するムニョスはジリジリと下がるばかりでロクな反撃が出来ない。時折、タックルを仕掛けるムニョスではあったが…。岡見は捌いたり、倒されてもすぐに立ち上がったりで、ムニョスに攻め入る隙を与えない。そして離れ際に左の膝蹴りを叩き込む岡見、ここまでは静かな展開ながらも岡見が優位だ。


2R、リズムに乗った岡見の動きが良くなる。頭を下げてフルスイングのパンチを放つムニョスに対して、岡見は右のジャブで金網際へと追い詰めて左ストレートや右アッパーと繋いでいく。ムニョスのタックルもガブって潰すなどで何もさせない岡見だったが…。

中盤にムニョスの放った左フックがヒット、この一撃で岡見はダウン。観客の歓声の中、一気に前に出てくるムニョスにタックルを仕掛けて倒して追撃を逃れる岡見。立ち上がった後、尚もムニョスは岡見を追いかけて、右ストレートや右アッパーを浴びせるも当たりは浅い。岡見はサークリングを駆使して追撃を逃れる。

終盤、ムニョスは再びタックルに行くも、その動きは悪い。どうやらスタミナを失ったようだ。岡見はガブってムニョスに何もさせない。立ち上がったムニョスは脚を掛けて岡見を崩しに掛かるが、岡見は簡単には崩れない。う〜ん、不利な状況の中で、しっかりとリカバリーが出来るのも強さの証明だな。


3R、スタミナを失ったムニョスに、岡見の打撃が襲い掛かる。確実にタックルを潰し、右のジャブでプレッシャーを掛け、金網際でワンツースリーと打撃を連発する岡見。疲労の激しいムニョスもパンチを返すが、まったく腰が入っていない。タックルに移行しても休むばかりのムニョスに、岡見は中盤にカウンターの右ストレートを叩き込む。倒れこむムニョスを追撃する岡見、ムニョスは立ち上がって難を逃れたが、この後は攻撃の伴わないタックルを放ち、亀になって休む。退屈な展開に、観客からはブーイングが飛んでいた。


試合は判定となり、なんと審判の一人がムニョスを勝者にするも、残り二人は無事に岡見を勝者に。う〜ん、この展開でムニョスを勝者にするのはおかしいな。


まぁ、2Rには危ない場面もあったけれど、終わってみれば岡見の圧勝だったなぁ。なんか、見ていて凄く安心できる強さの持ち主だね。今回の試合で、僕はようやく岡見という選手がどういう選手なのか判った気がするなぁ。

第十試合 ジョン・ジョーンズ、一方的!

ライトヘビー級 5分3R
ジョン・ジョーンズ(193cm/93.4kg/アメリカ/チーム・ボムスクワッド)
●ウラディミール・マティシェンコ(186cm/93.4kg/ベラルーシ/VMATトレーニング・ファシリティ)
[1R 1分52秒 TKO]
マット・ヒューズポジションからの、左の肘打ち連打

この日の地上波放送は1時間15分の放送枠でありながら、日本人の試合は二試合のみ。なので今回は海外勢同士の対戦も放送された。で、最初に放送されたのは、今回の興行のメインイベントとなった試合。2008年4月のデビュー以来、ポカミスの反則負け以外では負けなしの超新星ジョン・ジョーンズ(戦績10戦9勝1敗6KO1SKO)と、2001年〜2003年にUFCで活躍し、最近再びUFCに復帰したベテラン、ウラディミール・マティシェンコによる対戦だ。下馬評ではジョーンズの圧勝と見ている人が多いようだが…?


試合開始。身長以上に手足が長く、213cmという驚異的なリーチを誇るジョーンズが両手を広げてプレッシャーを掛ける。マティシェンコは右のパンチを返すも、ジョーンズはソバットを繰り出す余裕ぶり。マティシェンコはパンチを出しながら前に出たが、ジョーンズはカウンターのタックルでテイクダウンを決める。

グラウンドで上になったジョーンズは、肘打ちで嫌がらせをしつつ、長い手足を使ってアッサリとパスガードに成功。サイドを奪ったジョーンズはそのままの体勢でスライドすると、足を使って腹固めの要領でマティシェンコの腕を固定。そして片腕でマティシェンコのもう一方の腕を固定すると、余った腕でマティシェンコの頭部に肘打ちを猛連打。これぞ「マット・ヒューズポジション」、そして止まらないジョーンズの肘打ち。この様子を見たレフェリーが試合を止めた。


うん、殆どUFCを観たことがない僕でもわかるわ…。この選手、メチャメチャ強いよ。現在、UFCのライト級王者はマウリシオ・ショーグンなんだけど…、ハッキリ言って僕はジョーンズの方が強いと思うなぁ。う〜む、ショーグンとジョーンズが闘うのであれば、金を払ってでも観戦したいなぁ。

第二試合 シャーレス・オリベイラ、これは鮮やか!

ライト級 5分3R
○シャーレス・オリベイラ(178cm/69.8kg/ブラジル/ブロンクス・ゴールドチーム)
●ダレン・エルキンス(178cm/70.0kg/アメリカ/デューンランド・ヴァーリトゥード)
[1R 41秒 腕十字固め]

次に放送されたのが、この試合。柔術がベースで、12戦12勝無敗6KO5SKOの戦績を引っさげてUFC参戦を果たすシャーレス・オリベイラと、今年3月からUFCのリングに上がっている、レスリングがベースのダレン・エルキンスとの対戦だ。う〜む、二人とも知らない選手だのう。


試合開始、まずはワンツーでプレッシャーを掛けるエルキンス。タックルを決めて豪快にオリベイラをテイクダウンしたが、オリベイラは電光石火の三角絞めを極める。あっという間にピンチに陥ったエルキンスは必死に逃れようとするも、オリベイラはすかさず腕十字に移行。ガッチリと極まり、やがてエルキンスがタップして試合は終了。


この間、わずかに41秒。いや〜、これは鮮やかだったなぁ!オリベイラはこの勝利で、今回のサブミッション・オブ・ザ・ナイトを受賞、賞金は$40,000だそうだ。う〜ん、やっぱりUFCは景気がいいなぁ…。

第八試合 ジェイク・エレンバーガー、地味だが強い!

ウェルター級 5分3R
○ジェイク・エレンバーガー(183cm/77.3kg/アメリカ/レイン・トレーニングセンター)
ジョン・ハワード(170cm/77.3kg/アメリカ/ワイクーMMA)
[3R 2分21秒 TKO]
※ハワードが左瞼をカット

前座戦線が放送された後、今度は本戦が放送された。う〜む、試合のチョイスがイマイチ読めない…。ってなワケでこの試合で対戦するのは、レスリングをベースに持つジェイク・エレンバーガーと、柔術ムエタイをベースに持つジョン・ハワード。相変わらず二人とも知らない選手なワケだが、エレンバーガーの方はM-1グローバルを通して来日経験があるようだ。両者ともに、昨年からUFCに参戦しているらしい。


1R、まずはエレンバーガーがプレッシャーを掛けて前に出て、金網際で組み付きながら右の膝蹴りを入れていく。この後、金網際で右ボディを入れあうだけの攻防となり、観客からはブーイングが。やがてブレイクが掛かると、今度はハワードがワンツーを放って前に出たが、エレンバーガーは首相撲から膝蹴りを放った後でタックルを仕掛けてテイクダウンを奪う。う〜む、エレンバーガーは膝の使い方が巧いなぁ。

インサイドのエレンバーガーは時折、肘打ちを放ちつつ金網際へと移動。対するハワードはガッチリとクロスガードでガッチリと防御。エレンバーガーは攻める事ができずにブーイングを受けてしまう。またしてもブレイクが掛かる。スタンドではエレンバーガーが左ジャブを刻んで、ハワードの動きを止める。対するハワードは強引に組み付いたが、エレンバーガーは逆にテイクダウンを決める。上から肘を入れるエレンバーガーに対して、ハワードは必死に防御。ここで1Rは終了、ここまではエレンバーガーが有利だ。


2R、ハワードはいきなり右ハイをヒットさせるも、エレンバーガーは気にせずにカウンターの左ジャブを当てる。そして組み付く両者だったが、ハワードは突き放して右フックを当てる。エレンバーガーはカウンターのタックルでテイクダウンするも、ハワードは下から首を捕って応戦。だがエレンバーガーは首を抜くと、ハーフマウントから肘を入れつつパスガードを狙う。ハワードはガードポジションに戻すも、エレンバーガーは鉄槌や肘を落として応戦。

劣勢のハワードは、下から腕を掴もうとするも失敗、亀の体勢になったハワードをエレンバーガーがひっくり返して再びインサイドへ。立ち上がってパンチを入れ、再びインサイドに入るエレンバーガーだが、ここまでグラウンドでは目立った攻めがない。観客からブーイングが飛び始める中、強引な肘打ちを狙ったエレンバーガーの隙を突いてハワードが立ち上がる。

観客の歓声の中、ハワードの反撃は始まった。タックルに行こうとしたエレンバーガーにカウンターの膝蹴りを浴びせたハワードは、ダメージを負って下がってしまうエレンバーガーを追ってワンツーを浴びせる。苦しくなったエレンバーガーはタックルを決めてテイクダウンを奪うも、インサイドで休んでしまう。観客が再びブーイングを浴びせる中、エレンバーガーは勢いのある肘打ちを重ねて観客を黙らせる。そのうち、大きく振りかぶって放った右の肘打ちで、ハワードの左目は腫れてしまった。


3R、ハワードの左目の腫れが凄い事になっている。そして自身も「もう後はない」と思ったのだろう、ハワードはエレンバーガーの右ミドルをキャッチすると、一気に前に出て飛び膝蹴りを放ち、大振りなワンツーでエレンバーガーを攻め立てる。ハワードの派手な攻撃に観客が歓声を上げる中、尚もプレッシャーを掛けるハワードがタックルを敢行。これはエレンバーガーに切られるも、ハワードは尚も前に出続ける。

だが、エレンバーガーは冷静だ。たとえ観客のブーイングを浴びても、エレンバーガーは自ら下がりながら左ジャブを刻みつつ、タックルでハワードをテイクダウン。インサイドから右ボディや左肘でフェイントを掛けつつ、負傷したハワードの左目を狙ってパンチを放っていく。これらの打撃はハワードの左目にヒットすることはなかったが、一発でも当たれば大変な事になりそうな状態だ。そして、これを見たレフェリーがドクターチェックを要請し、ドクターが試合を止めた。


う〜ん、地味な攻防ではあったけど、やっぱり肘打ちは恐ろしい武器だね。そしてエレンバーガーは地味だけど強いな、地味だけど。

第七試合 五味隆典、これぞスカ勝ち!

ライト級 5分3R
五味隆典(173cm/70.0kg/日本/久我山ラスカルジム)
●タイソン・グリフィン(168cm/70.0kg/アメリカ/エクストリーム・クートゥア)
[1R 1分4秒 KO]
※右フック

UFCの地上波放送もいよいよ最後。登場するのは「火の玉ボーイ」五味隆典だ。

戦極(現SRC)に参戦した時はセルゲイ・ゴリアエフや北岡悟に敗れるなどで、精細を欠いた五味。昨年は修斗でも試合をしたが…、VALE TUDO JAPANの舞台では、KOTCライト級王者のトニー・ハービーを相手に4Rに失速。判定勝ちこそ手中にしたが、自分の納得する試合が出来なかった五味は「無理だよ。あのね、大晦日魔裟斗選手と……無理だよ。無理だ、やめる!」と呟き、魔裟斗との対戦を避けてしまった。この時、恐らく五味のファンの多くは「どうした、五味っ!?」と思ったことだろう。

そんな中で五味は今年1月、UFCと契約を結んだ事を発表。そして3月、UFNの舞台でケニー・フロリアンを相手にUFCデビューを果たした五味だったが…、試合では何もできないまま、フロリアンチョークスリーパーの前に沈んでしまった。確かにフロリアンはかなり強豪だと聞いていた。それにしたって、何も出来ずに敗北するとは…。この時、恐らく五味のファンの多くが「もうダメかもなぁ…」と思ったことだろう。

そんな中で迎えた、今回の「五味のUFC挑戦 第二戦」。その対戦相手は、2006年からずっとUFCの常連の座をキープし続けているタイソン・グリフィン、17戦14勝3敗6KO3SKOを誇る強豪だ。まぁ、下馬評では五味有利とは見られているが、五味にとっては舐められない相手だろう。




試合開始。身体の小さいグリフィンに対して、五味は真っ向から打撃で勝負。左のボディストレートを重ねてダメージを与えていく五味。グリフィンも飛び込んでワンツーを放つが、五味は迎え撃って距離は離す。堂々と打ち合いに応じる五味に対して、グリフィンはどんどん前に出るも、今度は五味の右ボディフックがヒット。

そして決着は突然、終了した。グリフィンが左ローに反応して、五味がカウンターの右フックを放つと、これがグリフィンの顔面を打ち抜いた。その場にうつ伏せに倒れるグリフィン、これを追撃しようとした五味をレフェリーが慌てて止めた。




五味の鮮やかなKO劇に観客が大歓声を上げる中、五味は金網に登って「ダナ!ダナ!」と、UFC代表のダナ・ホワイトの名前を連呼。そして再び金網に登ってガッツポーズを取れば、観客も大歓声で五味の勝利を支持。最後は五味らしく、金網の上に立ってガッツポーズを見せた。うん、これでこそ五味だな。



わずか64秒で、今までKO負けを喫した事がないグリフィンを一撃でKOした五味。そして、この勝利で五味は今回のノックアウト・オブ・ザ・ナイトを受賞。賞金はやっぱり$40,000。う〜ん、この賞金はデカいね。それにしても、久々に五味の「五味らしい勝利」を見たね。お金よりも、ファンにとってはそっちの方が大きかったんじゃないかなぁ。久々に景気の良いものが見れて、こっちもスッキリしたね。

雑感

う〜む、僕は地上波分しか試合は見ていないけど…、今回は興行全体を通して良い試合が続いたんじゃないかなぁ。地上波的にも技術戦もあり、問答無用の強さあり、鮮やかな一本あり、そしてスカ勝ちありで、テンポ良く観戦できて面白かったなぁ。

それにしても今日の五味の勝利はデカいだろうね。日本の格闘技界にとっても、五味自身にとっても、ファンにとっても熱い一勝だったと思う。とはいえ、五味の目の前にはケニー・フロリアンやBJペンがいるんだよなぁ。いや〜、UFCで闘うのも本当に大変だなぁ…。


以上、長文失礼。

7/31 JEWELS 新宿FACE興行 観戦記 Ver1.0

Mask_Takakura2010-07-31

最近は色々と女子の試合を観ている気がする

本日は新宿FACEJEWELSを観戦。


SMACK GIRLから「ジョシカク」という単語が生まれたように、「ツヨカワ(強くて、可愛い)」という単語を生み出したJEWELSが、ついに王座の制定に乗り出した。今回のJEWELSでは、初代ライト級女王決定トーナメントの一回戦が行なわれる。このトーナメントに参戦するのは長野美香、ハム・ソヒ、石岡沙織といったJEWELSの看板選手達。総勢八名のトーナメントで、準決勝戦へ進出するのは誰なのか?


チケット代は4000円、観客は超満員。今のJEWELSには、新木場1stRING新宿FACEという会場が良く似合う。ちょうど良い会場というかねぇ。

最近は入場式をやる団体が減りました

試合開始前には、全選手による入場式が行なわれた。選手を代表して挨拶したのは瀧本美咲。


新宿FACEはエアコンが効いていて涼しいですが、最後には皆さんが熱くなるような試合を見せます。今日はビールを片手に応援をよろしくお願いします」。



第一試合 最近のAACCは男子が大変そうだけど、女子は順風満帆ですなぁ

56kg契約 5分2R
○村田恵美(168cm/54.7kg/AACC)
●HARUMI(154cm/55.5kg/BLUE DOG GYM)
[1R 1分18秒 腕十字固め]

村田はAACC所属で168cmの長身の持ち主、今回がJEWELSデビュー戦。対するHARUMIは元巴組で、これまで五戦五敗。う〜ん、こりゃズバリ言って「AACC所属の村田恵美が、鮮やかにデビュー戦を飾る!」って色合いの強いマッチメイクだな。




試合開始、まずはリーチの長い村田が右ハイで牽制。これを見たHARUMIはカウンターの胴タックルで素早く組み付いたが…。村田は上背を活かしサバ折りを掛けつつテイクダウンを奪うと、アッサリとマウントを取ってからセオリー通りの腕十字。これが極まってHARUMIがタップ。



う〜ん、予想以上に一方的だったなぁ。それにしてもAACCの女子部は人材が多いね。


第二試合 最近は女子のコスチュームも色々とありますねぇ

52kg契約 5分2R
アミバ(158cm/51.9kg/DEEP OFFICIAL GYM IMPACT)
●深岬パトラ(154cm/51.0kg/空手道禅道会 松本支部)
[2R 2分27秒 腕十字固め]

青木真也と寝技の練習を重ねるアミバは黒をピンクを基調としたタイガーキング風のコスチューム姿で入場。対する、対する禅道会所属の深岬パトラはアラビア風の衣装で入場。成程、寝技のアミバvs打撃の深岬というワケね。




1R、空手出身の深岬が、鋭いパンチの連打でアミバを攻め込む。やがて組み付く両者、この後は展開なくブレイクに。再開後、再び深岬がパンチで攻勢。だがアミバは、深岬からテイクダウンを奪うと、アッサリとパスガードを決めてサイド、そしてマウントとポジションを移行。

パンチを放ちつつ腕十字を狙うアミバ、深岬は必死に防御。ならばとアミバは、ニー・オン・ザ・ベリーから膝十字を極めに行く。これも深岬に防がれたが、アミバは尚もサイドをキープし続ける…が、ここでブレイクに。両者スタンド、深岬がパンチでアミバを追い込んでこのラウンドは終了。成程、寝技ならアミバ、立ち技なら深岬というワケね。




2R、グラウンドでの展開に自信を持ったアミバは、序盤からタックルを仕掛けてテイクダウンを奪うと、すかさず腕十字を狙って行く。必死に逃げる深岬、しかしアミバは逆向きにマウントを奪うと、遂に腕十字を極めた。レフェリーが止めて試合終了。



う〜む、前回も一本勝ちだし、そろそろアミバはもう少し上の選手とやってもいいんじゃないの?うわばら。


第三試合 最近は勝ち星に恵まれていなかった関でしたが…!

48kg契約 5分2R
関友紀子(147cm/47.1kg/FIGHT CHIX)
●MIYOKO(155cm/47.7kg/GRABAKAジム)
[2R 50秒 チョークスリーパー]

GRABAKA所属のMIYOKOは、全日本ブラジリアン柔術選手権大会の女子アダルト青帯ガロ級で優勝した実績の持ち主。対する関友紀子は、あらゆるジョシカク団体で試合をこなす苦労人。ある年には一年間に十試合もこなしたそうな。う〜ん、なんか関って便利に使われているよなぁ…。




1R、まずは関がパンチを繰り出しながらMIYOKOに組み付く。力強い立ちレスリングでテイクダウンを狙う関だが、みよこは組み付いたままこしのぐと、逆にテイクダウンを奪って腕十字を狙う。関は立ち上がるもMIYOKOはバックを奪ったまま何度も関を崩そうとする。関は粘った末に一旦離れると、再び組み付いて立ちレスリングでMIYOKOをコントロールし、離れ際にパンチを放つ。

だが終盤、MIYOKOは自ら関に組み付いてテイクダウンを奪うと、ハーフマウントからパスガードを狙っていく。必死に逃れる関、約一分間の攻防の末に1Rは終了。今日の関はなかなか力強いが、グラウンドの展開には一抹の不安が残るなぁ。




2R、またしてもMIYOKOは自ら組み付いたが、関は立ちレスリングを駆使して力強く投げを放つと、倒れたMIYOKOのバックを奪ってスリーパーを極める。これが極まって関が一本勝ち。



何かと苦労人のイメージの強い関が久々の勝利!いや〜、これは嬉しい!素直に嬉しい!


第四試合 最近はモンゴル人が色々な格闘技で活躍してますねぇ

63kg契約 5分2R
○超弁慶(158cm/61.0kg/ガムランナック)
エスイ(172cm/63.0kg/モンゴル/SMASH 小路道場)
[1R 4分34秒 腕十字固め]

得意の打撃でJEWELSで勝利を重ねる超弁慶の今日の対戦相手は…。TAJIRI率いるSMASHからの刺客、小路道場所属のエスイ。モンゴル出身のエスイは、「♪チンギス・ハーンフビライ・ハーン!」「♪私はハーンの末裔」「♪モンゴリアン・チャレンジャー」という怪しい曲で登場。う〜ん、どんな選手かがまるで想像できんが、172cmという長身は、小柄な超弁慶にとっては脅威だろう。




試合開始と同時に、エスイはダッシュして飛び膝蹴りを放つも、超弁慶はこれを捌いてスタンドでバックを奪い、エスイを崩してテイクダウン。ハーフマウントからパスガード、アッサリとマウントを奪った超弁慶が腕十字、スリーパーなどを狙っていく。防戦一方のエスイは亀になって防御、超弁慶は上になって抉じ開けようとするも、エスイはこれを振り落として上になる。



チャンスを得たエスイはインサイドガードからパンチを落とすも、エスイが身体を起こしたところを超弁慶がTKシザースを決めて上になる。ここから足を掴んで足関節を狙う超弁慶、エスイは上になってパンチを落として必死に抵抗。超弁慶が足を離し、エスイがハーフマウントになったところでブレイクが掛かる。



スタンドで試合再開、超弁慶は得意のパンチをエスイに叩き込む。嫌がるエスイは超弁慶に組み付いて鮮やかな腰投げを決めるも、超弁慶は投げの勢いを利用してグラウンドで回転して上になり、そのまま腕十字を極めて一本勝ち。



う〜ん、エスイは今回がデビュー戦という事もあり、自分の体格を活かしきれてなかったなぁ。まぁ、器はある選手だと思うので、長いリーチを活かした打撃の練習をしっかりやって、グラウンドでの防御方法をちゃんと覚えれば、案外良い選手になると思うけどね。


第五試合 最近のSBは女子の試合が良いアクセントになっているなぁ

SBルール 53kg契約 2分3R + 延長2分2R
高橋藍(168cm/53.0kg/シーザージム)
●エミNFC(165cm/53.0kg/ナゴヤファイトクラブ)
[3R 1分19秒 TKO]

SB本体における女子部のエースがRENAなら、高橋藍SBJEWELS出張所における女子部のエースと言えるだろう。凛とした表情から繰り出される鋭い打撃は、JEWELSの中でも存在感を放っている。今日はセコンドに金井健治を引き連れて入場した高橋、対戦相手は名古屋からの刺客であるエミNFC。




1R、序盤から高橋が得意のワンツー〜右ミドルのコンビネーションで主導権を握る。合間に右ストレートや右フックをバシバシと当てた高橋、組み付いてからの膝蹴りでも高橋が一枚上だ。エミもパンチで反撃しているが、正直ちょっと実力差がある感じだ。



2R、高橋は組み付いての膝蹴りでエミの体力を奪うと、1Rの高橋の打撃で顔の腫れ上がったエミに右フックを入れる。この後、何度も組み付いての膝蹴りを放って攻勢をキープする高橋、接近戦でのアッパーもエグい。



それでも後半、何かが吹っ切れたエミがパンチで猛攻を掛けたが、高橋は右ストレートを入れてダウンを奪う。う〜ん、正直この時点でストップを掛けた方がいいような…。



3R、尚も吹っ切れているエミはガムシャラに前に出てパンチを連打するも、高橋はこれを冷静に捌いていく。そして後半、エミが攻め疲れを起こしたところに高橋は逆襲のパンチの連打。鼻血を流して防戦一方になるエミの姿を見たレフェリーが試合を止めた。



僕としては、この試合のストップのタイミングはちょっと引っかかった。正直、この試合展開から考えるにつけ、エミが高橋に勝てないことは観客の誰もが気付いていたハズ。確かに2R後半〜3R前半のエミの頑張りは素晴らしかったけど、僕は2Rのダウンの時点で試合を止めても良かったように思うんだよなぁ。

JEWELSは「見込み一本」とかも積極的に取っていることを考えると尚更、というかねぇ。JEWELSが提唱する「ツヨカワ路線」からはかけ離れた陰惨さだったように思う。 この試合のレフェリーは、SBでもお馴染み北尻俊介氏だったんだけど…。男子の試合とは違うんだから、もう少し早く止めればいいのになぁ…と、10年来のSBファンが意見してみる。



第六試合 最近の試合が2009年10月なので、これが9ヶ月ぶりの試合となる瀧本でしたが…

48kg契約 5分2R
○瀧本美咲(155cm/48.0kg/空手道禅道会 横浜支部)
●リサ・ニュートン(155cm/46.6kg/イギリス/Team Akurei)
[1R 2分10秒 チョークスリーパー]

昨年10月、ライバル団体であるVALKYRIEの舞台で茂木康子との「友情対決」を制した瀧本美咲がJEWELSのリングに登場。現在、戦績が25戦11勝11敗3分1KO7SKOという実績で、今日は勝ち越しを掛けた試合となる。対戦相手は、SMACK GIRLが開催したWORLD REMIX TOURMENTを見てジョシカクを始めたというリサ・ニュートンだ。




試合開始と同時に、鋭い左ジャブで瀧本を攻め込むリサ。観客が驚きの声を上げる中、瀧本は組み付いてテイクダウンを狙うも、リサは突き放して左ジャブを伸ばす。鋭く伸びるパンチに手を焼く瀧本、再び組み付くもこれもリサに切られる。



そこで瀧本は丁寧にストレートを当てると、これを嫌がったリサが片足タックルを仕掛ける。千載一遇のチャンスに瀧本は、リサの首を捕る。リサはテイクダウンを狙うも、その過程でバックを奪った瀧本がグラウンドでスリーパーを極めると、ガッチリと極まってリサがタップした。



序盤は苦戦した瀧本だが、終わってみれば綺麗な一本。勝った瀧本の表情が本当に嬉しそうだ。うん、これは見事な一本でしたな。


最近のジョシカクは海外の試合も多いねぇ

休憩前には、この興行を怪我で欠場した杉山しずか、そして海外で試合を行なう藤井惠と赤野仁美がリングインして挨拶を行なった。




第七試合 最近のAACC女子部は本当に強い選手ばかりだ

JEWELS初代ライト級 女王決定トーナメント一回戦 5分2R
浜崎朱加(158cm52.2kg/AACC)
●イ・ハンソル(168cm/52.2kg/韓国/CMA KOREA UF GYM)
[1R 48秒 チキンウィング・アームロック]

ここからは、JEWELS初代ライト級女王決定トーナメントの一回戦が四試合。


その第一試合には、僕は初観戦となる「藤井惠の後継者」浜崎朱加が登場。ベースとなる格闘技は柔道で、昨年の修斗全日本アマチュア選手権で、女子バンタム級で優勝という実績の持ち主だ。対するイ・ハンソルは一昨年の韓国柔術大会で優勝した実績の持ち主。柔道vs柔術というワケね。




…なんて思っていたら、決着は一瞬でついた。試合開始と同時に、ハンソルにいきなりタックルを決めた浜崎はそのままテイクダウンを奪うと、アッサリとパスガードを決めてチキンウィング・アームロックの体勢に。ハンソルは必死に粘ったが、結局逃げ切れずにタップして試合は終了。



この間、わずか48秒。成程、「藤井惠の後継者」というのは伊達じゃないのね。浜崎朱加、かぁ…。その名前、覚えておきます。


第八試合 最近のヨアキム・ハンセンは日本にいるらしいですねぇ

JEWELS初代ライト級 女王決定トーナメント一回戦 5分2R
長野美香(161cm/51.8kg/CORE)
●セリーナ(ノルウェー/チーム・ヘルボーイ・ハンセン)
[1R 2分52秒 腕十字固め]

JEWELS 初代ライト級女王決定トーナメント 一回戦。その第二試合は、前回興行からわずか二ヶ月後に組まれたリベンジマッチ。ヨアキム・ハンセンが率いるチーム・ヘルボーイ・ハンセンに所属するセリーナに対して、完敗を喫した長野美香がリベンジ戦に挑む。


これまで日本では勝ち星のなかったセリーナ。だが前回の試合では、JEWELSの看板選手の一人である長野を相手に打撃でも寝技でも完封して圧勝。反対に得意の寝技で何も出来なかった長野はよほど悔しかったのか、試合終了と同時に人目も憚らず(はばからず)に号泣してしまった。

あの試合からわずかに二ヶ月。一見、無謀なように思えるリベンジ戦。何も出来ずに完敗し、号泣した長野の姿はJEWELSファン、そして僕の記憶の新しいところに焼きついている。やるからには、キッチリとした形で白星を挙げないと、長野を新しい目で観るのは難しいだろう。




試合開始、まずはセリーナがパンチを伸ばして様子を見るも、早くも組み付いて長野をコーナー際へと押し込む。反対に首を捕って投げを放つ長野だったが、グラウンドで上になったのはセリーナだ。



だが、長野は諦めない。下からラバーガードを仕掛け、腕を捕った長野が腕十字を仕掛ける。セリーナは慌てて逃げるも、長野は流れの中でグラウンドで上になると、掴み続けた腕にもう一度、腕十字を仕掛ける。今度はガッチリと極まった。



二ヶ月前の敗北号泣劇からは一転。勝った長野は「どうだ!」と言わんばかりの表情で勝ち名乗りを受けた。


ふ〜む。今日の長野だが、前回の完敗劇のことを考えると、よくこれだけ見事な一本勝ちを挙げられたなぁ、と関心させられるね。まぁ、意外と前回が「気を抜き過ぎた」というダケのことかもしれないけど…イヤイヤ、そういう事を言っちゃいけないな。今日の長野のは見事な一本勝ちだったんだから。



第九試合 最近の女子プロレスのことは判りませんが、アイスリボンは良くやっていると思います

JEWELS初代ライト級 女王決定トーナメント一回戦 5分2R
○ハム・ソヒ(158cm/51.6kg/韓国/CMA KOREA)
市井舞(158cm/51.8kg/アイスリボン)
[判定 3−0]

JEWELS初代ライト級女王決定トーナメントの一回戦。その第三試合には、優勝候補の筆頭として挙げられているハム・ソヒが登場。


2007年2月に初来日して以来、辻結花藤井惠、そして引退したMIKUといったトップ選手にこそ敗れてはいるが、渡辺久江、Edge、石岡沙織、瀧本美咲という一つ下のラインの選手にはすべて勝利しているのだ。従来はキックボクサーだが、グラウンドも得意としているソヒの一回戦の相手は、しなしさとこを破った実績を持つ市井舞。市井としてはプロレスラーの魂を見せ付けたいところだが…。




1R、市井は半身の構えから、サイドキックや裏拳といった大技でソヒを攻め込むも、ソヒはこれを受け流しつつ、鋭いワンツーと右ミドルを放つ。その重さに観客から驚きの声が上がる中、これを嫌がった市井がタックルを敢行するも、ソヒはこれを突き放すとコーナー際でパンチを連打。リング上では度胸のある市井が、ソヒの打撃を怖がっているのが印象的だ。



こうしてペースを握ったソヒは、スタンドでバックを奪いテイクダウン、そのままスリーパーの体勢へ移行。上半身を起こして逃れる市井、ソヒはこれを寝かしつけて肩固めを仕掛ける。型の上ではガッチリと極まったかのように見えたが、これは極まりきらなかった。ならばとソヒ、再びバックを奪ってスリーパーを仕掛けたが、市井は亀の体勢を経てスタンドへと戻す。



1Rも残り僅か、市井は半身の構えから裏拳の奇襲、この後でソヒに組み付いて引き込むも、ソヒは冷静に捌いて腹へとパンチを落とした。ここで1Rは終了、恐らく市井が半身になるのは、ソヒの打撃を受け過ぎないよう警戒しているのだろう。



2R、1Rとは一転、市井が正面に構えた。これを見たソヒは鋭いワンツーと、重い右ミドルを放つ。対する市井はパンチを出しつつ裏拳やサイドキックを見せたが、その攻撃が妙に「やぶれかぶれ」に見えてしまう。そんな市井に、ソヒは左ストレートを叩き込んでダメージを与えると、タックルからテイクダウンを奪い、パスガードから腕十字を狙っていく。



グラウンドで劣勢の続く市井、何とかソヒの腕狙いを防いだものの、ソヒは尚もグラウンドでバックを奪う。だが市井はここで身体を反転させ、グラウンドで始めて上になる。観客の歓声の中、インサイドから腹にパンチを落とす市井だが、これ以上の有効打が出てこない。両者立ち上がってスタンド、市井は再び引き込み、ソヒがインサイドからパンチを落とす中で試合は終了。



判定の結果、3−0でソヒが勝利。



ふ〜む…。正直、今日の市井は試合前から心で負けているように見えた。…これは彼女を貶める意味で言っているのではなく、素直な驚きである。僕は市井に対しては「どんな相手と闘っても、勝っても負けても笑顔を忘れない選手」だという印象があり、その市井が笑顔も作れずにリング上でビビッていることに驚いたのだ。つまり、ソヒの強さがそういう性質のものなのだろう。う〜む、やはり優勝候補の筆頭と言われるだけのことはあるな…。


第十試合 最近できた「ツヨカワ」という単語に、物申す一戦

JEWELS初代ライト級 女王決定トーナメント一回戦 5分2R
○能村さくら(158cm/51.4kg/CB IMPACT)
●石岡沙織(156cm/51.9kg/空手道禅道会 小金井道場)
[判定 3−0]

JEWELS初代ライト級女王決定トーナメントの一回戦、トリである第四試合に「JEWELSのエース」である石岡沙織が登場。


JEWELSの旗揚げ以来、エースとしてメインのリングに上がり続ける石岡。JEWELSでの戦績は6戦5勝1敗1KO3SKOと圧倒的だ。前回の試合では第九試合に出場した市井舞と対戦。「右フックでアゴを破壊する!」と豪語する市井に対し、試合前から不機嫌モードの石岡は逆に右ストレートを何度も叩き込み、最後は腕十字を極めて勝利、JEWELSファンに「石岡は怒らせると怖い」という印象を植え付けた。

「ツヨカワ」という言葉が良く似合う端正な顔立ちと、打投極のバランスの良さで今日もメインに出場する石岡。今日の対戦相手は、1998年に正力杯 全日本女子柔道選手権大会 57kg級で第二位の実績を残した事のある能村さくらだ。




1R、まずは石岡がワンツーを放つと、これが能村にヒット。観客からは歓声が沸いたが、能村は石岡に組み付くと首相撲でコントロール、足払いを決めてテイクダウンを奪い、アッサリとサイドへと移行して首を捕らえに行く。



一転してピンチを迎えた石岡はどうにかガードポジションに戻したが、能村は再びパスガードを決めてサイドに付き、その首を狙いつつ石岡をガッチリと押さえ込む。ブリッジを作って逃れようとする石岡だが、能村の押さえ込みは強く、石岡は思うように動けずに大苦戦。それでも石岡がガードポジションに戻したところでブレイク。だが、今日はこの時点で、多くの観客が石岡の敗北を予想しただろう。それくらい、能村のポジションキープ力は圧倒的だったのだ。



両者スタンド、能村は打撃を繰り出す石岡に首相撲を仕掛け、腰投げを決めてテイクダウンを奪い、フロントチョークを極めに掛かるが、ここで1Rは終了。「JEWELSのエース」、絶体絶命の大ピンチだ。



2R、序盤はお互いにパンチを出し合う打撃戦となるも、やがて石岡が組み付いて首相撲から膝蹴りを放つ。


だが能村はテイクダウンを奪うと、再びハーフマウントから石岡を押さえ込む。まったく身動きの取れない石岡をパスガードしてサイド、そしてマウントを奪った能村は膝を落としつつ、バックに回ってスリーパー、そして腕を掴んで腕十字とやりたい放題だ。



それでも能村の腕十字を返した石岡は、この試合で初めてグラウンドで上になる。千載一遇のチャンスに観客からは歓声が沸いたが、能村はすかさず下から腕十字を仕掛け、その過程でグラウンドで上を奪い返す。観客の歓声が溜息に変わる中、能村は首を捕ってフロントチョークを仕掛ける。


結局、最後までグラウンドで石岡をコントロールし続けた能村は最後まで一本勝ちに拘り、残り30秒の時点で足関節を捕りに行く。その過程の中で石岡はニー・オン・ザ・ベリーの体勢になったが、残り10秒では何もすることも出来ない。



こうして試合は終了。判定の結果、3−0で能村が勝利。敗れた「JEWELSのエース」は、力のない表情でリングを降りていった。


いや〜、この試合は単純に能村が強かった。特にグラウンドでの力の差は歴然としていて「石岡は何回やっても、能村には絶対に勝てないだろう」と思わせるだけのパワーの差があったように思う。

能村の強さは「ツヨカワ」を提唱するJEWELSとは一線を画す「ひたすら強い」という質のもの。「カワイイ」とかそういう雑念を感じさせない強さだった、というか。正直、JEWELSの一つ上のステップである、DEEPで観戦したい選手だなぁ。まずはこのトーナメントでの活躍を見届けますかねぇ。




対する石岡は、言い訳のできない程の完敗劇。結果論ながらも、能村を攻略するにはグラウンドよりもスタンドの方、それも「徹底したアウトボクシング」をやるのが一番良かったと思うのだが…。

まぁ、これだけ完敗してしまうと、「JEWELSのエース」の座を奪い返すのは本当に大変だと思う。だが、エースというのはそういう壁を乗り越えていかなくてはならない運命にある。ここからの奮起、そして再起には大いに期待したい。



雑感

興行のテンポが良く、一本勝ちの連続で面白い興行だったが、今日はそれ以上にメインのインパクトが大きい。「ツヨカワ」の第一人者だった石岡沙織が、「ひたすら強い」能村さくらに敗れてしまったのは、JEWELSの根底を崩しかねない出来事のように感じた。結局、JEWELSという興行も、格闘技というまな板の上に乗っているワケなので、強い選手が勝つのは「当たり前」なのだが…。なんというか、今日はなんだか「ミもフタもない」ものを観た気になってしまった(笑)。それをやっちゃあオシマイよ!というかねぇ。




反面、JEWELS初代ライト級トーナメントは強い選手が揃った!という印象があるので、この先の準決勝と決勝は素直に楽しみ。ただ、次回は12月17日(金)なんだよなぁ。随分、期間が開いちゃうのがちょっと気になるね。



以上、長文失礼。

7/25 DDT MFPでのイベント(廃墟プロレス) 観戦記

意外と廃村とか廃墟とかが好きなんです

本日は茨城県守谷市にある守谷フレンドパークにて、DDTの廃墟プロレスを観戦。


突然だが、僕は廃村というヤツが嫌いではなく、今までに何箇所かそういうところを訪れている。僕は日帰りの旅を趣味の一つとしているのだが、「廃村探訪」は普段は絶対に行かない場所に行くにはもってこいで、特に山間にある廃村は「山頂まで行かずとも、山を堪能した気になれる」という大きなメリットもあるのだ。

かつては人々が生活を営みながらも、産業の衰退や生活の利便性など、様々な理由により人々が土地を去っていき、後に廃墟が残された場所、廃村。ここからは僕が訪れた廃村を紹介すべく、写真を何点か掲載して行く。

廃村その1 埼玉県さいたま市桜区大字塚本

最寄駅はJR埼京線の南与野。そこから西武バスで浦和北高校で下車し、高校裏の堤防を超えたところにあるという、何とも近場にある廃村。


一見しただけでは廃村とは気づきにくいのだが、水害防止のために国からの補償を受けた上で1990年代後半に全戸移転したという廃村、というよりは廃地区。廃屋などはすべて壊されており、まだ廃村になって歴史が浅い上に田畑は今でも使われているらしく、非常に綺麗な場所だった。




左は堤防の上から東側を見た風景。奥に見えるビル郡は都市は大宮。そして右は堤防の上から西側を見た風景、つまり塚本の風景だ。このギャップこそが塚本廃村の最大の魅力なのだ。



左は塚本廃村の中にある鎮守の森。なにやら幻想的な風景。右の田んぼは今でも使われているようだが、妙に荒れているのが気になる。



左は人々の生活の跡。ここに人がいないのが不思議なくらい生活感が出ている。右はさいたま市指定の文化財、薬師堂のマキを紹介する看板、及び薬師堂の一部。なかなかに立派。



これが薬師堂のマキ。木自体はかなり立派なのだが、とにかく周りの銀杏が臭くてたまらん。



左は鳥居、右は祠。かつて人が生活していた最大の証拠と言えるだろう。

廃村その2 埼玉県飯能市大字上名栗字白岩

最寄駅は一応、西武池袋線飯能駅。そこから国際興行バスで湯ノ沢行きのバスで一時間ほど移動。名郷というバス停で降りた上、某大手鉄工企業の関連工場の裏を抜けて一時間ほど登山すると存在する廃村。他のページなどを読むと一般的な廃村マニアは車で訪れているようだが、僕は交通機関を利用して行った。まぁ、経験者から言わせてもらうと、ズバリ車で行った方が良いと思う(苦笑)。

で、この村はかつて、炭焼きと鉱山で生計を立ていたらしいのだが、時代の流れと共に過疎化が進み、1990年代前半に廃村となったらしい。こちらには民家が生々しい姿で残っており、いわゆる一般の人が思い浮かべる「廃村」のイメージそのままだと言えるだろう。




左は白岩廃村に向かう道中で撮影した景色。とにかく山深いところに存在する廃村なのである。山の風景というのは圧倒的で、恐怖すら感じる。右は、この地区が『白岩』と呼ばれる所以となっている大きな白い岩。石灰石なのだそうな。



左は廃屋その1の外観。見ての通り、本格的な廃屋である。右はその建物の遺留物、石野真子のレコード。住んでいた人の世代や嗜好が見える。



左は廃屋その2の内観。台所の風景なのだが、見ての通り荒れ放題。右はその廃屋の外にあった遺留物、カセットテープ。「北酒場」とか「昔の名前で出ています」とか、僕でも知っているメジャータイトルが並んでいる。



左は廃屋その3の内観。テナントって、今でも集めている人っているのかな?右も同じ建物の内観。「足の踏み場もない」とはこの事だ。



左は白岩廃村の象徴とも言える、可愛らしい子供用のペダルカー。ここを訪れる人は必ずこのペダルカーの写真を撮っているようだ。右は祠。こんな山奥であっても、人々は信心深く生活していたのだ。

蓼食う虫も好き好き

そんなこんなで、廃村が好きな僕が「廃墟プロレス」という単語に反応しないワケがなく、今回はその言葉に騙されて、わざわざ平日の夕方から茨城県の山の中にまで来た、というワケだ。ええ、このためだけに会社を休んだバカですとも。


さてさて。「廃墟プロレス」と聞くと「どんな恐ろしいところでやる気なんだ?」という風に想像してしまうが、会場となる守谷フレンドパークまでのアクセスはそこまで悪くなかった。つくばエクスプレス秋葉原駅から快速で約30分で到着したのが、茨城県守谷駅。んで、駅からはタクシーで10分程度の距離だった。まぁ、いかに廃墟であろうとも適当にアクセスが良くないと、そもそも客が集まれないからなぁ(笑)。




そして、今日の闘いの舞台となる守谷フレンドパークについてだが…。確かに廃墟だとは思うのだが、思ったよりは綺麗な場所だった。何でもここは、長年廃墟だった建物を、地元の若者達が様々な人々の許可を得て遊び場へと変えたものらしい。成程、道理て綺麗なワケだよ。



建物の表側。玄関は人が多くて写真が撮れなかった…。窓に張っている新聞紙が廃墟っぽさを演出している。



建物の裏側。こちらの方はより廃墟っぽく見える。



庭の様子。捨てられたボートやベンチが生活感を出している。そして今日の主役である「穴」。どう主役になったのかは、後々に記述する。



そして中の様子。廊下だけ見ると、あまり廃墟っぽく見えない。そしてメインフロアの中に入ると…アレッ!? もう試合やってるジャン!う〜む、「開始は遅れるだろう」と見ていた自分の読みが甘かったか…。

廃墟プロレス…というよりは、穴プロレスだったような…

CMLL認定KO-Dタッグ王座 & 守谷ワールドタッグ王座選手権 3WAYマッチ 時間無制限一本勝負
 高木三四郎(175cm/108.0kg/CMLL認定KO-Dタッグ 王者)
澤宗紀(173cm/85.0kg/格闘探偵団バトラーツ/CMLL認定KO-Dタッグ 王者)
vs
●吉田充宏(身長不明/体重不明/フリー/守谷ワールドタッグ 王者)
 安部健治(身長不明/体重不明/CMAプロレスリング/守谷ワールドタッグ 王者)
vs
 HARASHIMA(178cm/90.0kg/CMLL認定KO-D無差別級 王者)
 松本浩代(167cm/70.0kg/息吹)
[16分11秒 お卍固め・イン・ザ・穴]
※高木組がCMLL認定KO-Dタッグ王座を防衛。守谷ワールドタッグを奪取したが、こちらは即返上。

会場には、平日の昼間だというのにどういうワケか、既に120名以上の観客がプロレスを楽しんでいた。現KO-Dタッグ王者である高木三四郎澤宗紀は「大人気ないタッグ王者」としても名を馳せているが、ここに集まった観客は、彼らに負けずと大人気がないな。まぁ、僕もだけど(苦笑)。

建物の中は120人の大人達がプロレスを観戦するにはちょっと狭い上、廃墟という性質上、当然ながら空調も照明も存在しない。おかげで試合をロクに追えなかったのは残念だったが、まぁ週プロの記事などを交えつつ、追える範囲で追っていこうと思う。


で。僕が会場に着いた頃には、すでに会場内はカオス状態になっていた。松本浩代ピコピコハンマーを持ち込んでいるのは何故だっ!? ちなみに会場内には「座ると呪われる椅子」が存在し、僕が会場に来る前には次々に選手が死亡していたらしい。選手達がどうやって復活したかは各自調査。




ちなみにリングはマットレス三枚で、コーナーの代わりをラダーが担当。ラダーの上から、松本がボディアタックを敢行。



ようやく自体が飲み込めたのだが、松本が持ち込んだピコピコハンマーだけではなく、この試合では選手が全員、武器の持ち込みを行なっているらしい。高木三四郎はギター、安部健治はマネキンの生首を持ち込む中で…。



圧巻だったのは、吉田充宏が持ち込んだバリカン。この凶器を奪った高木&澤は何か取り憑かれたかの如く、ひたすら吉田の髪の毛をバリカンで刈っていた。なんという恐ろしい凶器だ…。




高木&澤による「黄金シャワー」は今回も不発。どんな技かは未だに不明だが、僕の想像通りの技だとしたら、こんなところでやられたら、たまったモンではない。



やがて試合は場外戦へ。どこからが場内で、どこからが場外なのかは各自調査。で、僕は澤を追いかけた。吉田の手によってトイレに封印される澤。KO-Dタッグ王者、大ピンチである。どんなにバカバカしくても、大ピンチである。



外ではHARASHIMAが安部健治を痛めつけていた。アバランシュ・ホールド、サッカーボールキックと矢繋ぎに技を浴びせ、フォールを奪うも松井レフェリーは不在。他のレスラーを含めて、みんなで松井レフェリーのもとへと向かうと…。




そこには穴の中でお卍固めを極める澤の姿が。吉田がギブアップして試合終了。尚、この写真のみ週刊プロレスの写真を使わせて頂きました。スイマセン…。



試合後、何故か穴に嵌っていく選手たち。高木は真っ逆さまに嵌ってしまい、松本や松井レフェリーの手によって引っ張り出されていた。マジで危ないってばさ。



勝った高木は、この物件を見つけてきた吉田を絶賛。「良く、こんなところを見つけて来たな!」と褒め称え、「茨城の興行を、お前に任せてもいい!」と太鼓判を押した。



何故か半ケツが出た状態である安部を救うべく、高木と澤がが引っ張り上げようとするも、「ファイト!一発!」の掛け声と共に、二人は再び穴の中へ。相変わらず大人気がない。



女子レスラーなのに、このバカバカしい試合に参加した松本。そして五日前、両国国技館に集まった8800人以上の観客を感動させたにも関わらず、このバカバカしい試合に参加したHARASHIMA。なのに、なんでこんなにいい表情をするのだろうか?



そして、そんな二人も結局は穴の中へ。とにかくこの日は「お前ら!これがやりたいだけだろ!」と言いたくなるくらいに穴に落ちていた。



全員による記念撮影から王者組のみ抜いてみた。疲労困憊の表情が、この日が大激闘だった事を雄弁に物語っている。バカバカしくはあるが、大激闘だったのだ。



最後はみんなで、身体についた泥を水で洗い落として終了。「ありがとう!汚れた顔の天使たち!」(by 若林健治 元アナウンサー)。


雑感

今日も奇抜なアイデアによって、会場に集まった四人の子供達、そして残り約120人のダメな大人達の、失われてもいない笑顔を取り戻したDDT。だが誰よりも笑顔だったのは、プロレスをやった本人達だと思う。なんか、このシリーズはレスラーにとって良い息抜きになるんだろうなぁ、そして会場はもう少し広い方が良いなぁ、なんて事を思った廃墟プロレス観戦だったとさ。それにしてもHARASHIMAが良い表情しているなぁ。




ちなみに王者組によって虎刈りにされた吉田の頭髪は、地元の子供達によって綺麗な丸刈りにされていた。なんの断髪式だよ(苦笑)。


以上、長文失礼。

7/18 REVELS ディファ有明興行 観戦記 Ver0.5

今回は試合数が多いので、試合部分は手短な観戦記となります。

本日はディファ有明でREVELS(レベルス)を観戦。


今回のREVELSは「チケット代が高い(当日券で一番安い席が6000円!)」「全十四試合の長丁場」「アマチュアやジュニアや女子の試合も入っている」など、実にカオスな香りのする興行なのだが、それでも僕が観戦する気になったのは、メンバーに全日本キックの残り香を感じたからだ。まぁ、よく見ると藤原ジムの所属選手と藤原あらしくらいしか、全日本キックを感じさせる選手はいないんだけどさ(苦笑)。


でも、全日本キックが好きな人ならわかると思うけど、藤原あらしがそこにいるだけで全日本キックという雰囲気は強くなるんだよねぇ。ましてや、全日本キックが誇るフェザー級四天王(山本真弘山本元気石川直生前田尚紀)が、他団体で敗北を繰り返す現状を考えると尚更、藤原を見たくなったのよ。PONさん曰く「今までに僕らは、何度『藤原あらしが最後の砦!』という状況を経験してきただろう」。ああ、元全日本キックのファンは、またしても藤原に頼らざるを得なくなってしまったなぁ…。


そんな藤原は今日、メインイベントで「日本キック界軽量級 頂上決戦」に挑む。対戦相手はTOMONORI、NJKFが誇る日本フライ級最強の男である。相手にとって不足なし。今日は52.5kgまで体重を絞り、TOMONORIの階級に合わせたあらし君の左ミドルが炸裂するのか?それとも、TOMONORIがパンチのラッシュで押し切るのか?


ってなワケで、チケットを購入したのだが…。一番安い席(B席、当日6000円)が売り切れだった為、8000円でA席を購入。こ、これは高い…。観客の入りは約七割。芳しい入りとは言い難いかなぁ。っていうか、B席にも空席があるじゃねぇか!売ってくれよぉ…。

第一試合 SHOHEIは元新日本キックの昇平が改名したものだそうです

クルーザー級 3分3R
エドリョーマ(バンゲリングベイ・スピリット)
●SHOHEI(小林道場/元日本ミドル級 六位)
[判定 3−0]

エドリョーマを観るのって、バンゲリングベイ・スピリットの総帥である新田明臣の引退興行以来だなぁ。


1Rから2R中盤にかけてはSHOHEIが前に出てパンチで押し込み、組み付いての膝蹴りで試合を優位に進める。だが2R終盤、リョーマのパンチがクリーンヒットすると、これを契機にリョーマが逆転。

3Rは尚もプレッシャーを掛けて前に出るSHOHEIに対して、リョーマがキッチリとパンチで迎撃し続けた。SHOHEIは組み付いての膝蹴りで攻め込むも、試合終盤にリョーマのパンチがヒット。最後は殴り合いを展開した末、リョーマが判定3−0で勝利を収めた。

第二試合 左禅丸は日本拳法出身のベテランだそうです

ウェルター級 3分3R
金統光(藤原ジム/WPMF日本ウェルター級 九位)
●左禅丸(レグルス池袋/元J-NETWORKウェルター級 四位)
[判定 3−0]

全日本キック時代はスキンヘッドだった金統光、今回は髪の毛を生やして試合に挑む。


1R序盤は金の右ローと、名前は左の右ローが交差。パンチでプレッシャーを掛けたのは金、左は首相撲からの膝蹴りでしのぐ。だが2R、金の右の肘打ちで左が出血すると、金はパンチでプレッシャーを掛けつつ、首相撲から肘を傷口に押し当てての嫌がらせ。

3R、左は左ストレートと右ローで反撃するも、金は組み付いてのパンチや右の肘打ちで攻め続けた。

判定の結果、3−0で金が勝利。

第三試合 シノが所属するKRSジムは、佐々木功輔がタイのウボンに開設したジムだそうです

スーパーウェルター級 3分3R
○シノ・KRSジム(KRSジム/WPMF日本スーパーウェルター級 七位)
●白神武夫(拳之会)
[判定 3−0]

シノ・KRSジムは見事なアフロヘアー。対する白神武夫は国崇も所属する拳之会の所属。


1R、序盤は距離を開けての蹴り合いとなる。シノは下がりながらの左ミドル、白神は前に出てのワンツーと右ロー。だが1R終盤頃から、シノの組み付いての膝蹴りが目立つようになる。

白神は1R終盤にパンチを入れる場面もあったが、2Rはシノの組み付いての膝蹴がひたすら続く。白神も組み付かれた時に肘打ちで応戦し、3R序盤に左肘を入れるも、シノは組み付いての膝蹴りをひたすら続けると、体力を失った白神に左ボディで追い撃ちを掛けていく。

こうして頑固にスタミナを奪い続けたシノが判定3−0で勝利した。

第四試合 堀口貴博はWSR日本選手団の重鎮だそうです

WPMF日本フェザー級ランキング戦 3分3R
○玲央(フォルティス渋谷/WPMF日本フェザー級 七位 & J-NETWORKフェザー級 四位)
●堀口貴博(ウィラサクレックフェアテックス)
[判定 3−0]

1Rから堀口はムエタイジムの所属選手らしく、玲央をロープ際に押し込んでは組み付いて、ボディへ右の膝蹴りを繰り出していく。対する玲央も膝蹴りを返しつつ、パンチと右ローで反撃していく。

すると2R中盤、玲央の左膝が堀口の腹を直撃する場面があり、ここからは玲央がパンチで押し込みつつ、組み付いての左の膝蹴りを連打するようになる。3Rは終始、堀口に膝蹴りを連打。体力を奪われた堀口は一発逆転の右の肘打ちを狙うも、玲央は試合終了まで膝でボディを蹴り続けた。

判定の結果、3−0で玲央が勝利。

第五試合 梅原タカユキは最近は、日本のチャンプクラスと闘い黒星が続いていたそうです

WPMF日本スーパーバンタム級ランキング戦 3分3R
○梅原タカユキ(TARGET/WPMF日本スーパーバンタム級 八位 & RISEバンタム級 三位)
●Dio(ALMERICK/WPMF日本スーパーバンタム級 十位)
[1R 1分51秒 KO]

試合開始と同時に距離を開ける両者。Dioは近付いてパンチを放つも、梅原はこれをパンチで迎撃。再び離れる両者だったが、不意に放った梅原の右ストレートがモロにヒットしてDioはダウン。

カウントが進む中、なんとか立ち上がったDioだったが…。梅原はプレッシャーを掛けてパンチで押し込み、再び右ストレートを叩き込む。バッタリと倒れたDio、この様子を見たレフェリーが試合を止めた。う〜ん、これはお見事!

第六試合 T−98は剛打者タイプだそうです

WPMF日本ウェルター級ランキング戦 3分3R
渡部太基(藤原ジム/WPMF日本ウェルター級 四位 & 元全日本ウェルター級 九位)
△T−98(クロスポイント吉祥寺/WPMF日本ウェルター級 八位 & RISEウェルター級 五位)
[判定 1−0]

1R、パンチと右ローを武器にでプレッシャーを掛けるT-98(タクヤ)に対して、渡部は下がりながら左ロー&左右ミドル&パンチと多彩な打撃で応戦。だが渡部の反撃を意に介さないT-98は、2Rからは首相撲に捕らえての右フックや膝蹴りを多用して優位に立つ。

しかし渡部も3Rは前に出て、尚も首相撲を仕掛けてくるT-98に強引にワンツー〜左ロー、ワンツー〜左ミドルを叩き込むと、3R終盤はラッシュを仕掛けて攻め込んだ。

一進一退の攻防で判定は難しいものとなったが、渡部の1−0でドローとなった。

第七試合 そういえば寒川直喜総合格闘技進出ってどうなったんでしょうね?

76.0kg契約 3分3R
○ベッカーセーム・ユタギ(タイ/元ラジャダムナンスタジアム認定バンタム級 三位)
寒川直喜(バンゲリングベイ・スピリット/M−1ライトヘビー級 王者)
[1R 1分16秒 TKO]
※寒川の負傷による

ユタギはかつて「ベッカーセーム野獣」の名前で、NKBの重量級戦線で破壊の限りを尽したムエタイの怪物なのだが、試合開始前のグローブチェックに引っかかって減点1。試合前からレッドカードを提示されたユダギには失笑も起きたが…。

いざ試合が始まれば、ユタギは半身になってのデトロイトスタイルのまま寒川に接近。いつも通りに左ジャブを刻む寒川を、プレッシャーでロープ際まで追い込んで肘打ちを一閃。この一撃で寒川は負傷、ドクターチェックが入った後で、アッサリと試合は終了。

う〜む、野獣恐るべし。

第八試合 ウエンツ☆修一はベビーフェイスで人気だそうです

WPMF日本スーパーフライ級ランキング戦 3分3R
○ウエンツ☆修一(スクランブル渋谷/WPMF日本スーパーフライ級 三位 & J-NETWORKスーパーフライ級 王者)
●薩摩サザ波(TARGET/WPMF日本スーパーフライ級 九位 & J-NETWORKスーパーフライ級 六位 )
[判定 3−0]

1Rは薩摩の左右のロー、ウエンツの左ミドルと左ローが交差する静かな展開だったが、2Rからはウエンツが薩摩を首相撲に捕らえて投げを放ちプレッシャーを掛ける。薩摩は左ミドルを重ねたが、2R終盤のウエンツのパンチ連打と肘打ちを浴びて出血。

するとウエンツは3Rは七回も投げを放ち、合間に左ボディを入れて薩摩の気力と体力を削いでいく。薩摩も前に出て攻め続けたが、その度にウエンツに組まれて投げられてしまっていた。

そんなこんなで、判定の結果3−0でウエンツが勝利を修めた。

第九試合 飯田なおはモデルプロダクション「Girls Tokyo」の所属だそうです

スペシャルアマチュアマッチ 2分2R
飯田なお(新宿レフティ)
田村由美子(ストラッグル)
[判定 3−0]

飯田なおは現役女子高生アイドルとして『週刊プレイボーイ』のグラビアでも紹介されたそうで、2007年〜2009年の三年間、ITFの全日本テコンドー王者なのだそうな。更には2007年〜2008年は世界大会でベスト8になっているそうな。ふ〜む、なかなか輝かしい実績だけど、ITFは派閥で言うと北朝鮮系で、オリンピックには出れないんだよねぇ。


そんなこんなで試合開始。1R、フリフリのスカートを履いた飯田がワンツー〜左ミドルで攻め立て、田村もワンツー〜右ミドルを返していく展開。田村は膝蹴りを駆使しつつワンツー〜右ミドルを重ねていくも、飯田は2R序盤と終盤にラッシュを仕掛けて印象点を稼いだ。

2分2Rの試合はあっという間に終了し、判定で飯田が勝利。


う〜む、正直に言うと、僕は田村の方が勝っていたと思うんだけどなぁ。まぁ、相手はスーパー女子高生ですからねぇ。色々あるさ、色々ね。

第十試合 近藤流星は14歳、石丸幸次朗は15歳です

KAMINARIMONジュニア50kg級王座決定戦 2分3R
○近藤流星(総合格闘技道場STF)
●石丸幸次朗(GT)
[判定 3−0]
※近藤がKAMINARIMONジュニア50kg級王者に

フルヘルメット&プロテクター&レガース姿で行われたKAMINARIMONのジュニア50kg級の王座決定戦は、近藤が組み付いてからの膝蹴りを連発し続けて、終始試合をリードした。石丸がパンチを返す場面もあったが、9分間に渡る再三再四の膝蹴りで石丸は体力を消耗、3R終盤頃には目に見えて動きが鈍っていた。う〜む、まだ若いのにこれ一本で攻めれるのは凄いな。

判定の結果、3−0で近藤が勝利し、KAMINARIMONのジュニア50kg級王者となった。

第十一試合 小笠原瑛作は14歳、大竹涼介は13歳です

KAMINARIMONジュニア45kg級タイトルマッチ 2分3R
○小笠原瑛作(クロスポイント吉祥寺/KAMINARIMONジュニア45kg級 王者)
●大竹涼介(BOXING-WORKS水龍會)
[1R 40秒 KO]
※左ストレート/小笠原が防衛に成功

またまたフルヘルメット&プロテクター&レガース姿で行われたKAMINARIMONのジュニア45kg級のタイトルマッチ。王者の小笠原に対して、試合開始と同時に軽快なフットワークで撹乱していく大竹。だが小笠原がパンチでプレッシャーを掛けると、左ストレートをズバン!と叩き込み、大竹を完全KO。

防具で身を固めたアマチュアの試合での失神KO劇に観客は騒然。大竹はしばらくの間、立ち上がる事が出来ず、最後はセコンドに担がれて退場していた。いや〜、これはビックリしたなぁ!

第十二試合 Little Tigerは元青春塾で、実家は寿司屋だそうです

WPMF日本女子ミニフライ級王者決定戦 2分5R
△Little Tiger(F TEAM TIGER/J-GIRLSアトム級 王者)
渡辺久江(BLUE DOG/元インターナショナル女子ムエタイライトフライ級 王者 & 元DEEP女子ライト級 王者)
[判定 1−1]
※タイトルは主催者預かりに

藤原敏男の秘蔵ッ子であるLittle TigerTigerの名前は佐山サトルから貰った由緒正しいもの。対するのは、お馴染み渡辺久江。今年四月に復帰してからはハイペースで試合を続ける渡辺は、今日も「私からダウンを奪ったら賞金を出す!」と豪語。そんな二人の対戦は、WPMF日本女子ミニフライ級王者の決定戦に。


タイガーマスクを被って入場したTigerは、1Rから積極的に前に出て美しい蹴り技を見せる。右ローと右ミドルを放つTigerに対して、渡辺はワンツーと左ミドルで応戦。2Rも前に出たのはTiger、突き刺すような右の前蹴りが渡辺の腹を急襲、吹っ飛ぶ渡辺。だが体格に優る渡辺は組み付いての膝蹴り、そしてワンツーの連打で応戦。ふむ、両者の闘い方はまったく違っていて面白いな。

3R、両者の蹴りが交差する中、渡辺はパンチから左ミドルを連打するも、Tigerはプレッシャーを掛けて前に出てパンチを連打。渡辺もパンチを返し、首相撲からの膝蹴りで応戦。4R、左右のミドルに前蹴りと、得意の蹴り技でプレッシャーを掛けるTiger。押され気味の渡辺はワンツーのラッシュから膝蹴りへと繋げるも、Tigerは華麗な右ハイをヒットさせて反撃。若干、Tigerが押し気味だなぁ。

5R、両者が蹴りを交換する中、渡辺はワンツーで突進すれば、Tigerはワンツーでこれを迎撃。残り時間は僅か、渡辺は最後のラッシュを仕掛けるも、Tigerはこれをしのぐと左ミドルを合わせていく。渡辺が帳尻を合わせてきたけど、Tigerがよくしのいでいるなぁ。


ラウンドをフルに闘った両者の激闘は判定へと委ねられたが、その結果は三者三様のドロー。う〜ん、僕個人の意見としては、蹴り技の美しいTigerに渡辺が手を焼いていた印象があるから、Tigerの勝ちだと思ったんだけどなぁ。渡辺は要所でラッシュや、首相撲からの膝蹴りを仕掛けていたのが評価されたのかな。まぁ、今回はLittle Tigerという良い選手を覚えられたのが大きいかな。

第十三試合 「スネーク」加藤督朗はアンディ・オロゴンを育てた名伯楽です

WPMF日本スーパーバンタム級王者決定戦 3分5R
○梅野源治(PHOENIX/WPMF日本スーパーバンタム級 暫定一位)
●裕・センチャイジム(センチャイムエタイ/ニュージャパンキックボクシング連盟/WPMF日本スーパーバンタム級 暫定三位)
[判定 3−0]
※梅野が初代王座に

「スネーク」加藤督朗の教え子である梅野源治は、スーパーバンタム級でありながら178cmという長身の持ち主で、長身を活かした首相撲からの膝蹴りや肘打ちを得意としている選手で、今年5月にはムエタイの本場・ルンピニースタジアムで、タイの選手を右肘の一撃で血まみれにして昏倒させている。

対する裕・センチャイジムはNJKFでお馴染みセンチャイ・トングライセーン氏の弟子である。今回、梅野を相手にするに当たり、センチャイ氏は裕に秘策を与えたようだ。「日本人には絶対に負けない」と豪語する梅野に、裕が与えられた秘策は通用するのか?


1R、まずは距離をあける両者。梅野は左右のローで牽制しつつ肘打ちを放つも、裕はことごとくブロックしつつワンツーを返し、梅野のローには肘打ちを合わせる。2R、肘打ちを狙う梅野に対して、裕は蹴りで距離をあけ、接近すれば首相撲で応戦して両者の膝が交差。この後、裕は梅野の肘をブロックし続けたが、2R終盤にパンチの打ち合いの中で梅野の左フックとアッパーがヒット。う〜む、センチャイさんが裕に与えた秘策って、肘打ち対策のことかなぁ?

3R、なかなか肘打ちが入らない梅野だが、ここに来て上背を活かした首相撲からの膝蹴りで徐所に優位に立ち始める。3R中盤の裕の右肘打ちや右ストレートがヒットする場面もあったが、梅野は首相撲からの膝蹴りでダメージを与えると、左ボディや左ストレートを入れて、尚も首相撲からの膝蹴りで追い撃ち。ふむ、ここに来て梅野が優位に立ったな。

4R、右ストレートで攻め込む裕に対して、梅野は首相撲からの膝蹴りを多用。背丈で劣る裕も膝を返すも、股関節をガンガン回して膝蹴りを放つ梅野を捌ききれずに苦戦。4R中盤にはついに右肘をヒットさせた梅野は、首相撲から投げを放って体力を削っていく。5R、梅野は左ローを連打しつつ、やはりここでも首相撲からの膝蹴りを多用。そして5R中盤、梅野はワンツーと右ローでラッシュを仕掛ける。すっかり劣勢の裕もパンチを返すが、梅野は首相撲から膝蹴りを連打し、最後は打撃のラッシュで裕を攻め込んだ。


試合終了、判定の結果が3−0で梅野が勝利したが、倒せなかったのが悔しかったのか、梅野は泣きながら「凄くダメな試合をしてベルトを巻いています。次の試合は不甲斐ない試合をしないので、応援をお願いします」とコメント。う〜ん、そんなにダメな試合だとは思わなかったけどねぇ。これって裕に対して、凄く失礼なコメントだと思うんだけどなぁ。新しい王座を獲得したのだから、もっと堂々としていて欲しいのだが…。

第十四試合 青木真也も認めた男、藤原あらしは日本の至宝!

52.5kg契約 3分5R
○藤原あらし(バンゲリングベイ・スピリット/WPMF日本バンタム級 一位 & 元WPMF世界スーパーバンタム級 王者 & 元全日本バンタム級 王者 & MACH 55 優勝)
●TOMONORI(OGUNI GYM/WBCムエタイ 日本王者 & UKF世界バンタム級 王者 & WMCインターコンチネンタルスーパーフライ級 王者 & 元NJKFフライ級王者 & 元NJKFスーパーフライ級王者 & MACH GO! GO! 〜フライ級最強決定トーナメント〜 優勝)
[3R 1分18秒 KO]
※左肘打ち

日本キック界バンタム級の至宝、藤原あらしの最近の五試合はすべてタイ人で、常に互角の闘いを続けている。また最終的には2勝1敗となったワンロップ・ウィラサクレックとの激闘を記憶に留めているマニアも多い事だろう。先日、古巣のS.V.G.を離れて、兄貴分である新田明臣が主宰するバンゲリングベイ・スピリットへと移籍した藤原は、今後はスーパーフライ級での闘いを中心に据えるそうだ。だからでこそ、今日の試合には深い意味があると言えるだろう。

藤原の対戦相手のTOMONORIは、日本キック界フライ級の至宝。かつては現役のルンピニー&ラジャダムナン認定ミニフライ級一位のラッタナデェ・KTジムをKOした事もある男だ。最近はバンタム級で試合に挑むことも多かったTOMONORIだが、今日は自分の本来の階級での試合。相手が魔裟斗とならぶ「日本キック界のパウンド・フォー・パウンド」だとしても、この体重では絶対に負けられない。


1R、藤原はいつも通りに左ミドルを重ね続けて、時折、首相撲から膝蹴りを放っていく。対するTOMONORIはワンツー〜右ローによる攻め。淡々と打撃が交差する静かな展開が続いたが…。1R終了直前、藤原は首相撲の離れ際に左肘を叩き込んでダウンを奪う。いきなり放たれた強烈な一撃を前に、観客は騒然となる。

ここから、試合は一方的だった。2R、左ミドルを重ねる藤原に対してTOMONORIは右ミドルを重ねて応戦、更にはワンツーを繰り出して距離を詰めるも、藤原は右の肘打ちで再びダウンを奪う。完全に追い詰められたTOMONORIは、藤原の首相撲や左ミドルをしのぎつつ2R終盤にラッシュを仕掛けたが…。藤原はこれをしのぎ、TOMONORIをロープ際へと追い詰めての右の肘打ちで三度目のダウンを奪う。う〜ん、やはりこの男は強い!

もはや決着が着いた事は誰の目にも明らかだった。3R、TOMONORIはラッシュを挽回を図ったが、これをしのいだ藤原は得意の左ミドルで動きを止め、首相撲から膝蹴りを放った後、その離れ際に左肘一閃。TOMONORIはダウンを喫し、これ以上は危険と見たレフェリーが試合を止めた。


正直、肘打ちによるダウン劇を生で観ると、僕は一瞬混乱する癖がある。特に肘の振りが小さかったりすると「えっ?何っ?何があって、相手はあんなにバッタリ倒れているの?」という感じになるのだ。まぁ、そういうパニック感もまた、キック観戦の醍醐味なんだけど、今日は久々にそれを味わえたのは大きいなぁ。そして、やっぱり藤原は強い!本当に強い!

雑感

全十四試合というと長丁場に見えるけど…。第十一試合が「同じ曲で選手が同時に入場」だった上、休憩後のアマチュアの試合は2分2R〜3R、第十二試合の女子王座戦は2分5R。勝利者撮影も手早かったし、終われば次の選手がすぐ入場。ひたすら早さを追求した興行だった為、思いのほか早く終わったように思う。午後四時に開始で、午後八時半に終了…だったかな?なんだかんだで四時間半だけど、全十四試合でこの時間に収まっていれば上々じゃないの?


反面、演出がシンプルでテンポが良過ぎる為、一試合毎の余韻を楽しむ暇がなく、淡々と試合が流れていった感は否めない。出ている選手はプロなのに、興行の作りがアマチュアだったという感じ。試合自体は…特に王座戦の三試合は見応えはあったと思うけど…。正直、これで当日券8000円は高く感じたなぁ。気分的には4000円くらいの感じかな。


以上、長文失礼。

7/11 DEEP公武堂ファイト Zepp Nagoya興行 観戦記 Ver1.0

実は人生で三度目の名古屋なのですが、観光をしたのは初でした




名古屋駅



名古屋港!



名古屋場所



名古屋城



そして、
公武堂ファイト

久々に密航してきました

本日はZepp Nagoyaで、DEEP公武堂ファイトを観戦。


さてさて。普段は東京近郊の興行を観戦している僕が「何を突然、名古屋に?」と思われる人もいるかもしれないが、ちゃんと理由はあるのだ。


僕はこの大会を運営している長谷川匡紀氏(名古屋の格闘技用品店、公武堂の社長)と、梅村寛氏(総合格闘技ブラジリアン柔術アカデミー「NEX」の代表で、自身も選手として活躍)の二人がMCを務めるネット配信番組『公武堂TV』(http://www.stickam.jp/profile/koubudotv にて毎週月曜日 深夜0:00より 好評放送中!)の視聴者である。




んで、普段は彼らの番組をタダで楽しんでいる僕が、このお二人が主催する大会を「場所が遠いから」という理由で観戦しないのは「重大な裏切り行為」のように感じたのが今回の生観戦の理由である。うん、いい視聴者だな僕は。まあ、名古屋には小さい頃に行った記憶しかなかったし、旅に出るという意味でも、手頃だったのもあるんだけどね(苦笑)。

公武堂TV』で出る佐伯社長のエピソードは、かなり鉄板の話が多いです

僕が『公武堂TV』を見るようになったきっかけは、この番組をやたら宣伝するグリフォン先生に釣られたダケの事なんだけど、いざ視聴してみるとこれが意外に面白い。ネットの格闘技番組といえば、メジャー団体の発表や動向を「あーでもない、こーでもない」と語ったり、有名選手をゲストに迎えてプライベートな話をする番組が多い中、この番組は主催する側の赤裸々な苦労話や裏話、地方から見た中央についての率直な意見や提言、そして格闘技という世界で生きていく信念を感じさせるコメントが多かったのが大きい。


格闘技とはまったく関係のないバカ話も多い番組ではあるが(笑)、そんな会話の中でも「ブレない芯」を感じる事が多かったのが、僕がこの番組の常連になろうと思った理由である。イヤ、これホント。


「地方発、東京へ」という、プロレス界ではスタンダードな形となった形態でありながら、現在の格闘技界では意外に行われていない事を実践する公武堂ファイトK-1 63kg級で優勝した大和哲也が、一夜明けの記者会見で「ナゴヤキック」の名前を口にした今、名古屋の格闘技の存在は、中央の格闘技界も無視できない存在になっている、と言えるだろう。今日は金網での興行となるDEEP公武堂ファイト、僕は総合格闘技を観るならリングより金網の方が好きだなぁ。


ということで、チケット代を購入、5000円 + ドリンク代500円。会場の雰囲気は…そうさなぁ、東京近郊の会場だと、施設自体はZepp Tokyoと同じでDJブースとかもあるんだけど、作りとしては少し大きめの新宿FACEに、二階に観客席をつけた感じが一番近いかな?一応、満員だと750人ほど入るらしい。んで、今日の観客の入りは八割程度。うん、結構入った方じゃないかなぁ。




※体重はパンフレットに記述されたもので、計量時の体重ではありません。あしからず。

第一試合 なんで寒天なんでしょうなぁ?本名は「春日井健士」らしいのですが…

62kg契約 5分2R
○寒天タケシ(169cm/60.0kg/GSB)
●加藤直之(167cm/62.0kg/スプラッシュ)
[判定 3−0]

あんまり知らない選手の事を書くときに便利なのが、パンフレットの存在だ。オールカラーなのに無料で配られていたパンフの内容を確認したところ、この二人はNEX大須道場で何度も練習した仲らしい。アマチュアからの叩き上げである加藤直之は打撃が得意で、最近プロシューターになった寒天タケシはオールラウンダーのようだ。ふ〜む、寝技になれば寒天が有利で、スタンドなら加藤が有利なのね。




1R、まずは寒天が胴タックルを仕掛けて金網際へと押し込んで膝蹴りを入れる。加藤は金網際で体勢を入れ替えて崩しに入るも、寒天は崩れずに逆にバックを奪うと、一度ポジションを奪い直してからスリーパーを仕掛ける。ピンチに陥った加藤はどうにかしのいで亀の体勢に。寒天は崩しに掛かるも、加藤は逃れつつリバースしてグラウンドで上に。寒天は立ち上がって逃れる。

この後も、加藤がテイクダウンを奪って首を捕ったり、寒天のパンチで加藤がダウンしつつも加藤が持ち上げるなどで、二人は互角の闘いを演じる。




2R、スタンドでは加藤の右のパンチがヒットするも、寒天は左ローで応戦。加藤が組み付いて金網へと押し込み、金網際の攻防へ。テイクダウンを奪ったのは寒天で、ハーフマウントから加藤を金網へと押し付けつつパンチを入れ、パスガードを狙う。

やがてパスガードを決めた寒天はサイドからバックを奪うも、加藤は立ち上がってグラウンドを逃れてパンチを入れる。だが寒天はスタンドからするりとバックを奪うと、体勢を崩して一気にスリーパーを極めに行き、これがダメと見るや試合終了までパンチを落としていった。




試合終了、判定の結果3−0で寒天が勝利。


う〜む、『公武堂TV』では練習の時はいつも弱音ばかり吐いているという話を聴いた事がある寒天だが…。なんのなんの、闘ってみれば随分と強いじゃないですか。特に2R終盤のスタンドからバックをスルリと奪った場面なんかは、かなり目を奪われたなぁ。



第二試合 闘え赤尾!師匠の仇を取る、その日まで!

バンタム級 5分2R
赤尾セイジ(163cm/60.0kg/NEX-SPORTS)
●薩摩竜仁(165cm/63.0kg/BLUE DOG GYM)
[判定 3−0]

パンフによると、赤尾セイジは2008年1月に行われたDEEPフューチャーキング トーナメントで優勝している選手で、レスリング出身なのだそうだ。対する薩摩竜仁は柔道三段の実力を誇るも、両者ともに打撃を持さないスタイルらしい。

それにしても、赤尾はパンフの中では、まるで野獣扱いだなぁ。「筋骨隆々な肉体から相手が壊れるまで狂ったようにパンチを振り回し、試合が終われば発狂したかのように悲鳴のような雄叫びをあげてマウスピースをマットに投げ付けるなどの理性のブッ飛んだ行動まで取ってしまう」って、やたら凶暴なイメージが掻き立てられるよ。まあ、冷静になって読んでみると、実は格闘技界ではよくある光景だったりするんだけどね(笑)。




1R、序盤に鋭い打撃を繰り出す薩摩、左ミドルもストレートもスジがいい。対する赤尾は右ローを放って様子を伺う。なかなか両者の拮抗が破れない中、赤尾が組みついて金網へと押し込むも、薩摩は差し返した後で離れる。再び静かな展開となったが、赤尾は突然の飛び蹴りで観客を驚かせる。しかし飛び蹴りは空振り、バランスを崩した赤尾に薩摩が組み付き、金網際でボディへ膝蹴りを入れていく。両者は一旦離れるも、再び薩摩の打撃がヒット。赤尾がバランスを崩せば、薩摩はすかさず接近して金網へと押し付ける。

と、ここまではわずかに薩摩のペースで進んだが、赤尾は薩摩と離れると右ミドルを放ち、組み付いてテイクダウンを奪い、ハーフマウントからパンチを落としていく。薩摩はラバーガードで切り返すも、1Rはここで終了。最後に赤尾が一矢、報いたね。




2R、一度テイクダウンを奪って自信をつけたのか、今度は赤尾が距離を詰めるようになる。薩摩は打撃で距離を離したり、タックルを切ったりするも、赤尾は強引に薩摩を金網へと押し付けてパンチを連打。何発か喰らった薩摩は崩れるように倒れると、赤尾はハーフマウントからパンチをドカドカと落としていく。おお、ここに来て赤尾の凶暴さが剥き出しになったね。

ピンチに陥った薩摩は必死にグラウンドから逃れるも、赤尾はこれを逃がさずにハーフマウントを奪い直すと、半立ちの状態からパンチを落としたり、立ち上がって薩摩の顔面を踏み付けたりする。更には肘打ちを駆使するなどで、終盤は赤尾が一方的に薩摩を攻め込んだ。う〜ん、最後まで攻め続けたな。




ここで試合は終了、判定の結果、3−0で赤尾が勝利。勝った赤尾はマイクを持ち、師匠である梅村氏の仇、現DEEPバンタム級王者の今成正和へ挑戦を表明。おお、これは言い切ったねぇ!カッコいいな!


1Rは実力拮抗という感じだったけど、2Rになってからは赤尾が一方的に攻め込んだねぇ。2Rにおけるグラウンドでのエゲつなさは中々凄かったなぁ。師匠の仇である今成はDEEP、DREAM、そしてCAGE RAGEと国内・国外を問わずに活躍。目指す先はまだ遠いかもしれないが、赤尾には頑張って欲しいねぇ。



第三試合 木部は僕より年下なのに独立しているのか、立派だ

バンタム級 5分2R
○木部亮(168cm/64.0kg/スプラッシュ)
●渡辺智史(173cm/70.0kg/CB IMPACT)
[判定 3−0]

パンフによると、木部亮は昨年3月に自らの道場である「スプラッシュ」を開いた道場長で、柔術黒帯の実力を持つ選手なのだそうな。対する渡辺智史はPANCRASE、DEEP、DREAMなどで活躍する選手で、レスリングが得意なのだそうな。ちなみにこの二人、2年前にもグラップリングマッチで対戦し、この時は木部がアキレス腱固めで秒殺勝利しているそうだ。渡辺にとってはリベンジ戦となるが、道場長の立場となった木部もそう簡単に負けるわけには行かない。




1R、試合開始早々、いきなり渡辺のパンチを喰らった木部がダウンを喫する。観客の驚きの声の中、秒殺リベンジを果たしたい渡辺は木部の上になって追い撃ちを掛けるも、木部はなんとかピンチをしのぐと逆にテイクダウンを奪ってバックに回る。

一転して劣勢になった渡辺は身体を反転させるも、木部はハーフマウントからパンチと肘打ちを連発。特に肘打ちは、いわゆる「肘グリ」なども駆使したかなりエゲつないもので、渡辺は必死に逃げようとしたが、木部はしつこくポジションをキープし、尚も肘打ちを落とす。終盤、渡辺は下からの腕十字で逆襲するも、木部は尚も肘打ちを連打。う〜む、木部の攻めはねちっこくていいねぇ。




2R、両者が距離をあける。そんな中、まずは渡辺のパンチがヒットするも、木部もパンチを入れ返すと、渡辺を金網際へと押し込み、スタンドでバックを奪いボディへ膝蹴りを入れる。一旦離れた木部はバックを奪い直して渡辺の体勢を崩しに行くも、渡辺は金網際で粘り続ける。だが木部は正面から組み付くと、足を掛けてテイクダウンを奪った。

グラウンドでべったりくっつきながらハーフマウントの体勢になった木部は、立ち上がってからの膝蹴りでダメージを与える。ブレイク後、木部は渡辺のパンチに合わせてタックルを敢行、一度は渡辺に立たれるも、木部はすかさず再度タックルを行ないテイクダウンを奪った。




ここで試合は終了。判定の結果、3−0で木部が勝利。


ふむ、試合開始早々こそ危なかったけど、それ以外は木部が一方的に攻め込んだねぇ。特に要所で使っていた肘打ちは凄くエゲつなかったなぁ。それにしても今日は、心なしか他の興行よりも「グラウンドでの肘打ち」を打つ場面を見ることが多いような。名古屋の総合格闘技の特色なのかなぁ?まぁ、僕が普段見ている総合格闘技団体で肘打ちを解禁しているところは少ないから、そのせいかな?う〜ん、それだけではない気もするけどなぁ…。



第四試合 GSB所属なので、梶田は打撃が得意なのかと思いきや…

ライト級 5分2R
梶田高裕(173cm/70.0kg/GSB)
●トリスタン・コンリー(175cm/70.0kg/AACC)
[判定 3−0]

パンフによると、梶田高裕はGSB(グラップリング・シュートボクサーズの略)所属のストライカーで、トリスタン・コンリーは…、カナダの総合格闘技の興行でチョークスリーパーで一本勝ちした以外は謎の選手なのだそうな。ふ〜む、AACCで練習しているのであればレスリングが得意な印象があるけど、アントニオ・カルバーリョみたいな選手もAACCで練習したりするから、なんとも言えないか。




1R、まずは梶田が組み付いて金網際へと押し込むも、コンリーが差し返す。梶田はボディへ膝蹴りを入れて抵抗するも、コンリーは金網際へと押し込むと、梶田を抱え上げて豪快なテイクダウンを奪う。梶田はすかさず逃げて亀の体勢になり、コンリーはガブリの体勢からパンチを入れるも、梶田は押し込んでテイクダウンを奪い返す。

コンリーはクロスガードで防御すると、梶田は何もできずに苦戦したが、コンリーが足を使ってのラバーガードで逆襲に出ると、梶田はこのタイミングで肘打ちを敢行。嫌がるコンリーはラバーを諦めて逃げようとしたが、梶田は上半身を起こしてのパンチを入れていく。コンリーは一度ガードポジションへと戻し、再びラバーを仕掛けたが、梶田は尚も肘打ちで追い詰める。




2R、序盤は1Rとは一転しての打撃戦、梶田は左ミドル、コンリーは右ハイを放つ。そんな中、梶田はコンリーを首相撲に捕らえて膝蹴りを放つと、小手を極めて投げを放ちグランウンドで上になる。ハーフマウントから肘打ちを放ちつつ、梅村氏の「殴れよ!殴れよ!」の声を無視して肩固めを敢行。これは極まらなかったが、尚も梶田は梅村氏の「ハーフでいいから殴れ!」の声を無視してパスガードを狙う。コンリーはガードポジションへと戻すと、梶田は立ち上がってローキックを放つと、コンリーもタイミングを見て立ち上がる。

だが梶田はすかさずバックを奪い一気にスリーパーの体勢へと移行。これも極まることはなく、グラウンドでコンリーは身体を反転して上になったが、梶田は腕十字を極めに行く。コンリーは腕を抜いて脱出したが、梶田はサイドを奪って攻勢をキープし続けた。う〜ん、隙あらば一本を奪いに行く姿勢がいいね。




ここで試合は終了。判定の結果、3−0で梶田が勝利。


う〜ん、結局コンリーが何が得意な選手かわからなかったなぁ。下からラバーガードを仕掛けたりするくらいだから、柔術の練習とかもしているんだろうけど…。まぁ、試合自体は梶田の完勝だったからなぁ。それにしても、パンフにはストライカーって書いてあったのに、梶田はグラウンドでも強かったなぁ。

それにしても、第一試合に出た寒天にしてもそうだけど、シュートボクシングから寝技も出来る選手を輩出するジムが生まれるとはなぁ…。



この二人の姿勢に、他団体も見習うところも多いのでは?

休憩中には公武堂が誇るラウンドガール、玲ちゃん(水希玲子 http://ameblo.jp/mizuki015/)&みさとっち(相沢美里 http://ameblo.jp/misato0816/)による撮影会が行われていた。実はこの二人、公武堂TVにも準レギュラーとして参加していて、僕もチャット上では何度かやり取りをしたことのある仲だったりするのであるのだが、それはまた別の話。




んで、普通この手の撮影会というと「ラウンドガールが勝手にポーズを取って、カメラ小僧が勝手に撮影する」というのがスタンダードな図式なのだが…。この二人は、お客さんの手を積極的に引っ張って、積極的に撮影会への参加を促していた。子供には子供の目線で接し、お客さんに肩を抱かれても嫌な顔一つしない。撮影が終われば、自分達の顔写真の入ったチロルチョコをプレゼント。前回の興行では撤収作業も手伝ったのだというから驚きである。

正直、僕はここまで「興行に溶け込んでいるラウンドガール」というのを他に知らない。この二人の「親しみやすい雰囲気」は、間違いなく公武堂ファイトの雰囲気作りに一役買っていると思う。間違いなくね。この二人の性格の良さが伝わってくるのが良いんだよねぇ。あ、軽くデレッとしているな俺(苦笑)。




また、会場内では「とんむす」なるおにぎりが売られていた(「とんむす本舗」http://www.tonmusu.com/)。薄い豚肉で巻いたおにぎりである。会場で会った犬一さん(http://twitter.com/inuichi @inuichi)に一ついただいて食べてみたが、結構旨い上に腹にも溜まっていい感じ。ああ、これ書いてたらまた食いたくなった…。

第五試合 両者ともに再起を掛けた一戦は、一発のパンチで明暗を分けた

ライト級 5分2R
○松下直揮(169cm/70.0kg/MB3z)
●大杉ジャカレ優也(171cm/75.0kg/クラブバーバリアン)
[1R 2分58秒 KO]
※グラウンドパンチ連打

かつては修斗で活躍し、現在はDEEPのリングで闘い続ける松下直揮。名古屋出身の松下は柔道をベースにしながらも、一撃必殺のパンチを得意とする選手である。その松下は一ヶ月前となる6月6日に、DEEPのケージマッチで池本誠知に敗れたばかりで、この試合は「金網での試合」という意味でのリベンジ戦となるのだ。

そして対戦相手の大杉ジャカレ優也もまた、二ヶ月前の5月16日に行われたDEEPのクラブバーバリアン主催興行で、先日引退した五十里祐一に敗北したばかり。この試合は、両者ともに再起を掛けた大事な一戦と言えるだろう。




1R、打撃を得意とする松下が右ロー〜ワンツーを放つ。圧力を強めて前に出る松下に対して、大杉はワンツーを返して応戦。そんな中、松下はスジの良い右ストレートを放ち、組み付いて松下を崩してテイクダウンを奪うと、パスガードを決めてサイドにつくも、大杉は下からブリッジを作ってグラウンドを脱出。試合は再びスタンドへと戻る。

決着は一瞬のことだった。ラウンド終了前、松下の放った右ストレートがモロにヒット、観客の歓声の中で大杉はダウン。勝機と見た松下は、大杉の上になって一気にパンチの連打を浴びせる。大杉は立ち上がって難を逃れようとするも、松下は再び体勢を崩してパンチの連打を浴びせる。金網際でうずくまる大杉、尚もパンチを連打する松下、ここでレフェリーが試合を止めた。




勝った松下は「こんなに僕を応援してくれる状況の中で戦える機械は少ないんですが、皆さんの応援でこの結果がでました!」とコメント。ふ〜む、ホームで戦える喜びが伺えるコメントだなぁ。


逆に言えば、東京をベースに活動して東京で闘い続けるというのは、それだけで大きなアドバンテージになる、という事も言えるのだろう。さらに話を大きくすれば、総合格闘技の中心が日本からアメリカへと遷移した今、大舞台がホームとは成り得なくなっている。

そう考えると「海外での白星というのは、たとえ相手がどんな選手であろうとも評価をするべきなのだろうなぁ」なんて事を、松下の勝利から考えさせられた。ともあれ松下選手、お見事でした。



第六試合 マスト判定はいつだって非情

ライトヘビー級 5分2R
○井上俊介(175cm/98.0kg/吉田道場)
●増田祐介(178cm/90.0kg/AACC)
[判定 2−1]

昨年12月6日、PANCRASEの舞台で川村亮と大激闘を演じた井上俊介。柔道ではインターハイ100kg超級で優勝という輝かしい実績を誇る井上だが、シーザージムに通い詰め、打撃系格闘技であるSBで敗北を重ねながら会得した打撃も侮れない。総合格闘技でデビューしてからの二年半で15試合もこなした井上は(戦績15戦8勝5敗2分4KO2SKO)、ここ最近はタイトルマッチを経験するなどで、徐々にステータスを上げつつある選手である。

そんな井上に対するのは…かつてはZSTで活躍し、韓国、アメリカ、ブラジル、ポーランドなど海外での闘いも経験した増田祐介。レスリングをベースとしている増田、戦績は敗北が先行してものの(戦績12戦2勝7敗3分2KO)、パンフによると派手な打ち合いも持さないようだ。今日は地元での闘いとなる井上にとっては、侮れない相手と言えるだろう。




1R、柔道がベースの井上に対してレスリングがベースの増田がいきなりタックルを仕掛け、金網際へと押し込んでテイクダウンを奪う。インサイドの増田に対して、井上は体勢をズラして下からの蹴り上げで応戦すると、立ち上がって増田を後ろから金網際へと押し込む。増田もバックについた井上の腕を捕らえて粘るも、両者ともに動かずブレイクに。

両者スタンド、井上はシーザージム仕込みの重い左ミドルを放つと、右ストレートを顔面に叩き込む。観客からは歓声が沸いたが、これで井上の打撃を警戒した増田が再びタックルを敢行。井上は尻で立つなどで抵抗するも、増田の押し込みを堪え切れずにテイクダウンを許してしまう。




しかし、グラウンドで上になったのはいいが、コツコツとパンチを入れる以外の攻撃が出ない増田。立ち上がってのパスガードを狙うも、これは井上の蹴り上げに抵抗されてしまう。逆に下から組み付いた井上は、立ち上がって増田のボディへ膝蹴りを入れていく。ブレイク後も、井上は組み付いての膝蹴りで攻め込む。更に井上は、ラウンド終了直前の増田のタックルをガブってパンチを入れていく。ここで1Rは終了、ここまではタックルにこそ手を焼いているが、与えているダメージは上と見るべきかな。



2R、井上は右のハイキックで牽制するも、やはり増田はタックルを敢行。捌いた井上はパンチを連打して何発かヒットするも、増田は尚もタックルに拘りテイクダウンを奪う。インサイドから鉄槌を入れる増田、しばらくこの状態が続いたが、井上は体勢をズラしての蹴り上げでグラウンドを脱出。



今度はなんと井上がタックルを敢行。増田は腕を捕らえて上になろうとするも、井上はこれを返してサイド〜上四方の体勢へと移行。グラウンドで劣勢となった増田はどうにか脱出して立ち上がるも、井上はバックから増田を崩してテイクダウンを奪いスリーパーを極めに行き、これがダメだと見るや腕十字を仕掛ける。だが増田は井上の腕十字狙いを返して上になり、蹴り上げで抵抗する井上をガブってパンチを入れていった。



ここで試合終了、勝敗は判定に委ねられた。う〜ん、難しい。リング・ゼネラルシップで言えば、タックル&レスリングで長時間支配していた増田が優位だと思うし、ダメージ度でも長時間コツコツとパンチを入れていた増田の方が若干上だと思う。ただ、要所で見せた井上のアグレッシブな攻めも評価すべきだと思うし、本当はドローが妥当だと思うんだけどなぁ…なんて思っていたら、結果は2−1で井上が勝利。

増田は自分が負けたと知るや否や、その場にひっくり返ってしまった。正直、この内容で敗北するのは気の毒だよなぁ…。勝った井上は「本当はKOしたかったです。来年はこの舞台でメインを張れるよう、また東京で頑張ります」と宣言、観客の歓声を浴びていた。


う〜む、僕はこの試合はスタンドでの打ち合いになると思ったんだけど、意外にもグラウンドが中心になったなぁ。僕は井上の打撃センスは吉田道場の所属選手の中では随一だと思っているんだけど、今日は増田のレスリングの前に封印されちゃったねぇ。ちょっと残念だなぁ。



第七試合 う〜ん、こういう試合は切なく感じるんだよなぁ…

ライト級 5分2R
○LUIZ(180cm/70.0kg/禅道会/ブラジル)
坪井淳浩(167cm/70.0kg/GSB)
[判定 3−0]

かつてはシュートボクシングで活躍し、初期のZSTにも参戦。現在は名古屋でGSBを主宰する坪井淳浩。NEX代表の梅村寛氏とは10代の頃からの盟友で、梅村氏が一線を退いた今でも坪井は現役として試合を続けている。SB時代には名選手として知られ、所英男が対戦を熱望した前田辰也にも勝利した実績を持つ坪井。37歳の大ベテランは今日、公武堂ファイトのメインの舞台に立つ。

その坪井の対戦相手は、DEEPの舞台で頭角を現わしてきている禅道会のLUIZ。その戦績である11勝8敗3分4KO6SKOが示すとおり、勝つ時はKOか一本を奪う選手である。空手がベースである禅道会の所属でありながら、NTT(ニッポントップチーム)で寝技も学ぶLUIZ。ブラジル人なのに日本語が達者で、トランクスにも日本語でメッセージが書かれている(「ボクはチキン。本当に」)のも特徴的だ。今日は強豪を迎え撃つ坪井、地元のメインで勝利を飾れるか?




1R、これまでの試合とは一転しての打撃戦に。LUIZは若さに任せて重い右ミドルを放って観客を驚かせるが、坪井は右ローと左ミドルを返す。プレッシャーを掛けて出るLUIZ、坪井を金網際へと押し付けるが、坪井はここで崩れずにスタンドをキープ、両者の距離が離れれば観客からは歓声が沸く。



しかし、尚もプレッシャーを掛けて前に出てくるLUIZ。パンチが交差する中で、坪井は右ローを連発してLUIZを崩しに掛かる。コツコツと左脚にダメージを与えていく坪井に対して、LUIZは左ハイ〜ワンツーのコンビネーションで逆襲、それでも右ローを連発する坪井を、LUIZはラウンド終了直前にパンチの連打で金網際へと追い詰めていく。

ここで1Rは終了。う〜ん、坪井はよくやっているんだけど、LUIZのプレッシャーが中々弱まらないなぁ。切ない…。




2R、坪井はこのラウンドも右ローをコツコツと当てて行くが、ここに来てLUIZがプレッシャーを増す。前蹴りで距離を離してフックで襲い掛かるLUIZは、右ミドルを放ちつつ坪井に組み付き、ついにテイクダウンを奪う。観客の悲鳴の中、サイドからニー・オン・ザ・ベリーの体勢からパンチを落とすLUIZだが、坪井はなんとかグラウンドを脱出。一転して観客からは歓声が沸く。



前に出る坪井にワンツーを放つLUIZだが、ここに来て微妙に疲れの色が見える。だがLUIZはプレッシャーを弱めることはなく、距離を詰めようとする坪井に右ローや前蹴りを放つ。坪井は左ミドル&左ストレートで応戦、LUIZはワンツーを連発して対抗。試合が再び打撃戦に戻る中、坪井の放った左ストレートがヒット。

怯むLUIZにワンツーを放ちながら組み付いた坪井だが、ここは逆にLUIZがテイクダウンを奪ってしまった。一度立ち上がってインサイドに潜り込んだLUIZは、坪井の顔面に鉄槌を落としていく。坪井はグラウンドからの脱出を試みるもLUIZは逃がさず、試合終了までの約一分間パンチと鉄槌を落としていった。




ここで試合は終了。判定の結果3−0でLUIZが勝利したが、金網を去っていく坪井にも大きな拍手が寄せられた。勝ったLUIZも「気持ちでは、坪井選手に負けていた」と坪井の闘いぶりを認めるも、最後は「昨年9月に松下選手に負けて、一杯練習してきたんですが…。次は絶対に倒して勝ちます!スイマセン、頑張ります!」と宣言。LUIZの気持ちはすでに次戦に向いていた。


う〜ん、坪井は頑張ったんだけどなぁ…。実力差がある中で、自分のやるべきことをやって、それでも負けてしまう選手を見るのは切ないなぁ。LUIZが認めている通り、押している場面もあっただけに残念だ…。こんな事を書いてもしょうがないけど…。せめて僕から「今日のMVPは坪井選手」と書かせてもらいます。



雑感

正直、対戦カードも判らないまま名古屋まできて観戦した今回の公武堂ファイト。しかし松下直揮、井上俊介、LUIZ、坪井淳浩といった僕にも馴染みの深い選手が多数出場していたためなのか…、それともZepp Nagoyaの雰囲気がオシャレだからなのか…、思ったよりも「地方興行」という雰囲気は感じなかったなぁ。泥臭さや胡散臭い感じがなくて洗練されている、というかねぇ。


でも、この日は無料で配られたオールカラーのパンフレット、店内で売られていた「とんむす」、そしてラウンドガール二人による、積極的にお客さんに触れての撮影会&チョコのプレゼントなど、東京の興行では見られない「興行を成功させるための努力」を感じて、凄く好感を持ったなぁ。興行に来ていて「ああ、興行って『祭り』なんだよなぁ」と感じたのは本当に久しぶりの事だったなぁ。しかも格闘技の興行でそれを感じたのは、ちょっと記憶にないよなぁ…。


う〜ん、このパッケージのまま新宿FACEあたりで興行が見たいなぁ、と思ってしまったよ。まあ、こういう風に思っちゃうのは、都心に住んでいる者の贅沢と傲慢なんだろうけどさ(苦笑)。



皆さん、良い興行をありがとうございます。

では最後に、今日の興行の功労者達をアップで。左が公武堂の長谷川匡紀社長、右の真ん中でマイクを握っているのがNEX代表の梅村寛氏。二人とも、今日はご苦労さまでした。




そしてラウンドガールの二人も、もう一度紹介。左が玲ちゃん(水希玲子)で、右がみさとっち(相沢美里)。二人もお疲れ様でした。チョコレートも食べましたよ!(笑)



以上、長文失礼。

7/13のお品書き 立嶋篤志復活と武田幸三引退

えっと、最近は仕事がヒマなので、前に書こうと思いつつ放置していた観戦記をチョクチョクUpしていきます。まずは高倉仮面が普段、観戦しない新日本キックを二つほど。

4/18 新日本キック 後楽園ホール興行 観戦記 Ver1.0

http://d.hatena.ne.jp/Mask_Takakura/20100418

半分しか観ていませんが満足しています。何故ならこの日の目的は、立嶋篤史vs深津飛成の観戦でしたから。90年代のキック界の伝説と、00年代の新日本キック軽量級の頂点による激突。なかなか凄いマッチメイクだよなぁ。

5/16 新日本キック(武田引退) 後楽園ホール興行 観戦記 Ver1.0

http://d.hatena.ne.jp/Mask_Takakura/20100518

半分しか観ていませんが満足しています。何故ならこの日の目的は、武田幸三の引退エキシビジョンの観戦でしたから。元ラジャダムナン認定ウェルター級王者の最期の闘いは、壮絶ながらも考えさせられるものに。